- πは円周÷直径で定義される
- 古代人は「測る」のではなく「はさみうち」で求めた
- 江戸の和算家も独自にπを追った
生徒
π=3.14って学校で習ったけど、誰がどうやって決めたんだろう?
ムダシル先生
紀元前のアルキメデスが、円に多角形を内外からはさみうちして近似したんだ。今日はその話。
そもそも円周率(π)とは
円周率とは 「円周の長さ ÷ 直径」 で得られる定数のことです。どんな大きさの円でも、この比は変わりません。私たちが知っている 3.14159… という値は、この比が「具体的にいくつなのか」を、何百年もかけて少しずつ精密にしてきた結果です。
\[\pi = \dfrac{C}{D}\]
用語円周率えんしゅうりつ / π / pi
円の直径に対する円周の長さの比。ギリシャ文字 π で表す。この値が「割り切れない無限小数(無理数)」であることは、18世紀のランベルトによって証明されました。
「測って割る」では辿り着けない
生徒
円を描いて、ヒモで周りを測って、定規で直径を測れば求められるんじゃないの?
ムダシル先生
じつはそれが、いちばん難しいんです。手で測る方法では、せいぜい「3.14くらい」までしかわかりません。
生徒
ヒモと定規でそんなに精度が出ないの?
ムダシル先生
ヒモは伸び縮みするし、定規は1mm単位までしか刻まれていない。3.1415とか、ましてや 3.14159… なんていう領域は、物理的な「測定」では原理的に到達できないんです。だから古代の数学者たちは、まったく違う作戦をとりました。円のかわりに「多角形」を考える──これが π を計算で求める第一歩でした。
アルキメデスの「はさみうち」
生徒
多角形でどうやって円の長さを出すの?
ムダシル先生
円の内側と外側に正多角形を貼り付けて、円周の長さを「これより大きく、これより小さい」と挟み込むんだよ。
生徒
サンドイッチみたいに?
ムダシル先生
そう。紀元前3世紀のアルキメデスは、シチリアのシラクサに住んでいた数学者で、正九十六角形まで増やして $3\frac{10}{71} \lt \pi \lt 3\frac{1}{7}$ を導きました。多角形の辺の数を増やすほど、内側の多角形の周は円周に下から近づき、外側の多角形の周は上から近づく。この「上下から閉じ込める」発想が、紀元前にすでにあったというのが、ちょっと震える話です。
補足
正九十六角形は辺の数が 96。アルキメデスは平方根の計算を手で繰り返し、この精度に到達しました。電卓どころかアラビア数字すらなかった時代に、です。
正九十六角形は辺の数が 96。アルキメデスは平方根の計算を手で繰り返し、この精度に到達しました。電卓どころかアラビア数字すらなかった時代に、です。
江戸時代の和算家もπを追った
生徒
ヨーロッパだけの話だと思ってた。
ムダシル先生
じつは日本の江戸時代、関孝和や建部賢弘といった和算家たちも、独自の方法で π の桁を伸ばしていたんですよ。
生徒
鎖国してたのに?
ムダシル先生
鎖国していた島国で、世界水準の数学が独立に育っていた。建部賢弘は18世紀初頭に、アルキメデスとは別系統の級数展開を使って π を 40 桁以上計算しています。当時の世界記録レベルです。「日本の数学なんて遅れていた」というイメージは、πに関しては逆。知っておくとちょっと自慢できる話ですね。
まとめ
- π は「測る」のではなく「計算で挟み込む」ことで精度を上げてきた
- アルキメデスは正九十六角形ではさみうちで、紀元前 3 世紀に 3.14 まで到達
- 江戸時代の和算家・建部賢弘も、独自に 40 桁以上の π を計算していた