行政・法律の疑問 読了 4分

政党の中のルールは、基本的には自分たちで決めるものだよっていう判例【共産党除名処分事件】

★ 判例データ

事件名:家屋明渡等請求事件(共産党除名処分事件)
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和63年12月20日

関係法令:
・法律上の争訟(司法権の範囲)

論点:
・司法権
・部分社会の法理
・政党の自律性
・除名処分

結論:
・政党の党員に対する除名処分の適否は、一般市民法秩序と直接関係しない内部的事項に関する場合、基本的人権を侵すなど特段の事情がない限り、裁判所の審査権は及ばない

こんにちは! 今日は、政治のグループである「政党(せいとう)」の中で起きたトラブルについてのお話だよ。

「グループをクビにされたのは納得いかない! 裁判所さん、助けて!」と言われたとき、裁判所がどう答えたのか見てみよう。

【ストーリー】「勝手にクビにするな!」 vs 「グループの勝手でしょ?」

共産党の担当者

あなたは党の決まりを破りました。だから、今日で「除名(じょめい:クビ)」です。あなたが今住んでいる家は、党のメンバー専用の家ですから、クビになった以上、すぐに出ていってください!
メンバーのAさん

そんなの不当です! 私は決まりなんて破っていません。この除名は間違いです。裁判所さん、この除名が正しいかどうか、しっかり調べてください。除名が間違いだとわかれば、私はこの家を出ていく必要もありませんよね?
共産党の担当者

ちょっと待ってください。政党は、同じ考えをもつ人が集まるプライベートなグループです。誰を仲間に入れ、誰を外すかは自分たちで決めること(自律性:じりつせい)であって、裁判所が口を出すことではありません!
メンバーのAさん

でも、理由もなく追い出されるのは「正義」に反します。裁判所はどんなケンカでも解決してくれる場所のはずです!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の言葉(部分社会の法理)」

今回のバトルで、裁判所は「法律上の争訟(ほうりつじょうのそうしょう)」「部分社会(ぶぶんしゃかい)の法理」という、2つの大事な考え方を使ったよ。

裁判所が解決できるのは、法律を当てはめて白黒つけられる「法律上の争訟」だけなんだ。

政党や大学、宗教団体のように、自分たちで特別なルールをもっているグループを「部分社会」と呼ぶけれど、裁判所は次のように考えたんだ。

「政党は、自分たちの考え(政治的信条)を広めるための自由なグループ。だから、誰を除名するかというルール(党則:とうそく)の解釈は、そのグループの自律性に任せるのが一番。裁判所が『その除名は正しい・間違い』と深く入り込むのは、グループの自由を壊してしまうことになる」って。

これを「自律性のクッション」と呼ぼう。

ただし、何でもかんでも無視するわけじゃないよ。もし、除名の手続がルールを完全に無視してめちゃくちゃだったり、一般市民としての重大な権利を奪うようなときだけは、裁判所も「それはやりすぎだよ」とチェックすることにしたんだ。

【判決】政党の除名は、原則として裁判所は審査しない!

最高裁判所(昭和63年12月20日)は、次のような答えを出しました。

1. 政党には「高度な自律性」がある! 政党のような自律的な団体の中での出来事は、一般市民としての法秩序と直接関係しない限り、自分たちで解決すべきものとされました。
2. 審査は「最低限」だけ! 除名が正しいかどうかの中身までは踏み込まず、手続がルール通りに行われたかといった、最低限のチェックにとどめるべきだと判断されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(昭和63年12月20日)より
「政党の結社としての自主性(自律性)を尊重すべきであるから、……(中略)……政党がした党員に対する除名処分の適否は、……基本的人権を侵すなど特段の事情がない限り、裁判所の審査権は及ばない。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本のさまざまな「グループ」のあり方に大きな安心感とルールを与えたよ。

「私的なグループの自由」が守られた! 政党だけでなく、大学や宗教団体、あるいは趣味のサークルにいたるまで、「自分たちのグループのルールは、まずは自分たちで守り、解決する」という文化が法的に認められたんだ。
「裁判所が踏み込まない境界線」がはっきりした! 何でもかんでも裁判で解決するのではなく、「ここからはプライベートな世界(聖域)」という境界線が引かれたことで、司法と民間のバランスが保たれるようになったよ。
組織の「説明責任」が意識されるようになった! 裁判所が中身に口を出さないからこそ、逆に組織は「なぜこの人をクビにするのか」という手続をしっかり踏まないと、後で「手続がめちゃくちゃだ」として裁判所に怒られてしまう可能性がある。だから、ルールの運用をより慎重に行うようになったんだ。

まとめ

まとめ

– 政党のような特別なグループの中の争いには、裁判所は安易に口を出さない
– これを「部分社会の法理」と呼び、グループの「自律性」を大切にする仕組みなんだ
– これによって、日本は「それぞれのグループが自由に活動できる社会」を守っているんだね!

「みんなで決めたルールは、まずは自分たちで責任をもつ」という、大人な解決方法を大切にするための判決だったんだね。

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