行政・法律の疑問 読了 4分

「ウソだったとしても、信じる理由があればセーフ?」っていう判例【名誉毀損と真実相当性】

★ 判例データ

事件名:名誉及び信用毀損による損害賠償および慰藉料請求上告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和41年6月23日

関係法令:
・民法709条(不法行為・損害賠償)
・刑法230条の2(名誉毀損の真実性証明)

論点:
・名誉毀損と真実相当性の法理
・民事上の損害賠償責任の成否
・表現の自由と名誉保護のバランス

結論:
・内容が真実と証明できなくても、真実と信じるに足りる相当な理由があれば不法行為(損害賠償責任)は成立しない

こんにちは! 今日は、ニュースやSNSなどで誰かの悪口(名誉毀損:めいよきそん)が問題になったとき、書いた人が「本当だと思って書いたんです!」と言い訳したらどうなるのか? という、表現の自由と個人の名誉を守るための大事なルールについてのお話だよ。

【ストーリー】「ウソを書くな!」 vs 「しっかり調べて書いたんだ!」

批判されたAさん

おい! お前が書いたこの記事のせいで、私の評判はガタガタだ! 調べてみたら、内容は間違いだらけじゃないか。名誉毀損だ! 慰謝料(いしゃりょう)としてお金を払え!
書いた人Bさん

確かに、結果的には間違い(真実ではないこと)が含まれていたかもしれません。でも、私はこの記事を書くために、たくさんの証拠を集めて、関係者にも何度もインタビューしたんです。あの時点では、誰がどう見ても「本当だ」と信じるのが当たり前でした!
Aさん

ウソはウソだ! 理由がどうあれ、私の名誉を傷つけたんだから、責任を取ってもらわなきゃ困る。裁判所さん、ウソを書いたんだから、問答無用で「賠償責任」ありですよね?

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の盾(真実相当性)」

今回のバトルのポイントは、「表現の自由」「名誉の保護」をどうやって天秤(てんびん)にかけるか、ということだよ。

それまでの法律(刑法230条の2)では、公共に関係することで、公益のために書かれた場合、それが「本当である(真実性)」と証明できれば、名誉毀損にはならないと決まっていたんだ。

でも、今回の裁判で問題になったのは、「本当だと証明はできなかったけれど、本人は本当だと思い込んでいた(誤信)」という場合だよ。

裁判所は、次のような「魔法の盾」を認めたんだ。 「たとえ結果として内容がウソだったとしても、書いた人がそれを『本当だ』と信じてしまったことに、『確実な資料や根拠(相当の理由)』があるのなら、わざと(故意)や、うっかり(過失)があったとは言えない。だから、損害賠償を払う必要はないんだよ」ってね。

これを難しい言葉で「真実相当性(しんじつそうとうせい)の法理」とよぶよ。

【判決】信じるための「相当な理由」があれば、賠償しなくていい!

最高裁判所(昭和41年6月23日)は、次のような答えを出しました。

1. 民事の裁判でも、刑事と同じルールを使う! 刑事裁判(犯罪かどうか)だけでなく、民事裁判(お金を払うかどうか)においても、この「本当だと信じた理由がしっかりしていればセーフ」という考え方を適用すると決めました。
2. 根拠がしっかりしていれば「不法行為」にならない! 真実であると証明できなくても、確実な資料や根拠に基づいて「本当だ」と信じたのであれば、過失(不注意)がないとされるため、損害賠償の責任は発生しないと判断されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(昭和41年6月23日)より
「……真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、……不法行為上の名誉毀損は成立しないものと解するのが相当である。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の「言論の自由」を守るための大きな支柱になったよ。

ジャーナリズムが「萎縮(いしゅく)」しにくくなった! もし、「100%真実だと証明できなければ絶対に負ける」というルールだったら、記者は少しでも疑わしいことがあれば、後で訴えられるのを怖がって記事を書けなくなってしまう(表現の萎縮)。でも、この判決のおかげで、「しっかり調査して書いたものなら守られる」という安心感が生まれ、活発な報道ができるようになったんだ。
「刑事」と「民事」のルールが一本化された! 同じ名誉毀損なのに、刑事だと無罪で、民事だとお金を払わされる、という矛盾がなくなるきっかけになった。日本全体で、「名誉毀損をどう扱うか」という一貫したルールができたんだね。
「調査の質」がより重要視されるようになった! 「信じる理由」さえあればいいわけではなく、その理由が「相当(しっかりしている)」であることが求められる。だから、ただの噂話ではなく、どれだけ裏付けを取ったかという「報道の誠実さ」が裁判で厳しくチェックされるようになったよ。

まとめ

まとめ

– 名誉毀損は、内容が「本当(真実)」なら責任を負わなくていい
– もしウソだったとしても、それを信じるための「しっかりした根拠」があればセーフ
– これによって、「個人の名誉を守ること」と「自由な表現を認めること」のバランスがとられるようになったんだね!

「何を言っても自由」ではないけれど、「しっかり調べて言ったこと」は守られる。このルールが、今の私たちの自由な社会を支えているんだよ!

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