行政・法律の疑問 読了 4分

議会の中のケンカは、裁判所は助けてくれないの?っていう判例【地方議会議員の懲罰事件】

★ 判例データ

事件名:懲罰決議等取消請求上告事件(地方議会議員の懲罰事件)
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和35年10月19日

関係法令:
・地方自治法

論点:
・部分社会の法理
・司法審査の範囲
・議会の自律性

結論:
・地方議会議員に対する出席停止の懲罰は、議会の内部問題にとどまり、裁判所が判断すべき「法律上の争訟」にはあたらない

こんにちは!今日は、町のルールを決める「議会(ぎかい)」の中で起きたトラブルについてのお話だよ。 もし、議会のメンバー(議員さん)が「君はけしからんから、しばらく会議に来ちゃダメだ!」と仲間はずれにされてしまったら、裁判所は助けてくれるのかな?

昔の最高裁判所が出した、とても有名な「あきらめのルール」を見てみよう。

【ストーリー】「勝手に出席停止にするな!」 vs 「議会のことは議会で決める!」

議員のAさん

私はみんなに選ばれた議員です。それなのに、議会のみんなが「Aさんは失礼なことを言った」なんて言って、私に「出席停止(しゅっせきていし)」の懲罰(ちょうばつ)を下しました。会議に出られないなんて、議員の仕事を邪魔されています!裁判所さん、この懲罰を取り消してください!
議会の責任者Bさん

ちょっと待ってください。議会には議会のルールがあります。自分たちのグループの中で誰をどう注意するかは、自分たちで決めるべきことです。これは議会のプライド(自律性:じりつせい)の問題なんです。
議員のAさん

でも、不公平な理由で追い出されたら困ります。裁判所は「正義の味方」なんだから、チェックしてくれるはずですよね?
議会の責任者Bさん

裁判所はいちいち小さなケンカに口を出さないでください! 議会は独立した特別な場所なんです!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の言葉(部分社会の法理)」

今回のバトルで、裁判所は「部分社会(ぶぶんしゃかい)の法理」という「魔法の言葉」を使ったよ。

「部分社会」っていうのは、大学や政党、そして議会のように、自分たちでしっかりしたルールをもっている特別なグループのことなんだ。 裁判所はこう考えたんだ。「そういう特別なグループの中だけで起きるルール違反(内部問題)については、自分たちで解決するのが一番。よっぽど重大な、例えば『クビ(除名:じょめい)』になるような時以外は、裁判所はあえて口を出さないクッションを置くよ」って。

当時は、「出席停止」くらいならグループ内の問題であって、裁判所がわざわざ裁判をして「正しい・間違い」を決めるようなことではない、と判断されたんだね。

【判決】出席停止の適否は、裁判所は判断しない!

最高裁判所(昭和35年10月19日)は、次のような答えを出しました。

1. 議会の自律性を尊重する! 地方議会のような特別な団体(部分社会)の中での懲罰は、基本的にはその中での自律的な解決に任せるべきだとされました。
2. 出席停止は「司法審査(しほうしんさ)」の対象外! 議員をクビにする「除名」なら裁判ができるけれど、一時的な「出席停止」については、裁判所は審査しないと決まったんだ。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の当時の考え(昭和35年10月19日)より
(要約:地方議会の議員に対する出席停止の懲罰は、議会の内部的な問題にとどまるものであるから、裁判所がその適否を判断すべき「法律上の争訟」にはあたらない。)

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この「昭和35年のルール」は、なんと60年近くも守られてきたんだ。でも、最近になって大きな変化が起きたよ!

2020年に「歴史的なルール変更」が起きた! 「出席停止にされたら、その間の議員としての活動が全くできなくなる。これは重大なことだ!」という意見が強まってきたんだ。そこで最高裁判所は、令和2(2020)年11月25日に、ついにこれまでのルールをひっくり返したんだ。
今は「出席停止」も裁判ができる! 新しい判決では、「出席停止の懲罰も、議員が住民の代表として活動する権利を奪うものだから、裁判所がしっかりチェックするべきだ」とはっきり言われたんだ。
議会の「やりすぎ」にブレーキがかかるようになった! これまでは「議会の中のことだから裁判所は来ないだろう」と、不当な懲罰が行われる心配もあったけれど、今は裁判所が「それはやりすぎだよ」と言えるようになった。みんなが選んだ議員さんの活動が、より守られる社会に一歩近づいたんだね。

まとめ

まとめ

– 昔は、議会の中の「出席停止」という懲罰には、裁判所は口を出さない(部分社会の法理)というルールだった
– しかし、60年後の2020年に、最高裁はそのルールを変更した
– 現在は、不当な出席停止を受けた議員さんは、裁判所で助けを求めることができるようになっているんだね!

組織の自律性は大事だけれど、個人の大切な権利が守られることの方が、今の時代にはもっと大切だと考えられるようになったんだね。

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