行政・法律の疑問 読了 3分

法律が本当の力を出すのは、みんなの家じゃなくて「一番最初の売り場」に届いた時だよっていう判例【覚せい剤取締法違反事件】

★ 判例データ

事件名:覚せい剤取締法違反被告事件
裁判所:最高裁判所(最大判)
判決日:昭和33年10月15日

関係法令:
・覚せい剤取締法

論点:
・法治主義
・公布
・官報

結論:
・法律は官報が官報販売所に到達し閲覧・購読可能になった最初の時点で公布の効力を発する

こんにちは!今日は、新しい法律が「いつ、この瞬間からスタート!」と決まるのかについてのお話だよ。

みんなの学校でも、新しい決まりができたときは、先生が黒板に書いたりプリントを配ったりするよね。でも、国が作る「法律」はとっても数が多いし、日本中に一瞬で配るのは無理だよね。じゃあ、どこまで届いたら「もうルールは始まったから、守らないと逮捕だよ!」と言えるようになるのかな?

【ストーリー】「まだ新聞を読んでない!」 vs 「もう売り場には届いたぞ!」

ある人

えっ、覚せい剤(危ない薬)を持っているだけで逮捕!? そんなのいつ決まったんですか?
警察官

今日の「官報(かんぽう:国のお知らせ)」に、新しいルールとして載っています。だから、今日からはもうダメなんです。
ある人

そんな! 官報なんて見たこともないし、私の住んでいるこの田舎(いなか)には、まだそのお知らせは届いていないはずです。みんなが読んで知るまでは、ルールは始まっていないんじゃないですか!?
国の人

いえいえ、このお知らせは今朝、東京にある「官報販売所(かんぽうはんばいじょ)」という売り場に届きました。誰でも読める状態になったんだから、もう日本中のルールとしてスタートしたんですよ!
ある人

そんなのひどい! 実際に手に取ることもできないのに「知っているはずだ」なんて……。裁判長、助けてください!

【解説】裁判所でのバトル:みんなが「知れる状態」ならOK?

裁判所

二人とも落ち着いて。法律がいつから本物の力(拘束力)を持つのか、その「スタートライン」について考えよう。

国が新しいルールを作ったとき、それをみんなに知らせることを「公布(こうふ)」というよ。これがなされないと、ルールは力を出せないんだ。

でも、日本はとても広いから、1億人以上の国民全員のポストに届けるのを待っていたら、いつまでもルールが始まらなくなってしまうよね。

そこで、憲法や法律の世界では、「みんながその気になれば知ることができる状態」という魔法の言葉(公示性)を大切にしているんだ。

「まだ読んでいないから知りません」という言い訳を許してしまうと、わざと読まない人が得をしてしまう。だから、特定の売り場(官報販売所)にそのお知らせが届いて、国民の誰かが「読もうと思えば読める」ようになった一番最初の瞬間に、そのルールは日本中の盾(たて)として完成した、と考えることにしたんだよ。

【判決】一番最初の売り場に届いた瞬間に「公布」された!

最高裁判所(昭和33年10月15日)は、次のような答えを出しました。

1. 法律が有効になるのは、官報が最初の売り場に届いたとき! 全国の家庭に届く必要はなく、東京などの大きな売り場(官報販売所)に届いて、誰でも読める状態になった「最初の時点」で、その法律はスタートしたとみなされます。
2. 一度スタートしたら「知らない」は通用しない! 「自分のところには届いていなかった」とか「読んでいなかった」と言っても、もうルールは始まっているので、違反したら処罰されてしまいます。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(昭和33年10月15日)より
「公布は、……(中略)……官報が、官報販売所に到達し、一般国民が希望すれば、それを閲覧し、または購読しうる状態に置かれた最初の時点をもって、その効力を発するものと解するのが相当である。」

まとめ

まとめ

– 法律が国民にお知らせされることを「公布」と呼ぶ
– 「公布」されたと言えるのは、国民全員に配られた時ではなく、「誰でも読める状態の場所」に最初に届いた時のこと
– 官報が売り場に並んだ瞬間に、日本中でそのルールがスタートするんだね
– 「知らなかった」で済まされないからこそ、ルールがどうなっているかに関心を持つことが大切なんだ

法律はみんなが安心して暮らすための約束事。だからこそ、その「スタートライン」はきっちり決まっているんだね!

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