行政・法律の疑問 読了 4分

「子供を産むか産まないかを決める自由」を奪ったのは、憲法違反!っていう判例【優生保護法国賠訴訟】

★ 判例データ

事件名:優生保護法国賠訴訟
裁判所:最高裁判所大法廷
判決日:令和6年7月3日

関係法令:
・日本国憲法13条(個人の尊厳・幸福追求権)
・旧優生保護法(現・母体保護法)
・国家賠償法
・民法(除斥期間)

論点:
・旧優生保護法に基づく強制不妊手術の違憲性
・リプロダクティブライツ(生殖に関する自己決定権)
・20年の除斥期間と信義則による権利濫用の可否

結論:
・旧優生保護法は憲法13条に違反する。除斥期間を適用して国が免責主張することは信義則違反・権利濫用で許されない

こんにちは! 今日は、日本の歴史の中でも特に大きな注目を集めた、2024年(令和6年)に出されたばかりの最高裁判所のとても大切な答えを紹介するね。

昔の日本には「ある病気や障害をもっている人は、子供を産めないように手術してもいい」という、今では考えられないような「ひどい法律(旧優生保護法)」があったんだ。その法律のせいで傷ついた人たちが、「国は責任をとって!」と訴えた裁判について見てみよう。

【ストーリー】「私の人生を返して!」 vs 「昔の法律で決まっていたことだ」

手術を強制されたAさんたち

私は若い頃、自分では何も知らないうちに、子供が産めなくなる手術を受けさせられました。国が決めた法律のせいだと聞きました。私の心も体も、そして将来の夢もズタズタにされました。国は謝って、償いをしてほしいです!
国の担当者

確かに、昔はそういう法律(旧優生保護法)がありました。でも、それは当時の日本を良くするために「質の悪い子孫を増やさない」という目的で作られた、正式なルールだったのです。
Aさんたち

どんな理由があっても、本人の許可なく体に傷をつけて、大切な権利を奪うなんて許されるはずがありません! 憲法13条には「一個の人間として尊重される権利」があるはずだ!
国の担当者

それに……仮にその法律が間違っていたとしても、手術が行われたのは20年以上も前のことです。民法には「20年たったら、もう損害賠償は請求できない」という「時間切れのルール(除斥期間)」があるんです。だから、国はお金を払う必要はありません。

【解説】裁判所でのバトル:「個人の尊厳」と「20年の壁」の2つの争点

今回のバトルのポイントは、大きく分けて2つあったんだ。

1. 「子供を産むか産まないか決める権利」は、憲法で守られているのか?

裁判所は、憲法13条という「魔法のポケット(幸福追求権)」を改めて確認したよ。 「人間にとって、自分の体に関わることや、家族をもうけるかどうかを自分で決めることは、『個人の尊厳』そのものだ。これを無理やり奪う法律は、どんな理由があっても正当化できない、とんでもない憲法違反だ!」と断言したんだ。

2. 「20年たったからおしまい」というルールは、今回も通用するのか?

ここが一番の争点だったんだ。国は「時間切れ」を主張したけれど、裁判所は「信義誠実の原則(信義則)」を発動させたよ。 「そもそも、被害者の人たちが訴えることができなかったのは、国が間違った法律を作り、差別的な空気を社会に作ったからじゃないか。そんな国が、自分から『もう20年たったから知らないよ』と開き直るのは、あまりにズルいし、正義に反する!」と判断して、20年の壁を壊して救済を認めたんだ。

【判決】旧優生保護法は憲法違反! 国は20年過ぎても責任をとるべき!

最高裁判所大法廷(令和6年7月3日)は、次のような歴史的な答えを出しました。

1. 不妊手術の強制は、憲法13条違反! 個人の尊厳を深く傷つけるものであり、立法目的も正当とはいえず、明らかに憲法違反であるとされました。
2. 国は損害賠償を支払わなければならない! 20年の期間制限(除斥期間)をそのまま当てはめることは、著しく正義に反するため、認められないと判断されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(令和6年7月3日)より
「(旧優生保護法の規定は)特定の個人に対して生殖能力の喪失という重大な犠牲を求める点において、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反する……(中略)……国が除斥期間の適用を主張することは、信義誠実の原則に反し、権利の濫用として許されない。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本という国が「過去の大きな過ち」と向き合う、歴史的なターニングポイントになったよ。

国による公式な謝罪と補償が始まった! 判決の直後、総理大臣が被害者の方々と直接会って深く謝罪し、国として「本当に申し訳なかった」という姿勢をはっきり示したんだ。
新しい補償の法律が作られた! 最高裁が「今のままだと救済が不十分だ」と言ったことを受けて、国会では超党派で、被害を受けた全ての人に公平にお金を支払うための新しい法律(優生保護法等被害者補償法)が、異例のスピードで作られたんだ。
「障害のある人の人権」への意識が変わった! 「誰かの命を勝手に優劣で分けることは絶対にいけない」という当たり前のことが、憲法の下で再確認されたんだ。これによって、福祉や教育の現場でも、一人ひとりの尊厳をより大切にする動きが強まっているよ。

まとめ

まとめ

– 旧優生保護法は、「個人の尊厳」を奪う憲法違反の法律だった
– たとえ20年以上たっていても、国は「信義則のルール」に従って賠償すべき
– この判決によって、「どんな人でも一人の人間として大切にされる」今の日本のルールが、より強固なものになったんだね!

「過去の失敗を認め、これからの未来で二度と繰り返さない」。この裁判は、そんな日本の決意を示す出来事だったんだね。

補足
条文補足:日本国憲法第十三条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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