行政・法律の疑問 読了 4分

「リツイート」でも名前が消えたら責任があるんだよっていう判例【発信者情報開示請求事件】

★ 判例データ

事件名:発信者情報開示請求事件
裁判所:最高裁判所
判決日:令和2年7月21日

関係法令:
・著作権法(氏名表示権)
・プロバイダ責任制限法

論点:
・著作権
・SNS
・リツイート
・発信者情報開示

結論:
・リツイートによって写真の表示範囲が狭まり著作者名が表示されなくなった場合、リツイートした本人が氏名表示権の侵害責任を負う

こんにちは!今日は、みんなも使っているかもしれないSNS(ツイッターなど)での「リツイート」について、最高裁判所が下したとっても大事なニュースを紹介するよ。

「ただリツイートボタンを押しただけなのに、訴えられることがあるの?」という、インターネットの世界のルールがガラッと変わるきっかけになったお話なんだ。

【ストーリー】「勝手にリツイートした上に、名前を消した!」 vs 「システムが勝手にやったんだ!」

写真家のAさん

私はプロの写真家です。一生懸命撮った自慢の写真を、自分の名前を入れてSNSにアップしました。ところが、ある人が私の写真を勝手にリツイート(転載)したんです!
SNSユーザーのBさん

いい写真だと思ったから、みんなに教えたくてリツイートしただけですよ。悪いことなんてしていません。
写真家のAさん

リツイートされた画面を見てください!私の名前が消えています!これは、著作者(作った人)が「自分の名前を表示してね」という権利(氏名表示権)を無視しています。名前を消して投稿した人の情報を教えてください!
SNSユーザーのBさん

えっ、私はリツイートボタンを押しただけです。画面の端っこにあった名前が消えたのは、SNSの仕組み(タイムラインに合わせて写真を自動で切り取る機能)が勝手にやったことです。私がわざと消したわけじゃないから、責任はありません!

【解説】裁判所でのバトル:リツイートボタンの「重み」

裁判所

二人とも、落ち着いて。今回は、リツイートという「情報のバトン」を渡した人に、どんな責任があるのかを考えてみよう。

確かに、Bさんが自分で写真をハサミで切った(トリミングした)わけではないね。SNSのシステムが、表示しやすいように勝手に切り取ったものだ。

でも、「リツイートボタンを押す」ということは、その情報を自分のアカウントから新しく発信する(送信する)ことなんだ。これは、自分で「えいっ!」と情報を投げ出すのと同じだと考えるべきだね。

もし、その結果として、写真家さんが大切にしていた「名前の表示」が消えてしまったのなら、たとえシステムが自動でやったことだとしても、「情報を送った本人(リツイートした人)」が、その結果に責任を持たなきゃいけないんだ。

インターネットは便利だけれど、ボタン一つで誰かの権利を傷つけてしまうかもしれない。だから、リツイートする時も「相手の権利を壊していないかな?」と確認する「情報のマナー」が必要なんだよ。

【判決】リツイートした人も「権利侵害」の責任を負う!

最高裁判所(令和2年7月21日)は、次のような答えを出しました。

1. リツイートも「発信」である! リツイートによって写真が自動で切り取られ、作者の名前が表示されなくなった場合、リツイートした本人が「氏名表示権」という権利を侵害したことになります。
2. 投稿者の情報を教えなければならない! 権利が侵害されたことが明らかなので、SNSの運営会社は、リツイートした人のメールアドレスなどの情報を被害者に開示(教えること)を認められました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(令和2年7月21日)より
「本件各リツイートにより、……(中略)……本件写真画像の表示される範囲が狭くなり、その結果、……氏名の表示部分が表示されなくなった。……このような結果をもたらした本件各リツイートは、……著作者名を表示する権利を侵害するものというべきである。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本のインターネットの使い方に大きな影響を与えました。

「リツイートは安全」という思い込みがなくなった! 「ボタンを押すだけなら責任はない」と考えていた人たちが、著作権や肖像権(勝手に写真を使われない権利)に気をつけるようになりました。
SNSの誹謗中傷(悪口)対策が厳しくなった! この判決と同じ時期、インターネットでのいじめや悪口が大きな社会問題になりました。そこで国は、令和4(2022)年に法律を改正して、ネットで人をひどく傷つける「侮辱罪(ぶじょくざい)」の罰を重くしました。
被害者が「相手」を見つけやすくなった! この判決のような「情報の開示請求」が認められやすくなったことで、匿名(名前を隠して)で悪いことをしても、後で正体がバレて責任をとらされる仕組みが整えられていきました。

まとめ

まとめ

– リツイートは、自分が「新しく情報を発信する行為」だと認められた
– システムが勝手に写真を切り取ったとしても、ボタンを押した人の責任になる
– これをきっかけに、ネットでの権利侵害を防ぐための法律がどんどん厳しくなっているんだね

便利なSNSだけれど、画面の向こうには「作った人」や「撮った人」がいることを忘れないようにしようね!

この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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