事件名:性同一性障害特例法事件(性別の取扱いの変更をめぐる一連の決定・判決)
裁判所:最高裁判所/広島高等裁判所
判決日:令和2年3月11日(最高裁決定)/令和5年10月25日(最高裁大法廷決定)/令和6年7月10日(広島高裁決定)
関係法令:
・憲法13条
・性同一性障害特例法(性別の取扱いの特例に関する法律)3条1項
論点:
・自己決定権
・自己の意思に反して身体への侵襲を受けない自由
結論:
・生殖不能要件(手術要件)は憲法13条に違反し無効
・外観要件についても違憲の疑いがあるとして手術なしでの性別変更を認める判断
こんにちは!今日は、心と体の性別が一致しない「
これまでは「手術をしなければならない」というとても厳しい決まりがあったけれど、それが「憲法(けんぽう)違反だ!」と判断されて、ルールが大きく変わったんだ。3つの裁判の流れを見てみよう!
【ストーリー】「自分らしく生きたい人」と「厳しい法律の番人」
私は心は女性ですが、戸籍は男性のままです。自分らしく生きるために、戸籍の性別を女性に変えたいです!
いいですよ。でも、この「特例法(とくれいほう)」というルールを守ってください。
1. 結婚していなくて、未成年の子どもがいないこと。
2. 手術をして、もう子どもを作れない体になること(生殖不能要件)。
3. 見た目が、変えたい性別と似ていること(外観要件)。
(令和2年ごろ)子どもがいたらダメなんですか?
はい、今はそうです。裁判所も「家族が混乱(こんらん)しないように、子どもがいないというルールは憲法違反じゃない」と言っています(令和2年3月11日の決定)。
(令和5年ごろ)でも、手術を強制(きょうせい)されるのは嫌です! 体に大きな負担がかかるし、自分の体をどうするかは自分で決めたいです!
ルールですから、手術をしない限り認められません。
そんなのひどい! 憲法が守っている「自分らしく生きる自由」があるはずです。裁判所のみなさん、助けてください!
【解説】裁判所でのバトル:体の自由 vs 法律の壁
みんな、落ち着いて。今回は、憲法13条という「自分らしく生きるための盾(たて)」が、法律のルールをどう守るかを考えよう。
まず、憲法13条には「すべての国民は個人として尊重される」と書いてあるんだ。これには「自分の意思に反して、勝手に体を傷つけられない権利」が含まれているんだよ。
昔は「性別が変わった後に子どもができると社会がびっくりするから」という理由で、手術を求めていた。けれど、今の時代、いろいろな家族の形があるし、手術を無理やりさせるのは「やりすぎ」だよね。
だから、この手術を求めるルールは、憲法が大切にしている「体の自由」というクッションを突き破ってしまうくらい、厳しすぎると判断したんだ。これはもはや「
【判決】手術をしなくても、性別を変えられる時代へ!
裁判所は、次のような答えを出しました。
1. 手術を求めるルール(生殖不能要件)は「憲法違反」で無効!
令和5年10月25日、最高裁判所は、手術を強制することは憲法13条に反してダメだ、とはっきり決めました。
2. 「見た目」のルール(外観要件)も、手術なしでOKになるかも!
令和6年7月10日、広島の高等裁判所は、見た目を整えるための手術も、必須とするなら「憲法違反の疑いがある」と判断して、手術なしでの性別変更を認めました。
3. 未成年の子どもがいても認められる道も!
最近では、子どもがいる場合でも、家族の状況を考えて性別変更を認めるケースも出てきているんだよ。
【判決の言葉】
最高裁判所の決定(令和5年10月25日)より
「『自己の意思に反して身体への侵襲(しんしゅう:体を傷つけること)を受けない自由』を、『人格的生存に関わる重要な権利として』憲法13条によって保障される……(中略)……現時点において必要かつ合理的なものとはいえないため、当該規定は憲法13条に違反し無効である。」
まとめ
– 憲法13条は、自分の体を勝手に傷つけられない権利をとても大切にしている
– 令和5年の大きな決定で、戸籍の性別を変えるために手術を強制することは憲法違反(ダメ!)になった
– 見た目のルールについても、手術を絶対としなくてもいいという考えが広がっている
– 「自分らしく生きる」ことを、社会がもっと応援(おうえん)するようになってきているんだね!
条文補足:日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。