行政・法律の疑問 読了 4分

捕まえるのに「失敗」しても、つかまえたのと同じ罪になっちゃうの?っていう判例【鳥獣保護法違反事件】

★ 判例データ

事件名:鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律違反被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成8年2月22日

関係法令:
・鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律

論点:
・構成要件
・捕獲
・未遂
・既遂

結論:
・「捕獲」とは鳥獣を自己の支配下に入れる行為を指すが、その行為を開始した時点で既に「捕獲」にあたると解釈され、現実に支配下に入らなかった場合でも処罰の対象となる

こんにちは!今日は「ことばの解釈(かいしゃく)」をめぐる、ハンターさんと裁判所の大バトルの話を紹介するね。 「捕まえていないのに、捕まえたことになるの?」という、ちょっと理不尽に感じるかもしれない、不思議なルールについてのお話だよ。

【ストーリー】「一羽も捕まえてないよ!」 vs 「いや、有罪だ!」

ハンターのAさん

私は、特別に守られている貴重な鳥を捕まえようとしました。でも、残念ながら失敗して、鳥は逃げてしまいました。私の手元には、鳥は一羽もいません!
国の検察官

Aさん、あなたは「鳥獣保護法(ちょうじゅうほごほう)」というルールを破りました。有罪です!
ハンターのAさん

ええっ!? 法律には「鳥を捕まえて(捕獲:ほかく)はいけない」と書いてあります。私は捕まえるのに失敗したんです。一羽も手に入れていないんだから、ルール違反にはならないはずですよ!
国の検察官

いいえ。この法律では、捕まえようと「アクションを起こした」時点で、もう「捕まえた」のと同じだと考えるんです。
ハンターのAさん

そんなの無茶苦茶だ! 実際に捕まった鳥はいないのに! 裁判所さん、はっきりさせてください!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の辞書(目的論的解釈)」

今回のバトルで、最高裁判所は「ことばの広げすぎ(広い解釈)」という、刑法(けいほう)の世界ではかなり珍(めずら)しい手法を使ったんだ。

普通、犯罪というのは、最後までやり遂げたとき(既遂:きすい)に罰せられるものなんだよ。途中で失敗したとき(未遂:みすい)に罰するためには、法律にわざわざ「失敗したとき(未遂)も罰するよ」という特別なルールが書いていなきゃいけないんだ。

でも、当時のこの法律には「失敗したとき」のルールが書いてなかったんだよ。

そこで、裁判所は「魔法の辞書」を使って解決したんだ。「この法律の目的は、大事な生き物を守ることだ。だから、『捕まえる』という言葉は、『自分の手に鳥を入れること』だけじゃなくて、『捕まえようとアクションを開始すること』まで含むんだ!」って考えたんだね。

これを「動作の開始=捕まえたも同然」というクッションで捉えよう。つまり、網を投げたり鉄砲(てっぽう)を構えたりした瞬間に、法的にはもう「捕獲完了!」となってしまったわけだね。

【判決】「捕獲」には捕まえようとする行為も含まれる!

最高裁判所(平成8年2月22日)は、次のような答えを出しました。

1. 「捕獲」の意味を広く考える! 「捕獲してはならない」という言葉は、捕まえようとすること自体を禁止していると解釈されました。
2. 失敗しても有罪! 実際に動物を捕らえられなかったとしても、捕まえるための具体的な行動を始めたのであれば、その時点で罪が成立すると判断されたんだ。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の当時の考え方(平成8年2月22日)より
(要約:「捕獲」とは、鳥獣を自己の支配下に入れる行為を指すが、その行為を「開始」した時点で、既に「捕獲」にあたるものと解釈すべきである。したがって、現実に支配下に入らなかった場合でも、捕獲を試みた行為そのものを処罰することができる。)

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の法律の作り方や考え方に大きな影響を与えたよ。

「強引すぎる!」という声が上がった! 法律の専門家たちから、「刑罰(けいばつ)を科すための言葉を、そんなに広げて解釈するのは危ないんじゃないか?」「失敗(未遂)は失敗として、別にルールを作るべきだ」という厳しい批判(ひはん)がたくさん出たんだ。
法律が分かりやすく書き直された! この批判を受けて、後に法律(現在の鳥獣保護管理法)が改正されたんだ。今は「捕まえようとした場合(未遂)も罰する」というルールが、はっきりと別に書き加えられたよ。
「言葉のルール」が厳格になった! 裁判所が言葉の意味を広げて補(おぎな)うのではなく、最初から国会で「失敗したときもダメだよ」と正確なルール(未遂規定)を作るべきだ、という今の日本の法律のあり方がより大切にされるようになったんだ。

まとめ

まとめ

– 当時は、捕まえるのに失敗しても「捕まえた」とみなされる厳しい解釈だった
– 裁判所は、生き物を守るために言葉の意味を魔法のように広げてしまった
– その後、法律がきちんと整理され、今は「失敗したとき」のルールも別につくられて、より分かりやすい形になったんだね!

「失敗」と「成功」をどう区別するかは、法律の世界でものすごく大きな問題なんだってことがわかる、とっても大事な事件だったんだよ。

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