事件名:選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消請求上告事件(定住外国人選挙権訴訟上告審判決)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成7年2月28日
関係法令:
・憲法93条2項
論点:
・参政権
・定住外国人
・選挙権
・立法政策
・住民
結論:
・憲法93条2項にいう「住民」とは日本国民を指すため、外国人に地方選挙権を与えていない現行法は憲法違反ではない。ただし、永住者等に法律で地方選挙権を付与することは憲法上禁止されていない
こんにちは! 今日は、日本でずっと暮らしている外国籍の人たちが、「自分たちも住んでいる町のリーダー(知事や市長)や、議員さんを選ぶ選挙に参加させてほしい!」と訴えた、とても有名な裁判についてお話しするよ。
「住民」って誰のことを指すのか、裁判所がどう考えたのか一緒に見てみよう。
【ストーリー】「ずっと住んでいるのに選べないの?」 vs 「日本国民だけの権利です」
私は日本で生まれ、この町で何十年も暮らして、税金もしっかり納めています。この町が大好きだし、町の未来を決める「選挙」に参加して、一票を投じたいんです! 憲法93条2項には、地方のリーダーは「住民(じゅうみん)」が直接選ぶって書いてありますよね? 私はこの町の「住民」なんだから、投票させてください!
お気持ちはよく分かります。でも、今の「地方自治法」や「公職選挙法」というルールでは、選挙権(投票する権利)があるのは「日本国民(にほんこくみん)」だけと決まっているんです。だから、外国籍の方は選挙人名簿に載せることができないんですよ。
そんなの不公平です! 国のリーダーを選ぶならまだしも、自分たちの生活に直結する町のリーダー選びから外されるなんて。憲法のいう「住民」には、私たち定住外国人も含まれるはずです! 裁判所さん、判断をお願いします!
【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の言葉(立法政策)」
今回のバトルの中心は、憲法に書かれた「住民」という言葉の解釈と、「立法政策(りっぽうせいさく)」という「魔法の言葉」だよ。
裁判所はまず、憲法の大きなルールをチェックしたんだ。
「憲法が保障する参政権(選挙する権利)は、基本的には日本国民を想定している」と考えたんだね。だから、憲法93条2項に書いてある「住民」という言葉も、「日本国民である住民」という意味だと解釈したんだ。
でも、裁判所はここで「クッション(優しさ)」を置いたんだよ。
「確かに憲法が『外国人に投票させろ!』と強制しているわけではないけれど、だからといって『絶対に投票させてはいけない』と禁止しているわけでもないんだ」って考えたんだ。
そこで出てきたのが「立法政策」という言葉。
これは、「外国籍の人に地方の選挙権をあげるかどうかは、国会(法律を作る場所)が、その時の社会の状況を見て決めていいことですよ」という、「国会にお任せするボタン」のことなんだね。
【判決】今のルールは憲法違反じゃないけれど、将来は国会次第!
最高裁判所(平成7年2月28日)は、次のような答えを出しました。
1. 憲法上の「住民」は日本国民のこと! 憲法93条2項が保障している「住民」が選挙する権利は、日本国民に限られるので、外国人に選挙権を与えていない今の法律は憲法違反ではありません。
2. 法律を作れば、外国人も投票できるようになる! 永住者のように日本と深いつながりがある外国人に、法律(立法政策)によって地方選挙の権利を認めることは、憲法上禁止されていない、とはっきり認めたんだ。
【判決の言葉】
最高裁判所の判決(平成7年2月28日)より
「憲法九三条二項にいう『住民』とは、普通地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を指す……(中略)……我が国と特段に緊密な関係を持つに至った永住者等に対して、……法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない。」
【追記】判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、日本で暮らす外国籍の人たちの権利について、新しい議論を巻き起こしたよ。
– 「国会での議論」がずっと続いている! 裁判所が「国会が法律を作ればOKだよ」と言ったことで、これまでに何度も「定住外国人の地方参政権を認める法律」を作ろうという動きがあったんだ。でも、慎重な意見も多くて、実は今でも全国共通の法律は作られていないんだ。
– 「日本国民だけ」というルールは今も続いている! 残念ながら、現在の日本の法律では、地方選挙であっても投票できるのは日本国民だけという状態が変わっていないんだ。
– 「住民」としての重みが再確認された! この裁判をきっかけに、国籍がなくても「地域を支える大事なパートナー」として外国籍の人たちをどう迎えるか、日本中で話し合われるようになったよ。最近では一部の自治体で、選挙以外の方法(住民投票など)に外国籍の人が参加できる条例を作る動きも見られるようになっているんだ。
まとめ
– 憲法がいう「住民」は、裁判所の解釈では「日本国民」のこと
– だから、外国人に地方選挙の権利をあげていない今の状態は、憲法違反ではない
– でも、国会が「法律」を作れば、外国人も投票できるようになる道は開かれているんだね!
「みんなで町を良くしていくにはどうしたらいいか?」という、とっても難しいけれど大切なテーマを教えてくれる裁判だったんだね。
条文補足:日本国憲法第93条
第1項:地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。
第2項:地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。