事件名:損害賠償請求事件(再婚禁止期間違憲訴訟大法廷判決)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成27年12月16日
関係法令:
・憲法14条1項
・民法733条(再婚禁止期間。2024年4月1日施行の改正で削除済み)
論点:
・平等原則
・再婚禁止期間
・家族の形
結論:
・女性の再婚禁止期間(180日)のうち、100日を超える部分は合理性を欠き、憲法14条1項に違反する
こんにちは! 今日は、昔からあった「女性だけが離婚した後にすぐ結婚しちゃいけない」という不思議なルールが、憲法違反だと言われたお話を紹介するよ。
「どうしてお父さんの判定をするために、女性だけが自由をガマンしなきゃいけないの?」というギモンに、最高裁判所が答えた歴史的な事件なんだ。
【ストーリー】「すぐに新しい生活を始めたい!」 vs 「お父さんが誰か揉めると困ります」
やっと離婚が成立しました。私はもう、新しいパートナーと新しい人生を始めたいんです。すぐに婚姻届(こんいんとどけ)を出します!
えっ、ちょっと待ってください。今の「民法(みんぽう)」というルールでは、女性は離婚してから「6ヶ月(180日)」経たないと、次の結婚はできないことになっているんです。
ええっ!? そんなの初耳です。でも、私のパートナーであるBさんは、今の旦那さんではありません。どうして半年も待たなきゃいけないんですか? 男性にはそんなルール、ありませんよね?
それは、離婚してすぐに赤ちゃんが生まれたときに、前のお父さんの子か、新しいお父さんの子か、分からなくなって揉(も)めるのを防ぐためなんです。
今は科学(DNA鑑定など)が発達しているんだから、そんなのすぐに分かります! 女性だけが半年も結婚を制限(せいげん)されるなんて、憲法(けんぽう)の「平等」に反しているはずです! 裁判所さん、このルールはもう古いんじゃないですか?
【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の盾(14条・平等)」と「時代の変化」
今回のバトルで、裁判所は憲法14条の「法の下の平等(ほうのもとのびょうどう)」という「魔法の盾」を使って、昔からのルールをチェックしたよ。
国は「お父さんをハッキリさせるため(父性の推定の重複を避けるため)に、180日の禁止期間は必要だ」という「クッション(理由)」を説明したんだ。
でも、裁判所はこう考えたよ。「確かにお父さんが誰か分からなくなるのは困るけれど、今の科学や法律の仕組みを考えれば、『100日』あれば十分判断できるはずだ。それなのに、180日(約半年)も女性だけを縛(しば)り付けるのは、合理的な理由がない『やりすぎな差別』だ!」って。
つまり、180日のうち、100日を超える部分は憲法違反(違憲:いけん)だという審判(しんぱい)が下ったんだね。
【判決】100日を超える再婚禁止は、憲法違反!
最高裁判所(平成27年12月16日)は、次のような答えを出しました。
1. 100日を超える禁止期間は「憲法違反」! 離婚後100日を過ぎてもなお結婚を禁止することは、憲法14条1項が保障する「平等」に反し、不当な差別であると判断されました。
2. 昔の理由は、もう通用しない! 医療や科学が発達した今の社会では、100日を超えてまで女性の自由を奪(うば)う必要はない、とはっきり言われたんだ。
【判決の言葉】
最高裁判所の判決(平成27年12月16日)より
「(再婚禁止期間規定の合理性は)当該規定の目的の正当性並びにその目的達成の手段として……合理性および必要性を総合的に考慮して判断すべきである。……(中略)……再婚禁止期間のうち100日を超える部分は、……憲法14条1項に違反する。」
【追記】判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、日本の家族のルールを根(ね)っこから変えるきっかけになったよ。
– まずは「100日」に短縮(たんしゅく)された! 判決が出た後、すぐに民法が改正されて、女性の再婚禁止期間は「180日」から「100日」に短くなったんだ。また、お医者さんの証明があれば100日以内でも結婚できるようにもなったよ。
– そしてついに「禁止期間」そのものがなくなった! その後、さらなる議論の結果、2022年の民法改正で、女性の再婚禁止期間というルール自体が完全に廃止(はいし)されることになったんだ(2024年4月1日からスタート)。
– 「お父さんのルール」も新しくなった! 「離婚して300日以内に生まれた子は前のお父さんの子」という昔のルールも見直され、新しいお父さんと再婚していれば「今のお父さんの子」と認められる仕組みが整(ととの)えられたんだよ。
まとめ
– 昔は女性だけが、離婚した後に半年間も再婚できない不公平なルールがあった
– 最高裁は、100日を超える禁止は「合理的な理由がない不当な差別」だと怒った
– この判決がきっかけとなり、今は再婚禁止期間そのものが廃止され、男女で差がない自由な社会になったんだね!
「当たり前」だと思われていた昔のルールでも、今の時代の「平等」に合わなければ憲法が守ってくれる、ということを教えてくれる大事な裁判だったんだね。
条文補足:日本国憲法第14条1項
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
条文補足:民法733条(当時の再婚禁止期間規定について)
本判決当時の民法733条は「女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない」と定めていた(180日の再婚禁止期間)。本判決を受けて2016年に100日に短縮され、さらに2022年の民法改正により再婚禁止期間の規定自体が削除された(2024年4月1日施行)。現行の民法733条は削除されている。