事件名:医薬品ネット販売権訴訟上告審判決
裁判所:最高裁判所(最判)
判決日:平成25年1月11日
関係法令:
・薬事法
・薬事法施行規則
・憲法41条
論点:
・唯一の立法機関
・委任の限界
結論:
・第一類・第二類医薬品のネット販売を禁止した省令は、薬事法による委任の趣旨を逸脱しており違法・無効
こんにちは!今日は、みんながインターネットでお買い物をするときに関係する、とっても大切なお話だよ。「ネットで薬(くすり)を売るのを禁止(きんし)する」というルールを、役所(やくしょ)が勝手に決めていいのかどうか、裁判所(さいばんしょ)が厳しくチェックした事件を紹介するね。
【ストーリー】「便利にしたいお店」 vs 「勝手に決めた役所」
私たちは、お店が遠くて困っている人のために、インターネットで薬を売れるようにしたいんです!
うーん、薬は使いかたを間違えると危ないですからね。新しく「薬事法施行規則(やくじほう・しこうきそく)」というルールを作りました。今日から、効き目の強い薬(第一類・第二類)はネットで売っちゃダメです!
ええっ!? そんな大事なルール、いつ決まったんですか? 国会(こっかい)で話し合って決める「法律(ほうりつ)」には、そんなこと書いてありませんよね?
法律には「詳しいことは役所が決めていいよ」って書いてあるんです。だから、私たちがこのルール(規則)を作ったんです。文句(もんく)を言わずに従(したが)ってください!
そんなのひどい! 役所の人が勝手に「あれはダメ、これはダメ」って決めたら、私たちの自由(じゆう)がなくなっちゃいます。裁判所のみなさん、助けてください!
【解説】裁判所でのバトル:国会のスケッチ vs 役所の色ぬり
二人とも、落ち着いて。今回は「だれがルールを作るのか」という、民主主義(みんしゅしゅぎ)の基本(きほん)について考えよう。
日本では、憲法(けんぽう)41条という「民主主義の盾(たて)」によって、一番大切なルールは、みんなが選んだ代表が集まる「国会」で作ることになっているんだ(唯一の立法機関)。
でも、世の中のルールを全部国会で決めるのは大変だから、国会が「大まかなスケッチ(法律)」を描(えが)いて、細かい「色ぬり(規則)」を役所にお任(まか)せすることがある。これを「バトンタッチ(委任:いにん)」というよ。
大事なのは、役所は「スケッチの線からはみ出して色をぬっちゃいけない」ということなんだ。
今回の「薬事法」という法律(スケッチ)には、「ネットで売るのを全部ダメにする」なんて線は描いていなかった。それなのに、役所が勝手に「ネット禁止!」という大きな色をぬってしまったのは、国会からのバトンタッチの約束(趣旨:しゅし)を破(やぶ)った「ルール違反(逸脱:いつだつ)」になるんだよ。
【判決】役所が勝手に決めたルールは「無効(むこう)」!
最高裁判所(平成25年1月11日)は、次のような答えを出しました。
1. ネット販売を禁止するルールは、法律の範囲(はんい)を超えている! 薬事法という法律は、役所にそこまで大きな制限(せいげん)を決めるパワーを与えていないと判断されました。
2. 役所が勝手に作った「ネット禁止」のルールは無効! 国会でちゃんと話し合わずに、役所が勝手に商売の自由を奪(うば)うことはできない、と決まったんだよ。
【判決の言葉】
最高裁判所の判決(平成25年1月11日)より
「……(第一類・第二類医薬品の郵便販売を禁止した規定は)薬事法の授権(じゅけん:パワーをあたえること)の趣旨を逸脱したとして違法・無効である。」
まとめ
– 一番大切なルールは、みんなの代表が集まる「国会」で決めなきゃいけない
– 役所が細かいルールを作るときは、法律で決まった「バトンタッチの範囲内」でやらなきゃダメ!
– 法律に書いていないのに、役所が勝手にみんなの自由を制限(せいげん)するルールを作っても、それは無効(認められない)なんだね
みんなが自由に、そして安全にお買い物ができるように、ルール作りのルールもしっかり守られているんだね!
条文補足:日本国憲法第41条
国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。