行政・法律の疑問 読了 4分

仲間を助けるための寄付は、「目的の箱」の中に入っているよっていう判例【群馬司法書士会事件】

★ 判例データ

事件名:債務不存在確認請求事件(群馬司法書士会事件上告審判決)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成14年4月25日

関係法令:
・民法34条(法人の目的の範囲)
・日本国憲法19条(思想・信条の自由)

論点:
・強制加入団体
・目的の範囲
・災害支援寄付
・思想・信条の自由

結論:
・強制加入団体である司法書士会が被災した他会を支援するために会員から特別負担金を徴収する決議は、会の目的の範囲内であり有効

こんにちは! 今日は、前回お話しした「南九州税理士会事件」とセットで覚えるととってもわかりやすい、もう一つの「グループのルール」についてのお話だよ。

「どうしても入らなきゃいけないグループ(強制加入団体)」が、「困っている仲間を助けよう!」とお金を集めるのは、どこまで許されるのかな? 裁判所が出した、温かくて大切な答えを見てみよう。

【ストーリー】「震災の支援なら出してもいい?」 vs 「やっぱり納得いかない!」

司法書士のAさん

私は司法書士の仕事をしています。仕事をするためには、法律で決まっているこの「群馬司法書士会」に必ず入らなければなりません。
司法書士会の担当者

みなさん、大変です! 阪神・淡路大震災で、兵庫県の仲間の司法書士さんたちが大きな被害を受けました。彼らがまた仕事を再開できるように、みんなで「復興支援(ふっこうしえん)の寄付」をしませんか?
Aさん

それは素晴らしいことですね。でも、会費とは別に一人数万円も「特別負担金」として集めるんですか?
司法書士会の担当者

はい。みんなで話し合って、合計3,000万円を兵庫の会に贈ることに決めました。これは仲間のピンチを救うための、大事な決まりです。
Aさん

うーん……。困っている人を助けたい気持ちはありますが、私は自分で寄付する先を決めたいんです。強制的に集められるのは、税理士会の事件のときと同じで、私の「自由」を傷つけていませんか? 裁判所さん、これも「目的の外」ですよね?

【解説】裁判所でのバトル:登場!「目的の箱(民法34条)」と「助け合い」

今回のバトルでも、ポイントになったのは「目的の箱(法人の目的の範囲)」だよ。

前回の「南九州税理士会事件」では、特定の政治家を応援することは、グループの目的の箱から「はみ出している」と判断されたよね。

でも、今回の裁判で裁判所はこう考えたんだ。「司法書士会というグループは、仲間の司法書士がちゃんと仕事ができるようにサポートする場所だ。だから、大災害で困っている仲間のグループを助けることは、自分たちのグループを維持(いじ)していくために必要な活動といえる。つまり、これは『目的の箱』の中にしっかり入っているよ」ってね。

さらに、政治家への寄付とは違って、被災地支援のための寄付は、会員一人ひとりの「何を信じるか(思想・信条)」という根本的な自由を無理やりねじ曲げるほどのものではない、とも判断されたんだ。

【判決】仲間のための寄付は、目的の範囲内で「有効」!

最高裁判所(平成14年4月25日)は、次のような答えを出しました。

1. 被災した会への寄付は、会の目的の範囲内! 大震災で被害を受けた他の司法書士会を助けるための寄付は、司法書士会の「目的の範囲(民法34条)」をはみ出していないとされました。
2. 特別にお金を集める決議も「有効」! この寄付のためにお金を集めることは、会員の思想や信条の自由を不当に傷つけるものではないため、多数決で決めたルールとして認められました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(平成14年4月25日)より
「(本件の寄付は)司法書士会の『目的の範囲』を逸脱(いつだつ)するものとまでいうことはできない。……(中略)……本件負担金の徴収は、会員の思想信条の自由等を害するものでもない。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本のさまざまな専門家グループや団体の活動に、「安心」と「新しい基準」を与えたよ。

「助け合い」のルールがはっきりした! この判決のおかげで、強制加入の団体であっても、災害などの緊急時に「仲間を助けるための活動」を堂々と行えるようになったんだ。
「政治」と「社会貢献」の線引きができた! 「特定の政治家を応援するのはダメ(南九州税理士会事件)」だけれど、「社会的に困っている仲間を救うのはOK(群馬司法書士会事件)」という、グループがやっていいことの具体的な境界線が引かれたんだよ。
会員の納得感と団結が強まった! 多数決で何でも決めていいわけではないけれど、その活動がグループの本来の役割(共助)にかなっているなら、一人の反対があっても進められる。このバランスによって、日本の多くの団体は、より社会に貢献する活動に取り組みやすくなったんだ。

まとめ

まとめ

– 入るのが義務のグループでも、仲間の会を救うための寄付はできる
– それは、グループの本来の役割である「目的の範囲(箱)」に入っているから
「政治的な応援」とは区別して考えられることが、今の日本のルールなんだね!

「困ったときはお互い様」という精神も、法律のルールという「箱」の中に、ちゃんと大切にしまわれているんだね。

補足
民法第三十四条(法人の能力)
「法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。」
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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