行政・法律の疑問 読了 4分

卒業式で「君が代」を歌うルールは、先生の「心」を縛っているの?っていう判例【「日の丸・君が代」訴訟(損害賠償)】

★ 判例データ

事件名:損害賠償請求事件(「日の丸・君が代」訴訟上告審判決)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成23年6月6日

関係法令:
・日本国憲法19条(思想・良心の自由)
・国家賠償法1条(公権力の行使による損害賠償)

論点:
・起立斉唱命令と思想・良心の自由(憲法19条)
・慣習としての行動と心の自由の区別
・命令違反を理由とした懲戒処分の正当性

結論:
・起立斉唱命令は憲法19条に違反せず、懲戒処分を理由とした国家賠償も認められない

こんにちは! 今日は、前回紹介した「東京都教育委員会事件」と同じシリーズの裁判で、2011年(平成23年)6月6日に最高裁判所が出した答えを紹介するね。 学校の先生が「君が代」を歌わなかったことで罰(懲戒処分)を受けたとき、「これは私の自由を奪うひどい命令だ! 国はお金を払って謝って!」と訴えた事件なんだ。

【ストーリー】「心に嘘はつけません」 vs 「公務員としてのルールです」

先生のAさんたち

私たちは、自分の信じていること(信念)から、どうしても卒業式で「君が代」を歌うために起立することができません。それなのに、校長先生が「立ちなさい」と命令(職務命令)し、それに従わなかったからといって私たちに「戒告(お叱り)」などの罰を与えるのは、あまりにひどいです! 憲法19条違反です。私たちの心が傷ついた分、お金(損害賠償)を払ってください!
東京都(教育委員会)

学校の式典は、みんなで協力して作り上げる大切な行事です。公務員である先生が、決まったルールに従わないのは困ります。この命令は、式典をスムーズに進めるための「仕事上の指示」であって、個人の心を攻撃するものではありません。

【解説】裁判所でのバトル:「魔法の仕分け(慣習としての行動)」

今回のバトルのポイントも、憲法19条が守る「思想・良心の自由」と、仕事としての「命令」のバランスだよ。

裁判所は、この難しい問題を解くために、先生たちの「行動」を「魔法の仕分け」でチェックしたんだ。

「確かに、特定の歌を歌うのが嫌だという気持ちはわかる。けれど、卒業式で立って歌うことは、日本では昔から続く『式典のしきたり(慣習)』としての側面が強いよね」って。

裁判所はこう考えたんだ。「校長先生の命令は、Aさんの『考え方』そのものを変えろと言っているのではなく、『式典を形づくるための行動』を求めているだけなんだ。だから、この命令はAさんの心の深い部分(思想・良心)を直接否定するものではないから、憲法違反ではないし、お金を払う必要もないよ」と判断したんだね。

【判決】「立って歌う命令」は、憲法19条違反ではない!

最高裁判所(平成23年6月6日)は、次のような答えを出しました。

1. 「君が代」の起立斉唱命令は「合憲」! 卒業式等で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを命じる職務命令は、憲法19条が保障する思想・良心の自由を侵すものではないと判断されました。
2. 損害賠償は認められません! 命令自体が憲法に違反しないため、それに従わなかったことで受けた罰(処分)について、国や都にお金を払わせる(国家賠償)理由はないとされました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(平成23年6月6日)より
「(校長が教職員に発した)卒業式等の式典における国旗に向かって起立して国歌を斉唱すること等を命ずる旨の職務命令は、……教職員に特定の思想を持つことを強制したり、特定の思想を持たないことを禁止したりするものではなく、……憲法19条に違反するものではない。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の学校現場での「ルール」と「罰の基準」をハッキリさせるきっかけになったよ。

「職務命令」に従うのが公務員の基本になった! この判決(を含む一連の判決)によって、学校の先生が式典で「立って歌う」という命令に従うことは、法律上「正当な仕事の一部」であることが確定したんだ。
「罰の重さ」に厳しいチェックが入るようになった! 命令に従うのは義務だけれど、裁判所は後の判決(平成24年1月16日)で、「歌わなかっただけで、すぐに給料を減らしたり(減給)クビにしたりするのは、やりすぎかもしれない」という基準も示したんだ。これによって、「お叱り(戒告)」よりも重い罰を与えるときには、よっぽど特別な理由が必要になったよ。
「自由」と「責任」を考える教材になった! 公務員としての責任と、個人としての自由。この2つがぶつかったとき、どうやって折り合いをつけるべきかという問題は、今でも学校や役所で大切に話し合われるテーマになっているんだよ。

まとめ

まとめ

– 最高裁は、式典で「立って歌う命令」は、憲法19条(心の自由)に違反しないと言った
– それは、起立斉唱が「式典のしきたり(慣習)」としての行動だと考えたから
– この判決により、「命令は有効」だが「罰の重さには慎重さが必要」という今の日本のバランスが決まったんだね!

みんなが卒業式で目にする光景の裏側には、先生たちの権利と、みんなのための式典を守る責任についての、こんなに深いお話があったんだね!

補足
条文補足:日本国憲法第十九条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
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