行政・法律の疑問 読了 4分

裁判官の「良心」は、自分の好き嫌いじゃないんだよっていう判例【有毒飲食物等取締令違反事件】

★ 判例データ

事件名:有毒飲食物等取締令違反被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和23年11月17日

関係法令:
・憲法76条3項

論点:
・裁判官の良心
・司法の独立
・司法権

結論:
・裁判官の「良心」とは個人的な意見ではなく、外部の圧迫・誘惑に屈しない自己内心の良識と道徳観に従うことを意味する

こんにちは!今日は、裁判所で白黒つける「裁判官(さいばんかん)」というお仕事の人たちの、心の中のルールについてのお話だよ。

みんなは、裁判官が「私はこの人が嫌いだから、罰(ばつ)を与える!」なんて、自分の気分で決めたらどう思う? それは困るよね。でも、憲法(けんぽう)には「裁判官は、良心(りょうしん)に従って、独立して仕事をする」って書いてあるんだ。この「良心」って、いったい何のことなのかな?

【ストーリー】「自分勝手な正義」 vs 「法律というルール」

裁判官のAさん

私は裁判官です。今、私の目の前には「毒がある食べ物を売った」と疑われている人がいます。でも、この事件で使われている「有毒飲食物等取締令」という古いルール、私はどうも納得(なっとく)がいきません。私の心の「良心」が、こんなルールは使っちゃダメだと言っているんです!だから、今回は法律を無視して判決を出します!
検察官(けんさつかん)のBさん

ちょっと待ってください! 憲法には「裁判官は、憲法と法律にしばられる」とも書いてあります。裁判官が「私はこの法律が嫌いだから守らない」なんて言い出したら、世の中のルールがバラバラになってしまいますよ。それは「良心」ではなく、ただの「ワガママ」じゃないですか?
裁判官のAさん

いいえ! 憲法が「良心に従え」と言っているのは、私が「正しい」と思うことに従えという意味のはずです。誰がなんと言おうと、私の正義を貫(つらぬ)きます!

【解説】裁判所でのバトル:本当の「良心」の正体とは?

裁判所

二人とも、一度落ち着いて考えよう。今回の大切なポイントは、憲法76条3項に書いてある「良心」という言葉の本当の意味だね。

もし「良心」が「個人の好き嫌い」のことだとしたら、裁判官によって答えがバラバラになって、国民は安心して裁判を受けられなくなってしまう。

そこで、最高裁判所は「魔法の言葉」を使って、こう説明したんだ。

「裁判官の良心とは、自分の勝手な意見のことではなく、『外部からの圧力(あつりょく)や誘惑(ゆうわく)に負けない、プロとしての正しい感覚』のことなんだよ」って。

これは、政治家から「この人を無罪にしろ!」と脅(おど)されたり、お金を積まれて誘惑されたりしても、絶対に屈(くっ)しないで、「法と証拠(しょうこ)に基づいた正しい道徳心」を守るということ。

つまり、裁判官が持つべきなのは、個人の「ワガママな正義の盾(たて)」ではなく、どんな攻撃(こうげき)からも裁判の正しさを守り抜く「プロフェッショナルの盾」なんだね。

【判決】良心とは、外部に負けない「強い責任感」のこと!

最高裁判所(昭和23年11月17日)は、次のような答えを出しました。

1. 裁判官の「良心」は、個人的な意見ではない! 憲法でいう「良心に従い」とは、裁判官が自分の勝手な考えで法律をねじ曲げていいという意味ではありません。
2. 外部の圧力に負けないことが一番大事! 誰かに命令されたり、悪い誘惑にのったりせず、裁判官としての自分の良識と道徳観(どうとくかん)をしっかり保(たも)つことを指しています。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(昭和23年11月17日)より
「(憲法76条3項にいう『良心に従ひ』の意味について)裁判官が有形無形の外部の圧迫乃至(ないし)誘惑に屈(くっ)しないで自己内心の良識と道徳観に従うの意味である。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の裁判の「公平さ」を支える一番の土台になったよ。

「裁判の独立」が守られるようになった! どんなに偉(えら)い政治家や、強そうな人たちが裁判をコントロールしようとしても、裁判官は「私の良心(プロとしての責任)にかけて、それはできません」とはっきり断る勇気をもらえるようになったんだ。
「誰が裁判しても同じルール」という安心感が生まれた! 裁判官が自分の気分で判決を変えるのではなく、みんなで決めた「法律」という物差しを使い、それをプロの誠実(せいじつ)さで守るという仕組みが確立したんだよ。
裁判官の教育の基本になった! 新しい裁判官たちは、まずこの判例を学んで、「自分は個人的な考えで裁(さば)くのではなく、社会全体の正しさを守るためにいるんだ」という重い責任を感じるようになったんだね。

まとめ

まとめ

– 裁判官の「良心」とは、ワガママや好き嫌いのことではない
– 「外部の脅(おど)しや誘惑に負けない」という強いプロ意識のこと
– このルールがあるからこそ、私たちは「誰が相手でも、フェアな裁判が受けられる」と信じることができるんだね!

法律は言葉だけでなく、それを扱う人の「心の強さ」によって支えられていることがわかった判例だったね!

補足
条文補足:日本国憲法第76条
第1項:すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
第2項:特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
第3項:すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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