★ 判例データ
事件名:損害賠償請求事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和63年4月22日
関係法令:
・行政法
・憲法
・自治体法
・自治体法
論点:
・正当な補償
結論:
・記事本文参照
読者のみなさん、こんにちは! 今日は、国が道路や堤防を新しく作るときに、壊されてしまう古い建物や土地に対して、「歴史の重み」という目に見えない価値にお金を払ってくれるのか? という、「損失補償(そんしつほしょう)」の限界についての裁判を紹介するよ。
【ストーリー】「歴史の価値を認めろ!」 vs 「お金の物差しは不動産の値段です」
土地の持ち主のAさんたち
国(河川改修の担当者)さん! この『輪中堤(わじゅうてい)』を壊して新しい川の工事をするというなら、ちゃんと土地代だけでなく『歴史の重み』の分も補償金を払ってくださいよ!
国の担当者
Aさん、お気持ちは分かります。土地そのものの代金は、周りの土地の値段などを参考にしてしっかり計算してお支払いします。でも、それ以上の上乗せはできません。
Aさんたち
何を言っているんですか! この堤防は江戸時代からずっと、私たちの村を水害から守ってきた命の綱なんです。先祖代々の苦労と歴史が詰まっている、学問的にも価値が高い特別な場所なんですよ。ただの『土の塊』として計算されるのは絶対に納得がいきません!
国の担当者
裁判官さん、聞いてください。憲法29条3項で約束されている『正当な補償』とは、公のために財産を譲ってもらったことによる「財産上のマイナス(お財布へのダメージ)」を埋め合わせるものです。
国の担当者
歴史が古くて立派だとしても、それが不動産市場で高く売れる理由(市場価値)にならない限り、税金から追加でお金を払うわけにはいかないんです!
【解説】裁判所でのバトル:登場!「お財布の穴埋め」と「目に見えない価値」
「みんな落ち着いて。今回のバトルのポイントは、お役所からもらえる『ごめんなさいのお金(補償金)』の中に、歴史や思い出といった『心の価値』や『学問の価値』を含めていいのか、ということなんだ」。
【判決】「歴史的価値」は素晴らしいけれど、補償の対象にはならない!
最高裁判所(昭和63年1月21日)は、次のような答えを出しました。
【判決の言葉】
最高裁判所の判決(昭和63年1月21日)より(要旨) 「……(輪中堤の)歴史的、社会的、学術的価値を認めつつ、……不動産として市場価格を形成する要素となり得るような価値を有するわけでない……(ため、経済的評価になじまず)損失補償の対象とはならない。」
【追記】判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、日本の公共事業における「補償」のルールをとてもシンプルで明確にしたよ。
まとめ
「形ある財産の価値」と「目に見えない歴史の価値」。お役所が補償すべき範囲を客観的に決めた、とてもドライだけれど実務的にフェアな判例だったんだよ。
補足
参照条文:
・第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
参照条文:
・第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。
財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
補足
条文補足:日本国憲法第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
条文補足:日本国憲法第二十九条
財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。