行政・法律の疑問 読了 4分

「過去にさかのぼる時も『初日は数えない』! 逆送りのカウントルールの決め手」っていう判例【株金払込請求事件】

★ 判例データ

事件名:株金払込請求事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和6年5月2日

関係法令:
・民法
・自治体法

論点:
・株金払込請求事件

結論:
・記事本文参照

「過去にさかのぼる時も『初日は数えない』! 逆送りのカウントルールの決め手」っていう判例【株金払込請求事件】

読者のみなさん、こんにちは! 今日は1931年(昭和6年)5月2日に大審院(今の最高裁判所)が出した、「『◯日まえまでに』という期限、どうやって数えるのが正解?」という、時間の数え方のルールを確定させた非常に重要な裁判を紹介するよ。

法律の世界では「これから10日間」という未来の数え方は決まっていたけれど、「10日前までに」という過去に向かって数えるルールははっきり決まっていなかったんだ。その「空白」をどう埋めたのか、見てみよう!

【ストーリー】「1日前っていつのこと?」 vs 「数え方がバラバラだと困る!」

会社の担当者Aさん

株主のみなさんにお知らせです! 新しい株のお金を、期限の「2週間前まで」に払い込む準備をしてくださいね。
株主のBさん

わかりました。ええと、期限が6月15日だから……。15日を1日目と数えて、そこから2週間さかのぼればいいのかな?
担当者Aさん

いえいえ、普通は「今日」を入れずに、明日(というか昨日)から数え始めるものじゃないですか?
株主のBさん

でも、法律(民法)には「未来の数え方」は書いてあるけれど、「過去にさかのぼる数え方」については何も書いてありませんよ! 1日のズレで「期限に遅れた!」なんて言われたらたまったもんじゃありません。
裁判官さん

二人とも落ち着いて。確かに民法には「さかのぼる時」のルールが抜けているね。でも、未来でも過去でも、時間の数え方がバラバラだったらみんな混乱してしまう。ここはひとつ、「魔法のルール」を使って解決しよう!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「逆向きの鏡(類推適用)」

「今回のバトルのポイントは、法律に書いていない『過去への数え方』を、未来のルールをマネして決めてもいいの? ということなんだ」。

1. 未来のルール「初日不算入(しょじつふさんにゅう)」: 民法140条には、未来の期間を数えるときは「初日は数に入れない」というルールがあるよ(午前0時から始まる時以外)。これは、初日が数時間しかない場合に、それを1日として数えちゃうと損をする人が出るからなんだ。

2. 法律の「穴」を埋める「類推適用(るいすいてきよう)」: 過去にさかのぼる場合(例:会議の1週間前までに、など)については、当時の民法にはハッキリした規定がなかったんだ。そこで裁判所は、「類推適用」という魔法の言葉を使ったよ。これは、「似たようなケースのルールを、お隣さんから借りてくる」という考え方のことなんだ。

3. 逆回しのビデオでもルールは同じ!: 裁判所はこう考えたよ。「過去にさかのぼって計算する場合も、未来に向かって計算する場合と同じように考えるのが自然だよね。だから、過去にさかのぼる時も、基準となる日(初日)は数に入れずに、その前日からカウントし始めよう!」と決めたんだ。

【判決】過去にさかのぼる計算も、民法の「初日は入れない」ルールをマネする!

大審院(昭和6年5月2日)は、次のような答えを出しました。

1. 民法の規定を「類推適用」する! 過去にさかのぼって期間を計算する場合について民法に規定はないが、未来の期間計算を定めた民法の規定を類推適用すべきである。
2. 初日はカウントしない! さかのぼる場合も、基準となる当日は数に入れず、その前日から1日、2日と数えるのが正しいルールである。

【判決の言葉】

補足
「過去に遡って計算する場合……の期間の計算方法に関して民法は規定をおいていませんが、この場合も民法の規定が類推適用されます(大判昭6・5・2民集10巻232頁)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本のあらゆる「逆算のしめきり」の基準をひとつにまとめる大きな力になったよ。

– 「しめきり計算」の全国共通ルールができた! 「〇日目までに」という、過去にさかのぼるしめきりを計算するときに、迷うことがなくなったんだ。みんなが同じカレンダーの数え方をするようになったよ。
– お役所や会社の仕事がスムーズになった 例えば、選挙の公示や、議会の招集、株主総会の通知など、「〇日前までに」と決まっている手続きが、このルールのおかげでミスなく行われるようになったんだ。
– 「類推適用」という考え方が広まった 「法律に書いていないことでも、似たルールの知恵を借りて解決する」というフェアな考え方が、この判決を通じて改めて確認されたんだね。

最後に

「過去にさかのぼるときも、その日は数えない」。この100年近く前のルールは、今でも市役所の書類作成や、学校の行事予定、会社の契約など、私たちの生活のあらゆる場面で静かに、けれどしっかり役立っているんだよ。

補足
条文補足:民法第百四十条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
索引を見る
新着の「ムダ知識」をメールで
週1回、選りすぐりの疑問だけ届きます。
登録する