事件名:鳥獣保護及狩_ニ関スル法律違反被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和54年7月31日
関係法令:
・刑法
・鳥獣保護法
・罪刑法
・自治体法
論点:
・(記事本文参照)
結論:
・記事本文参照
捕まえようとするだけでアウト!? 結果がなくても「捕獲」になるの?っていう判例【旧鳥獣保護法違反事件】
読者のみなさん、こんにちは! 今日は、1979年(昭和54年)7月31日に最高裁判所が出した、「動物を捕まえようとして失敗したとき、それでも『捕まえた(捕獲)』ことになるの?」という、言葉の解釈をめぐる不思議な裁判を紹介するよ。
「実際に捕まえていないんだから、セーフじゃないの?」と思うかもしれないけれど、法律の世界では「言葉の魔法」が使われることがあるんだ。ルールをどう読み解くか、その難しさを一緒に見てみよう!
【ストーリー】「一羽も捕まってないぞ!」 vs 「ワナを仕掛けたらアウトだ!」
「よし、この網を仕掛けておけば、珍しい鳥が捕まるはずだ。……あ、あれ? 網は動いたけれど、一羽も中に入っていないじゃないか。今日は空振りだな、帰ろう。」
「ちょっと待ちなさい! あなた、ここで保護されている鳥を『捕獲(ほかく)』しようとしましたね? これは『鳥獣保護法』違反です!」
「何を言っているんだ。網には鳥の影も形もない。一羽も手に入れていないんだから、『捕獲』したことにはならないだろう。失敗しただけなら、犯罪じゃないはずだ!」
「いいえ! 網を仕掛けて鳥を捕まえようとする『行動』そのものが、鳥たちの平和を脅かすんです。実際にカゴに入れなくても、それはもう『捕獲』というルールを破ったことになるんですよ!」
【解説】裁判所でのバトル:登場!「結果」と「行動」のあいだ
今回のバトルのポイントは、法律に書かれた「捕獲」という言葉が、実際に捕まえた「結果」を指すのか、それとも捕まえようとする「行動」まで含むのか、ということなんだ。
1. 「未遂(みすい)」というカベ: 普通の刑法では、「人を殺そうとしたけれど失敗した」という場合には「殺人未遂罪」という別のルールを使うよ。でも、当時の鳥獣保護法には、この「未遂」を罰するルールがはっきり書かれていなかったんだ。
2. 魔法の言葉「目的を考えた解釈」: 裁判所はこう考えたよ。「この法律の目的は、鳥や獣を保護することだよね。だとしたら、網を仕掛けて捕まえようとする危ない行動をした時点で、もうダメだと言えるはずだ」。
3. 結論:失敗しても「捕獲」!: 裁判所は、「捕獲してはならない」という言葉を、「捕獲しようと試みることも含めてダメだ」という風に、少し広げて読み解いたんだ。これで、一羽も捕まえていなくても「捕獲罪」が成立することになったんだよ。
【判決】捕まえるための「具体的な行動」を始めたらアウト!
最高裁判所(昭和54年7月31日)は、次のような答えを出しました。
1. 「捕獲」の範囲を広げた! 法律のいう「捕獲」とは、単に動物を自分の手中に収める「結果」だけでなく、「捕まえようとして具体的な行動(網を張るなど)を始めたこと」も含まれると判断されました。
2. 失敗しても有罪! 実際に動物を捕らえていなくても、その行動を始めた時点でルール違反(既遂)として処罰されることになりました。
【判決の核心】
「(旧鳥獣保護法において)……『捕獲』しようと試みたが捕獲できなかった行為が、『捕獲』を禁止する規定を受けてその違反を処罰している規定に該当するか(が争われ)、……捕獲しようとしてはならないということと解釈することで、結果を含まない行為と理解して、それをそのまま刑罰規定の解釈にも適用しました(参照:最決昭54・7・31刑集33巻5号494頁 ※テキスト768頁より)」
まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、当時の法律の「不備」を浮き彫りにし、その後のルール作りを大きく変えるきっかけになったよ。
– 「あやふやな解釈」への批判が起きた! 「未遂のルールがないからといって、言葉の意味を無理やり広げるのは、罪刑法定主義(ルールをハッキリさせる原則)に反するんじゃないか?」という学者の先生たちからの厳しい批判が起きたんだ。
– ついに「未遂のルール」が追加された! この判決の後の法改正で、今の法律(鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律)には、「捕獲の未遂も罰する」というハッキリした条文が別におかれるようになったんだ。
– 自治体の「条例作り」の教訓になった 「失敗した場合も罰したいなら、あとから解釈で頑張るのではなく、最初から『未遂も罰する』とハッキリ書くべきだ」ということが、自治体職員が条例を作る際の大切な心得になったんだね。
最後に
「正義のためでも、言葉のルールは厳密に」。この1979年の決断は、現在の私たちが「何が犯罪で、何がそうでないか」を、法律の文字からハッキリ読み取れるようにするための、大切な一歩になったんだよ!