行政・法律の疑問 読了 4分

仕事に関係ない「勝手な運転」でも、見た目が仕事中なら会社が責任をとるよ!っていう判例【使用者責任と外形標準説(事実的行為)】

★ 判例データ

事件名:損害賠償請求上告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和52年9月22日

関係法令:
・民法
・不法
・自治体法

論点:
・使用者責任

結論:
・記事本文参照

仕事に関係ない「勝手な運転」でも、見た目が仕事中なら会社が責任をとるよ!っていう判例【使用者責任と外形標準説(事実的行為)】

読者のみなさん、こんにちは! 今日は1977年(昭和52年)9月22日に最高裁判所が出した、「社員が休日に勝手に会社の車を乗り回して事故を起こしたとき、会社は責任を負わなきゃいけないの?」というルールを紹介するよ。

以前、会社のはんこを勝手に使った事件(昭和40年の判例)で「見た目が仕事なら会社の責任」というルール(外形標準説)を見たけれど、今回の裁判は、それを「車の運転などの実際の行動」にも広げた、とっても重要な決断なんだ。

【ストーリー】「休日のドライブでしょ?」 vs 「会社の名前が入った車じゃないか!」

被害者のAさん

「散歩をしていたら、ある会社のロゴが入ったトラックにぶつけられて大ケガをしてしまいました。運転していたBさんはその会社の社員ですよね。会社も一緒に賠償金を払ってください!」
会社(使用者)のC社

「とんでもない! その日は日曜日で、会社は休みでした。Bは会社に内緒で勝手に鍵を持ち出し、自分の用事でドライブをしていただけです。仕事とは1ミリも関係ありません。そんな『泥棒運転』の責任まで会社が取れるはずがないでしょう!」
被害者のAさん

「でも、裁判官さん! Bさんが乗っていたのは、誰が見ても『C社のトラック』でした。私たちは、街を走っているあのロゴ入りの車を見て、『あ、あそこの会社の人が仕事をしているな』と信じているんです。中身が私用かどうかなんて、外からは分かりません!」
会社(使用者)のC社

「主観的に仕事をするつもりがなかったんだから、民法715条の『事業の執行について(仕事として)』には当たらないはずだ! 会社は絶対に払いません!」

【解説】裁判所でのバトル:登場!「見た目の責任(外形標準説)」の拡大

今回のバトルのポイントは、昭和40年のルール(はんこや契約のトラブル)が、「交通事故のような、物理的なアクシデント」にも当てはまるのか、ということなんだ。

1. 「外形標準説(がいけいひょうじゅんせつ)」のおさらい: 社員が心の中で何を考えていようと、周りの人から見て「仕事としてやっているな」という形(外形)を整えているなら、それは仕事中と同じだとみなそう、というルールだよ。
2. 「事実的な行為」への適用: 以前の裁判は「契約」が中心だったけれど、今回の最高裁はこう言ったんだ。「交通事故のような、理屈抜きの『事実的な行動』であっても、同じルールをあてはめるべきだ」。
3. なぜ会社に厳しいの?: 会社は、名前入りの車を走らせることで信用を得て商売をしているよね。だとしたら、その名前を背負った社員が起こしたトラブルも、会社が「看板料」として引き受けるのが、被害者を守るために公平だ、と判断されたんだ。

【判決】見た目が「会社の仕事」に見えるなら、私用であっても会社の責任!

最高裁判所(昭和52年9月22日)は、次のような答えを出しました。

1. 「事故」にも外形標準説を適用! 民法715条1項にいう「事業の執行について」は、取引上のトラブルだけでなく、事故のような事実上の行為についても、客観的な外形を基準にして判断します。
2. 会社は逃げられない! たとえ社員が勝手に、私的な目的で車を運転していたとしても、その車が会社の所有物であり、見た目が仕事中と見られる状況であれば、会社は使用者責任を負わなければなりません。

【判決の核心】(出典:自治体法務検定テキストより)

補足
「判例は、取引の過程で行われる不法行為の場合も事故のような事実的不法行為の場合も外形を基準としています(最判昭52・9・22民集31巻5号767頁など)(参照:テキスト752頁(脚注12)より)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この昭和52年の判決は、日本の会社の「車両管理」のあり方をガラリと変えたよ!

– 社用車の管理がめちゃくちゃ厳しくなった! 「勝手に乗られたから責任はない」が通用しなくなったので、会社は車の鍵を金庫に入れたり、走行記録(ログ)を細かくつけたりして、社員に「泥棒運転」をさせない仕組みを本気で作るようになったんだ。
– 被害者が救われない「空白」がなくなった 事故を起こした社員個人にお金がなくても、背後にある会社が責任を取る基準がはっきりしたことで、交通被害者がきちんと賠償を受けられる、より安心な社会になったんだね。
– 「看板を背負う重み」の再認識 会社のロゴが入った制服を着たり、車に乗ったりすることは、単なるファッションではなく、その瞬間に「会社の責任」も一緒に背負っているんだ、という意識が日本のビジネスマンに浸透するきっかけになったんだよ。

最後に

「見た目が仕事なら、それは仕事としての責任を伴う」。この力強いルールが確立されたおかげで、今の私たちは、街を走る会社の車を信じ、万が一の時にも法律に守られながら暮らしていけるようになっているんだね!

補足
条文補足:民法第七百十五条(使用者等の責任)
ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
索引を見る
新着の「ムダ知識」をメールで
週1回、選りすぐりの疑問だけ届きます。
登録する