事件名:衆議院議員選挙無効事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和5年5月24日
関係法令:
・民法
・公職選挙法
・自治体法
論点:
・(記事本文参照)
結論:
・記事本文参照
「選挙のしめきりも『初日は数えない』! カウント方法のルールを決めた判例【衆議院議員選挙無効事件】」
読者のみなさん、こんにちは! 今日は1930年(昭和5年)5月24日に大審院(今の最高裁判所)が出した、「法律で決まった『◯日以内』という期限、いつから数え始めるのが正解?」という、算数のようで実はとっても大切なルールの裁判を紹介するよ。
衆議院が解散された後、選挙を行うまでの期限をどう数えるか。たった「1日」のズレが、国の運命を決める選挙を無効にしてしまうかもしれない……そんなハラハラするバトルの結末を見てみよう。
【ストーリー】「選挙の日が遅すぎる!」 vs 「計算は合っているはずだ!」
大変だ! 今回の衆議院議員選挙は、法律で決まった期限を過ぎて行われた。これはルール違反だから、選挙は無効だ!
そんなはずはありません。解散の日から数えて、ちゃんと期限内に選挙を行いましたよ。
いや、解散した「当日」から1日目、2日目……と数えたら、選挙の日は期限を1日過ぎているじゃないか!
何を言っているんですか。物事を数えるときは、普通はその日は含めずに「明日」からカウントするものでしょう?
これは国の最高レベルのイベントである「選挙」なんだぞ! 民間の「貸した金を返す日」みたいな数え方(民法)をそのまま当てはめていいわけがないだろう! 裁判官さん、どっちの数え方が正しいのかハッキリさせてください!
【解説】裁判所でのバトル:登場!「初日不算入(しょじつふさんにゅう)」という共通ルール
「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、民法140条にある『初日は数に入れない(初日不算入の原則)』というルールが、選挙のような国の大事なイベントにも適用されるのか、ということなんだ」。
1. 「初日不算入(しょじつふさんにゅう)」のルール: 民法140条では、日、週、月、年で期間を決めるときは、「その日の午前0時から始まる場合を除いて、最初の日(初日)は数に入れない」と決まっているんだ。これを「初日不算入の原則」と呼ぶよ。
2. 民法は「法律界の共通ルールブック」: 裁判所はこう考えたよ。「たしかに選挙は国の公的な行事(公法)だけれど、期間の数え方は、特別な決まりがない限り、民法が定めている『一般的なルール』に従うのが一番分かりやすくて公平だよね」。
3. なぜ初日を入れないの?: もし「解散の瞬間」が夕方だったら、その日は数時間しか残っていないよね。そんな「数時間しかない日」を1日分としてカウントしちゃうと、準備期間が短くなってしまって、みんなが困るからなんだ。
【判決】選挙の期限の計算にも、民法の「初日は数えない」ルールが適用される!
大審院(昭和5年5月24日)は、次のような答えを出しました。
1. 民法140条の適用を認定! 衆議院解散後の総選挙の期日を計算する際、その起算日(いつから数えるか)については、民法の「初日不算入の原則」を適用すべきである。
2. 選挙は有効! 初日を数に入れずに計算した結果、今回の選挙は法律が定める期限内に正しく行われていたので、無効にはならないと判断されました。
【判決の核心】(出典:自治体法務検定テキストより)
「判例に、解散後の総選挙期日の起算日に関し、初日不算入の原則(民法140条)を適用したものがあります(大判昭5・5・24民集9巻468頁)」
まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、日本のあらゆる「しめきり」の計算方法をひとつにまとめる大きな力になったよ。
– 「数え方のミス」による混乱がなくなった! どんな法律のしめきりでも、基本的には「民法の数え方(初日は数えない)」に従えばいいという安心感が生まれたんだ。
– 「民法」がすべての法律の基礎になった お役所のルール(公法)であっても、特に決まりがないときは民法の知恵を借りるという考え方が、この判例によってさらに強まったんだね。
– 現在も続く「共通の物差し」 このルールは100年近く経った今の日本でも現役で、自治体職員が条例の期限を考えたり、私たちが契約の期限を確認したりするときの「世界標準」になっているんだよ。
最後に
「明日から10日後」と言われたら、今日を入れないで明日から数える。私たちが何気なく使っているこの感覚は、この古い裁判のおかげで「法的なルール」としてしっかり守られているんだね!
条文補足:民法第百四十条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。