行政・法律の疑問 読了 5分

「『エッチな目的』がなければ、わいせつじゃないの? 性的意図をめぐる判例【最判昭45.1.29 強制わいせつ被告事件】」

★ 判例データ

事件名:強制わいせつ被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和45年1月29日

関係法令:
・刑法
・自治体法

論点:
・性的自由

結論:
・記事本文参照

「『エッチな目的』がなければ、わいせつじゃないの? 性的意図をめぐる判例【最判昭45.1.29 強制わいせつ被告事件】」

読者のみなさん、こんにちは! 今日は1970年(昭和45年)1月29日に最高裁判所が出した、刑法の「わいせつ」という言葉の解釈をめぐる、非常に有名で、かつ後に大きな議論を呼んだ裁判を紹介するよ。

「相手を辱めるために服を脱がせたけれど、エッチな気持ち(性的欲求)はなかった」……そんな言い訳が通用してしまう時代が、かつての日本にはあったんだ。犯人の「心の中」で罪が決まるのか、それとも「やったこと」で決まるのか。日本の性犯罪のルールの歴史を見てみよう!

【ストーリー】「復讐のために脱がせただけだ!」 vs 「これはわいせつ行為だ!」

被告人のAさん

「私はある女性に対して強い恨みを持っていました。だから、彼女に恥をかかせるために、力ずくで服を脱がせて裸にしました。でも、私は彼女を性的な対象として見たわけではないし、自分を興奮させるつもりもありませんでした。」
被告人のAさん

「裁判官さん、私は単に『復讐(ふくしゅう)』をしただけです。刑法の『強制わいせつ罪』は、性的な満足を得るために行う犯罪のはずですよね? 私にはそんな『性的意図』がなかったのだから、この罪にはあたらないはずです!」
検察官(国側)

「何を言っているんですか! 相手を無理やり裸にする行為そのものが、誰がどう見ても『わいせつ』です。動機が恨みであれ何であれ、被害者の受けた心の傷や屈辱は変わりません。立派な強制わいせつ罪です!」

【解説】裁判所でのバトル:登場!「性的意図(せいてきいと)」という名の見えないルール

今回のバトルのポイントは、「強制わいせつ罪が成立するためには、犯人の心の中に『性的欲求を満足させる目的』が必要なのか」ということなんだ。

1. 「わいせつ」の定義: 最高裁は「わいせつ」とは、「いたずらに性欲を刺激し、普通の人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」と定義しているよ。
2. 書かれていないルール(主観的構成要件要素): この時代の裁判所は、強制わいせつ罪が成り立つためには、単に「わいせつなことをする(客観的)」だけでなく、犯人の心の中に「性的刺激や満足を得る目的(主観的)」がなければならない、と考えていたんだ。
3. 結論:目的が違うなら、わいせつ罪じゃない!?: 裁判所はこう考えたよ。「この事件の目的はあくまで『報復(恨みを晴らすこと)』であって、性的欲求を満たすためじゃないよね。それなら、この罪の特別な目的(性的意図)が欠けているから、強制わいせつ罪にはあたらない」と判断したんだ。

【判決】性的意図がないなら、強制わいせつ罪にはならない!

最高裁判所(昭和45年1月29日)は、次のような答えを出しました。

1. 「性的意図」が必要! 強制わいせつ罪が成立するためには、犯人の側に性的欲求を刺激・満足させようとする「性的意図」があることが必要です。
2. 報復目的の場合は「無罪(強制わいせつ罪として)」! 相手を裸にする行為であっても、それが専ら「報復」や「いじめ」を目的としたものであれば、性的意図がないため強制わいせつ罪は成立しないとされました。

【判決の核心】(出典:自治体法務検定テキスト 刑法編より)

補足
「判例には、報復目的で女性を裸にした行為を強制わいせつ罪にはあたらないとしたものがあり(最判昭45・1・29刑集24巻1号1頁)……『わいせつの目的』を書かれていない主観的構成要件要素とするかにもみえ(ました)(参照:テキスト760, 769頁より)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この昭和45年の決断は、その後の日本の性犯罪のあり方に、長年にわたって深刻な影を落としたよ。

– 「性的意図」がなければ罰せられないという「抜け穴」ができた 例えば、いじめで相手を脱がせたり、動画を撮る目的で無理やり服を脱がせたりしても、「エッチな気持ちじゃありませんでした」と言い逃れされると、強制わいせつ罪という重い罪で処罰するのが難しい状態が約50年近く続いてしまったんだ。
– 「被害者の視点がない」という強い批判が起きた! 「犯人がどう思っていたか」ばかりを重視して、「被害者がどれほど深く傷ついたか」を置き去りにしている、という批判が多くの学者や国民から寄せられるようになったよ。
– ついに判例が変更された!(2017年) この不自然なルールは、2017年(平成29年)11月29日の最高裁大法廷判決によって、ついにひっくり返されたよ! 今では、性的欲求があってもなくても、「相手の性的自由を傷つける行為をすれば、文句なしに犯罪!」という新しい「正解」に変わっているんだ。

最後に

「正義のルールは、時代の変化とともに進化する」。1970年のこの判決は、長らく日本の裁判を縛ってきましたが、今の日本は、犯人の身勝手な言い訳よりも「被害者の尊厳」を大切にする、より温かい法律へと生まれ変わっているんだね!

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