事件名:慰藉料請求上告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和42年6月27日
関係法令:
・民法
・不法
・自治体法
論点:
・(記事本文参照)
結論:
・記事本文参照
「家族が不注意だったなら、もらえるお金が減っちゃうの!?っていう判例【最判昭42.6.27 被害者側の過失】」
読者のみなさん、こんにちは! 今日は、交通事故にあったときにとても重要になる「被害者側の過失(ひがいしゃがわのかしつ)」というルールについてお話しするよ。
自分が直接悪くなくても、一緒にいた家族やパートナーに不注意があったら、もらえる賠償金(ばいしょうきん)が減らされてしまうことがあるんだ。「それって公平なの?」というギモンに裁判所が答えた、今の日本の事故解決のスタンダードを作ったお話だよ。
【ストーリー】「運転していた夫が悪いけど、私は被害者よ!」 vs 「家族はワンチームでしょ?」
「(助手席に乗って)ねえ、あなた。そこの角を曲がって自宅の前で降ろしてちょうだい。」
「わかったよ。……おっと、反対車線からトラックが来ているけど、こっちが曲がるのを待ってくれるだろう。えいっ!(急な転回)」
「うわっ! 危ない! 止まりきれないぞ!(ドカーン!)」
(――残念ながら、この事故で助手席のBさんは亡くなってしまいました。調査の結果、スピードを出しすぎていたトラックのCさんが7割、無理に曲がった夫のAさんが3割悪いという結果になりました――)
「娘を失うなんて……ひどすぎます。トラック運転手のCさん、娘に不注意は全くなかったんですから、娘の損害(5,000万円)を全額払ってください!」
「もちろん申し訳ないと思っています。でも、一緒に車に乗っていた夫のAさんには3割も不注意があったんですよ。BさんとAさんは夫婦として生活を共にしている『ワンチーム』なんだから、Aさんの不注意分(3割)は差し引かせてもらいます!」
「裁判官さん! 亡くなった娘本人は何も悪くないのに、夫の不注意を娘の不注意として扱うなんて、あまりに可哀想じゃないですか!?」
【解説】裁判所でのバトル:登場!「お財布が一緒の魔法(一体性)」
今回のバトルのポイントは、「不注意を計算するとき、被害者本人以外の不注意もカウントしていいのか」ということなんだ。
1. 「過失相殺(かしつそうさい)」の基本: 普通、交通事故では「本人」に不注意があれば、その分だけ賠償金が減るよ(民法722条2項)。でも、今回は亡くなったBさん本人は助手席に座っていただけで、何も悪いことはしていないよね。
2. 魔法の考え方「被害者側の過失」: 裁判所はこう考えたよ。「被害者本人と、身分の上でも生活の上でも『一体(ワンチーム)』だといえるくらい深い関係にある人が不注意だったなら、それを『被害者の側の不注意』としてカウントしてもいいんじゃないかな?」
3. 「お財布」の公平さ: もし、夫のAさんが3割悪いのに、妻の家族が10割のお金をもらえるとしたら、そのお金は結局Aさんとの生活に使われることもあるよね。そうなると、「3割悪いAさんが得をしている」ことになって、相手のCさんにとって不公平になっちゃうんだ。
4. 結論:深い関係ならセットで考える!: 裁判所は、今回の夫婦(内縁関係)のように、生活を共にしている関係であれば、セット(被害者側)として不注意を計算して、賠償金を減らしてもいいと決めたんだ!。
【判決】身分や生活で「一体」の関係なら、その人の不注意分は差し引かれる!
最高裁判所(昭和42年6月27日)は、次のような答えを出しました。
1. 「被害者側」の不注意を認める! 被害者自身の過失(不注意)だけでなく、被害者と身分上、生活関係上、一体をなすとみることができる関係にある者の不過失についても、過失相殺の対象となります,。
2. 「公平の理念」を重視! 今回のケースでは、夫のAさんと妻のBさんは「生活を共にしている関係」なので、Aさんの3割の不注意を差し引いて計算するのが正しい、と判断しました。
【判決の核心】
「民法七二二条二項にいう『被害者に過失があつたとき』とは、単に被害者本人の過失のみならず、……被害者と身分上ないし生活関係上一体をなすとみられるような関係にある者の過失をも包含するものと解するのが相当である(参照:最判昭42・6・27民集21巻6号1507頁 ※テキスト342頁解説より)」,
まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、日本の損害賠償のルールに「新しい公平の基準」を作ったよ!
– 「被害者側の過失」という言葉が常識になった! この裁判以来、日本の交通事故では「誰が一緒にいたか?」「どんな関係か?」によって、賠償金の額が決まるようになったんだ。
– 家族の事故における公平な解決ができるようになった! 「自分たちの不注意を棚に上げて、相手にだけ100%の責任を押し付ける」ということができなくなった。これにより、自動車保険の支払いなども、より納得感のある形で行われるようになったんだ。
– 「家族」以外は含まれない線引きができた このルールが適用されるのは「生活が一緒の家族」などに限られるよ。例えば、保育園の保母さんの不注意は、預かっている子供の「被害者側の過失」にはならない、というハッキリした境界線が示されたのも、この判例のおかげなんだ。
最後に
「悲しい事故であっても、責任の所在はみんなで公平に分かち合う」。この1967年の決断のおかげで、今の日本は、家族やパートナーが関わる事故のときに、どちらか一方が不当に損をしたり得をしたりしないような、バランスの取れたルールが守られているんだよ!
条文補足:民法第七百二十二条(損害賠償の方法、中間利息の控除及び過失相殺)
第四百十七条及び第四百十七条の二の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。