行政・法律の疑問 読了 5分

ストライキをしたら逮捕!? 働く人の権利と公務員の責任【群馬教組事件】

★ 判例データ

事件名:公務執行妨害監禁職務強要被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和42年5月24日

関係法令:
・刑法
・地方公務員法
・憲法
・刑法

論点:
・(記事本文参照)

結論:
・記事本文参照

ご指定いただいた判例は、通称「群馬教組(ぐんまきょうそ)事件」として知られる、公務員の争議行為(ストライキなど)と刑事責任についての非常に重要な最高裁判所大法廷判決(昭和42年5月24日)です。

この事件は、前年に出された「全逓東京中郵事件(昭和41年)」の考え方をさらに進め、「公務員であっても、正当な組合活動であれば刑事罰は免除されるべきだ」という当時の画期的なルールを確立したものです。

読者のみなさん、こんにちは! 今日は1967年(昭和42年)に出された、「先生たちがストライキを計画したら、警察に捕まってしまうのか?」という、公務員の働く権利をめぐるドラマチックな裁判を紹介するよ。

【ストーリー】「教育のためにストをやるぞ!」 vs 「公務員は法律で禁止されている!」

組合リーダーのAさんたち

私たちは群馬県の教職員組合です。今の教育予算や労働条件に納得がいきません。みんなで一斉に休みをとって抗議する「ストライキ」を実行します!
群馬県教育委員会の担当者

ちょっと待ってください! 地方公務員法(37条1項)では、公務員がストライキをすることは厳しく禁止されています。しかも、それをそそのかしたり(あおり行為)、計画を練ったりしたリーダーは、警察に捕まって罰を受ける(刑事罰)ことになっているんですよ。
Aさんたち

そんなのひどい! 憲法28条には「働く人には団結して交渉する権利(労働基本権)」が保障されています。たとえ公務員であっても、自分たちの生活を守るために声を上げるのは当たり前の権利のはずだ!
警察・検察

実際にストライキが行われ、学校の業務がストップしました。これは公務員法違反であり、公務のジャマをした「公務執行妨害(こうむしっこうぼうがい)」や、反対する人を部屋に閉じ込めた「監禁(かんきん)」などの犯罪にあたります。リーダーのAさんたちを逮捕します!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「憲法の盾」と「刑事罰のブレーキ」

補足
「みんな落ち着いて。今回のバトルのポイントは、法律で『禁止』されている公務員のストライキに対して、国が『刑罰(刑務所行きや罰金)』まで与えていいのか、ということなんだ」

1. 公務員も「働く人」である:
裁判所はこう考えたよ。「公務員だって憲法28条で守られた労働者だ。だから、ストライキをしたからといって、いきなり犯罪者として扱うのはやりすぎかもしれない」。

2. 「正当な活動」なら罪にならない(労働刑法免責):
労働組合法(1条2項)には、「正当な組合活動なら、刑罰は与えない」というルールがあるんだ。これを「魔法の盾(刑法免責)」と呼ぼう。裁判所は、この盾を「公務員」にも適用してあげようとしたんだね。

3. 「やりすぎ」の線引き:
「たしかに公務員のストは禁止されているけれど、それが『暴力的でない』『公務に致命的なダメージを与えない』ような、働く人の権利として当たり前の範囲内(正当な範囲)であれば、警察は捕まえてはいけないんだよ」という、厳しいブレーキをかけたんだ。

【判決】暴力のないストライキのリーダーを、刑事罰で罰してはいけない!

最高裁判所大法廷(昭和42年5月24日)は、次のような答えを出しました。

1. 労働基本権を尊重!
公務員にも憲法28条の労働基本権は保障されており、ストライキの禁止やそれに対する刑事罰は、必要最小限度にとどめるべきです。
2. 刑事罰を限定する!
地方公務員法などでストライキをあおる行為を処罰すると決まっていても、それが「正当な組合活動」としての性質をもっており、暴力などを伴わない場合には、刑罰を科すことはできないと判断されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(昭和42年5月24日)より(要旨)
「公務員……といえども、……勤労者としての……労働基本権を保障されている……。……(ストライキの禁止は)合理的な限度をこえてはならない。……正当な争議行為については、……刑法上の免責が認められるべきである。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、当時の公務員の運動をものすごく勇気づけたけれど、その後、日本のルールはまた大きな変化を迎えることになったんだ。

* 「公務員のスト運動」が盛んになった!
この判決によって「捕まらない」という安心感が生まれ、1970年代にかけて公務員のストライキが活発に行われるようになったんだ。
* 「大逆転」の再変更(昭和48年)
実は、その数年後に出された「全農林警職法(ぜんのうりんけいしょくほう)事件(昭和48年)」で、最高裁は再び結論をひっくり返したんだ。「公務員は国民みんなに仕える立場だから、一律にストを禁止して、あおった人を罰しても憲法違反ではない」という、今に続く厳しいルールに戻ったんだよ。
* 今のルール:ストは一律禁止!
現在、地方公務員法(37条)により、日本の公務員はストライキを一切禁止されている。もし実行したりそそかしたりすると、この昭和42年の判決とは違い、今は「懲戒処分(クビや停職)」だけでなく、場合によっては「刑事罰」も受ける可能性があるという、厳しい状態になっているんだ。

まとめ

* 昭和42年の判決は、公務員のストライキに対しても「働く人の権利」を認めて、刑事罰を免除しようとした画期的なものだった。
* でも、その後ルールが変わり、今は公務員のストライキは厳しく禁止されている。
* 「権利を守ること」と「公務を止めないこと」のバランス。この裁判は、その後の日本の労働ルールを考える上での大きな出発点になったんだね!

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補足
参照条文:
・日本国憲法 第二十八条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
補足
条文補足:日本国憲法第二十八条
勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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