行政・法律の疑問 読了 5分

「『襲われる!』と勘違いしてやり返しちゃったら? 正義の盾の『勘違い』ルール【最決昭41.7.7 誤想防衛】」

★ 判例データ

事件名:殺人未遂銃砲刀剣類等所持取締法違反被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和41年7月7日

関係法令:
・刑法
・自治体法

論点:
・責任阻却

結論:
・記事本文参照

「『襲われる!』と勘違いしてやり返しちゃったら? 正義の盾の『勘違い』ルール【最決昭41.7.7 誤想防衛】」

読者のみなさん、こんにちは! 今日は1966年(昭和41年)7月7日に最高裁判所が出した、「攻撃されていないのに、攻撃されたと思い込んでやり返してしまった場合」のルールを決めた、とっても重要で少し切ない裁判を紹介するよ。

「相手がナイフを出したと思って、必死にナイフで応戦した。でも、実は相手は何も持っていなかった……」。そんな風に、事実を勘違いしてしまった人を「わざと(故意)」の犯罪者として罰していいのか? 日本の刑事裁判における「勘違い(錯誤)」のルールを見てみよう!

【ストーリー】「殺されると思ったんだ!」 vs 「誰も襲ってないぞ!」

被告人のAさん

「裁判官さん、信じてください! あの夜、暗闇の中でBさんが私に詰め寄ってきて、懐から何か光る物を取り出したんです。私はてっきりナイフで刺されると思い、『殺される!』とパニックになって、持っていた刃物で先にBさんを刺してしまいました。結果的にBさんは死ななかったけれど(殺人未遂)、私は自分の命を守るために必死だったんです!」
検察官(国側)

「いいえ、Aさん。後の調べで分かりましたが、Bさんはナイフなんて持っていませんでした。光っていたのはただのライターか何かです。あなたは勝手に『襲われる』と思い込んで、何の罪もない人を刺したんです。これは立派な『殺人のわざと(故意)』があったといえます!」
被告人のAさん

「でも、あの状況なら誰だってナイフだと思うはずです! 私は『正当な防衛』をしているつもりだったんです。悪いことをしようという気持ち(犯意)なんて、これっぽっちもありませんでした!」

【解説】裁判所でのバトル:登場!「誤想防衛(ごそうぼうえい)」という名の迷路

今回のバトルのポイントは、「正当防衛だ」と勘違いしてしまった人に、「わざと悪いことをした(故意)」という責任を負わせられるのか、ということなんだ。,

1. 「正当防衛」のルール:
本当の正当防衛は、現実に「急に、不当に襲われている」ことが必要。でも今回は、現実に攻撃はなかったんだ。
2. 魔法の言葉「誤想防衛(ごそうぼうえい)」:
このように、正当防衛の条件(急迫不正の侵害)がないのに、あると勘違いして反撃することを「誤想防衛」と呼ぶよ。
3. 「わざと(故意)」の消滅:
裁判所はこう考えたよ。「この人は『これは正しい行為(防衛)だ』と信じていたんだよね。もしその信じた事実が本当だったら、罪にはならなかったはずだ。それなら、この人には『悪いことをしよう』という心のスイッチ(故意)が入っていなかったと考えよう」。
4. 結論:勘違いは「故意」を壊す!:
防衛の事実を勘違いしていた場合、それは事実の認識を誤った「事実の錯誤」と同じ。だから、重い「殺人未遂罪(故意犯)」としては処罰できない、というルールになったんだね。

【判決】勘違いがあれば「わざと」にはならない!

最高裁判所(昭和41年7月7日)は、次のような答えを出しました。

1. 故意(わざと)を否定!
正当防衛にあたる事実がないのに、あると誤信して反撃した「誤想防衛」の場合、その人には犯罪を犯す意思(故意)がなかったと認められます。
2. 殺人未遂罪などは成立しない!
故意が否定されるため、わざと人を殺そうとした罪(殺人未遂)で罰することはできないと判断されました。

【判決の核心】

補足
「最高裁判所判例も、違法性阻却事由である正当防衛に該当する事実についての錯誤、つまり……誤想防衛については、故意犯の成立を否定しています(参照:最決昭41・7・7刑集20巻6号554頁。テキスト784頁 脚注5より抜粋)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この昭和41年の決断は、日本の刑事裁判の「優しさ」と「厳しさ」のバランスを確定させたよ!

* 「わざと」の認定が慎重になった!
単に「人を傷つけた」という結果だけでなく、犯人がその時「どんな事実を信じていたか」を、警察や裁判所がより深く調べるようになったんだ。
* 「うっかり(過失)」の責任は残る!
今回の判決で「わざと(故意)」は否定されたけれど、もしその勘違いがあまりに不注意なものだったら、別の「過失致死傷罪」などの軽い罪で処罰される可能性は残っているんだよ。
* 「正義の盾」の使い方がハッキリした
自分の身を守るためのルールが、単なる「やり返し」だけでなく、このような「勘違いのケース」まで含めて整理され、今の法治国家の土台になったんだ。

最後に

「心の底から『正しい』と思って行動したのなら、たとえそれが勘違いであっても、『悪意の犯罪者』とは呼ばない」。この1966年の決断は、人間の弱さや思い込みを法律がどう受け止めるかという、刑事法のとても深い知恵を教えてくれているんだね!

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