行政・法律の疑問 読了 5分

「デモ行進」を止めるのは憲法違反?表現の自由を守るルールの判例【新潟県公安条例事件】

★ 判例データ

事件名:昭和24年新潟県条例第4号違反被告事件(新潟県公安条例事件)
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和29年11月24日

関係法令:
・憲法21条(表現の自由・集会の自由)
・新潟県公安条例

論点:
・デモ行進に事前の許可を要求する公安条例は憲法21条に違反するか
・届出制と許可制の区別

結論:
・デモ行進を事前許可制で一般的に抑制することは憲法違反。届出制は合憲

こんにちは! 今日は、みんなで道を歩きながら「○○に反対!」「△△をしよう!」と意見を言う「デモ行進」についてのお話だよ。 自分の考えを伝えることは、憲法(けんぽう)21条が守っている「表現(ひょうげん)の自由」の大切な一部なんだ。でも、もし役所が「デモをするなら、前もって私の許可(きょか)をもらいなさい。ダメと言ったらデモはさせません!」と言ってきたら、どう思うかな? 日本のデモのルールを決定づけた、歴史的な裁判を見てみよう。

【ストーリー】「みんなで歩いて意見を言いたい!」 vs 「許可がないなら逮捕(たいほ)です」

デモに参加したAさんたち

私たちは、今の政治について反対の意見をもっています。だから、新潟市の道をみんなで歩いて、プラカードを掲(かか)げてアピールしたいんです! これは憲法で認められた私たちの自由です!
新潟県の担当者(警察)

ちょっと待ってください! 新潟県の「公安条例(こうあんじょうれい)」というルールでは、デモ行進をするには前もって「許可」をとらなければならないと決まっています。
Aさんたち

私たちは許可をもらわずにデモを行いました。でも、それはこの条例というルール自体が、憲法の「表現の自由」を無視しているからですよ。役所が気に入らない意見を「ダメだ」と言って禁止できるなんて、民主主義の国としておかしいじゃないですか!
県の担当者

道はみんなが使う場所です。勝手に大人数で歩き回ったら、交通がめちゃくちゃになって危ないでしょう? だから、事前に内容をチェックして許可を出す仕組みにしているんです。ルールを破ったAさんたちは、処罰(しょばつ)の対象になります!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「動く集会の自由」

「今回のバトルのポイントは、デモ行進という『動く集会』を、役所が事前にチェックして禁止する『許可制』が憲法21条に違反しないか、ということなんだ」

裁判所は、この難しい問題を解くために、次のように考えを整理したんだ。

1. デモ行進も「自由」の仲間!: 憲法21条には「集会(しゅうかい)の自由」が書かれているけれど、一箇所に集まるだけでなく、みんなで列をつくって歩く「デモ行進」も、「動く集会」として同じように大切に守られるべきものなんだよ。
2. 「許可制」という高い壁: 役所が事前に内容を審査して、「不適切だからやらせない」と決める「一般的な許可制」は、言論を根本から封じ込める力をもっている。だから、これを認めて表現の自由を事前に奪うことは、原則として憲法の趣旨(しゅし)に反して許されないんだ。

裁判所はこう判断したんだ。「デモ行進を完全に禁止するような『許可制』はダメだよ。でも、交通安全やみんなの平穏(へいおん)を守るために、事前に『いつ、どこでやるか』を知らせてもらう『届出制(とどけでせい)』なら、それは憲法違反ではないよ」ってね。

この新潟県の条例については、言葉では「許可」と書いてあるけれど、実際には公共の安全を守るための最低限のチェックをするためのものだと解釈(かいしゃく)されて、最終的には「合憲(ごうけん:憲法違反ではない)」という結論になったんだ。

【判決】一般的な「許可制」でデモを止めることは、憲法違反!

最高裁判所(昭和29年11月24日)は、次のような答えを出しました。

1. デモ行進は憲法21条で保障される! 集団行進や集団示威運動(デモ)は、憲法21条1項が保障する「集会の自由」に含まれると認められました。
2. 事前の「許可制」は原則禁止! デモ行進を役所が事前に審査して抑制(よくせい)する「一般的な許可制」を設けることは、憲法の趣旨に反し許されないというルールが示されました。
3. 「届出制」ならOK! 単に実施を知らせるだけの届出制や、公共の安全を害することが明らかな場合に限った規制であれば、合憲と判断されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(昭和29年11月24日)より
「(集団示威運動等につき)単なる届出制を定めることは格別、そうでなく一般的な許可制を定めてこれを事前に抑制することは、憲法の趣旨に反し許されない。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本全国にある「公安条例」の運用のスタンダードを作ったよ。

– 「許可制」という名の「届出制」になった! 日本中の多くの自治体に公安条例があるけれど、この判決が出たおかげで、役所は「意見の内容が気に入らないから」という理由でデモを不許可にすることはできなくなったんだ。今では、形式上は「許可」という言葉を使っていても、よっぽど物理的に危険な場合を除いて、基本的には認めなければならないという運用が定着しているよ。
– デモが民主主義の風景になった! 「警察に止められるかも」とビクビクせずに、市民が自分の意見を街角で表現できるようになったのは、この裁判で「事前に抑制するのはダメだ」という強いブレーキが国にかけられたからなんだ。
– 「表現の自由」の守り方が明確になった! その後に出た「徳島市公安条例事件」などの裁判でも、この判決の考え方がベースになって、表現活動をどう守り、どう秩序(ちじょ)とバランスをとるかという議論が深まっていったんだよ。

まとめ

まとめ

– デモ行進は憲法21条で守られた大切な「自由」である。
– 役所が事前に内容をチェックして禁止する「一般的な許可制」は憲法違反である。
– この判決のおかげで、今の日本は「自由に声を上げられる社会」が守られているんだね!

みんながニュースで見るデモ行進の風景。その裏側には、表現の自由を命がけで守ろうとした人たちと、それを認めた裁判所の勇気ある判断があったんだね。

補足
条文補足:日本国憲法第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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