行政・法律の疑問 読了 5分

「言われてないことまで調べていいの?」 お上の『おせっかい』が正義を守ることもあるよっていう判例【市議会議員選挙無効裁決取消事件】

★ 判例データ

事件名:市議会議員選挙無効裁決取消請求上告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和29年10月14日

関係法令:
・公職選挙法(選挙訴訟)
・行政事件訴訟法

論点:
・選挙訴訟における職権調査
・裁判所が当事者の申立て以外の事項を調査できるか
・選挙の効力と職権調査

結論:
・選挙訴訟では公益性から裁判所は職権で調査できる

読者のみなさん、こんにちは! 今日は、1954年(昭和29年)に出された、選挙のやり直しをめぐる、とっても大切で少し意外なルールの裁判を紹介するよ。 「お役所は、当事者が言ったことだけを判断すればいいの?」というギモンに対し、最高裁判所が「いや、お役所の審査は、正しい結論を出すために自分から証拠を探しに行かなきゃいけないんだ!」と、お上の「誠実な義務」を認めたお話なんだ。

【ストーリー】「そんなこと言ってない!」 vs 「事実だから仕方ありません」

落選した候補者のAさん

選挙管理委員会さん、異議ありです! 今回の市議会議員選挙は、投票用紙の数え方がおかしかったです。あそこの投票所の結果だけ、もう一度調べ直してください!
選挙管理委員会の担当者

分かりました、調査します。……(調査後)……Aさん、調べましたが、ご指摘の投票所だけでなく、他の投票所でも不正な「身代わり投票」が大量に見つかりました。あなたが言ったこととは違いますが、選挙全体がメチャクチャなので、この選挙そのものを「無効(やり直し)」と決定します。
当選した候補者のBさん

ちょっと待ってください! Aさんは「数え方がおかしい」としか言っていないはずです。それなのに、お役所が勝手に他の場所の「身代わり投票」まで調べて、選挙全体をダメにするなんて「余計なお世話」です! 裁判所さん、お役所が言われていないことまで勝手に調べて出した決定を、取り消してください!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「お上の宿題(職権探知主義)」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、お役所が行う『不服審査(ふふくしんさ)』という手続きが、民事裁判と同じルールなのか、それとも別のルールなのか、ということなんだ」。

普通、お金の貸し借りなどの「民事裁判」では、裁判官は当事者が言ったことや出した証拠だけを見て判断するんだ(弁論主義)。でも、お役所が行う審査は、次のような「特別なルール」があることが確認されたんだよ。

1. 「正しい行政」が一番大事: お役所の審査(当時は訴願法:そがんほう)の目的は、単に当事者のケンカを仲裁することじゃない。「行政が正しく行われ、公共の利益を守ること」が最大の目的なんだ,。

2. 魔法の言葉「職権探知(しょっけんたんち)主義」: 裁判所はこう考えたよ。「お役所は、当事者が言った不満の範囲に縛られちゃいけない。もし、調査の途中で別の重大な間違い(違法)を見つけたら、自分たちの力(職権)で徹底的に調べて、正しい結論を出す責任があるんだ」。

つまり、お上が「おせっかい」をしてでも真実を暴くことは、正義を守るために必要なことだ、という答えが出たんだね。

【判決】お役所は自ら真実を探すべき! 勝手な調査も「適法」!

最高裁判所(昭和29年10月14日)は、次のような答えを出しました。

1. お役所の調査は自由! 行政庁(選挙管理委員会など)が行う不服審査の手続きにおいては、当事者の主張や証拠に縛られず、自ら資料を収集して真実を明らかにする「職権探知主義」が認められます。
2. 言われていない事実で判断してもOK! 当事者が挙げていない事実であっても、それが選挙の公平性を損なう重大な事実であれば、それに基づいて判断を下すことは許されると判断されました。

【判決の言葉】

> 最高裁判所の判決(昭和29年10月14日)より 「訴願(現在の審査請求)の審理においては、……訴願受理官庁は、……必ずしも訴願人の主張する事由のみに拘束されるものではなく、……職権を以て証拠を収集し事実を探索すべきもの、即ち職権探知主義を採用しているものと解すべきである。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の「行政のミスを正す仕組み」の土台を作り、私たちの生活に安心感を与えたよ。

– 「行政不服審査法」のルールとして定着した! この判決で認められた「職権探知主義」は、その後1962年に制定され、2014年に大改正された「行政不服審査法」にもしっかりと引き継がれたんだ。今でもお役所は、私たちの訴えを聞くときに「言われたこと以外は見ない」という言い訳ができなくなっているんだよ。
– 「真実の追究」が当たり前に! 選挙の不正や、間違った行政処分があったとき、お役所には「自分たちで積極的に調べて正す」というアクティブな役割が期待されるようになった。これが、今の日本の「適正な行政運営」を支える大きな力になっているんだ。
– 「裁判所」との役割分担がハッキリした! 「当事者の言い分を尊重する裁判所」と「真実を追究して行政を正すお役所の審査」という、それぞれの役割の違いが法的に整理されたんだ。おかげで、私たちは二つの異なるアプローチで、自分たちの権利を守れるようになったんだね,。

まとめ

– お役所が私たちの不満を審査するとき、当事者の言い分だけに縛られることはない。
– お役所は自らの責任で真実を調査する(職権探知主義)ことが認められている。
– この判決のおかげで、今の日本は「不透明な不正」がお上の手によって自浄(じじょう)される仕組みが守られているんだね!

「真実から目を逸らさない」。お役所の審査に「プロとしてのプライドと責任」を求めた、とっても頼もしい判例だったんだよ。

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