事件名:傷害被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:昭和11年12月7日
関係法令:
・刑法
・違法
・自治体法
論点:
・(記事本文参照)
結論:
・記事本文参照
「『売り言葉に買い言葉』のケンカは、正当防衛にならないよ!っていう判例【大判昭11.12.7 傷害事件】」
読者のみなさん、こんにちは! 今日は1936年(昭和11年)12月7日に、当時の最高裁判所(大審院)が出した、「どこまでが『正当防衛(せいとうぼうえい)』として許されるの?」という、今の日本のケンカのルールの基本になった超・有名な裁判を紹介するよ。
「あいつが先に殴ってきたから、やり返しただけだ! だから僕は悪くない!」……。そんな言い分がどこまで通用するのか、裁判所がのぞいた「心の中のルール」を見てみよう!
【ストーリー】「先に手を出したのはあいつだ!」 vs 「お前もやる気満々だっただろ!」
「裁判官さん、聞いてください! 私は道であのBに呼び止められて、すごまれたんです。Bが突然、武器を持って襲いかかってきたので、私は自分の身を守るために、持っていた刀(※当時は刀などの事件がありました)で応戦しました。Bにケガをさせてしまったのは確かですが、これは自分の命を守るための『正当防衛』です! だから、私は罪になりません!」
「いいえ、Aさん。確かにBさんが先に襲ってきたかもしれません。でも、あなたの当時の様子を見ていた人の話では、あなたは逃げるチャンスがあったのに逃げず、『よし、やってやるぞ!』と自分から進んで戦いに挑んでいたじゃないですか。それは自分を守るためじゃなくて、ただの『ケンカ』です!」
「そんな! 襲われたらやり返すのは当たり前でしょう? どんな気持ちで戦ったかなんて関係ないはずだ。結果的に身を守ったんだから、正当防衛として認めてください!」
【解説】裁判所でのバトル:登場!「防衛の意思(ぼうえいのいし)」という魔法の盾
今回のバトルのポイントは、正当防衛が認められるためには、「相手の攻撃から自分を守ろう」という純粋な気持ち(防衛の意思)が必要なのか、ということなんだ。
1. 「正当防衛」の条件: 法律(刑法36条)では、急に襲われたときに自分を守るためにやったことは、罪にならないと決まっているよ。
2. 魔法の言葉「防衛の意思」: 裁判所はこの事件で、とても大切なルールを付け加えたんだ。それは、「形だけ守っているように見えても、心の中が『攻撃してやろう(攻撃的闘争意思)』という気持ちでいっぱいなら、それは正当防衛とは呼ばない」というルールだよ。
3. 結論:心のコンパスが大事!: 裁判所はこう考えたんだ。「AさんはBに襲われたけれど、それを見て『よーし、返り討ちにしてやる!』と自分から戦いを楽しんでいるような状態だった。これでは『やむを得ず自分を守った』とは言えないよね」。
【判決】「攻撃してやろう」という気持ちがあるなら、正当防衛ではない!
大審院(昭和11年12月7日)は、次のような答えを出しました。
1. 「防衛の意思」が必要! 正当防衛が認められるためには、客観的に急迫不正の侵害があるだけでなく、主観的にも「自分や他人の権利を守ろう」という意思(防衛の意思)がなければなりません。
2. ケンカは正当防衛にならない! 相手の攻撃をきっかけにして、自分も積極的に相手を傷つけようとする「ケンカ(闘争)」の気持ちで行為に及んだ場合は、正当防衛は成立しないと判断されました。
【判決の核心】(出典:自治体法務検定テキスト 刑法編より)
「正当防衛……については、判例・通説では、防衛の意思……が必要とされます(参照:大判昭11・12・7大刑集15巻1561頁 ※テキスト769頁、773頁(脚注1)より)」
判決の後、日本はどう変わったの?
この90年近く前の決断は、日本の「ケンカ」に対する法律の考え方をビシッと決めたよ!
– 「やり返し」への厳しいチェック この判決以来、日本の裁判では「どっちが先に手を出したか」だけでなく、「やり返した側に『守る気持ち』があったのか、それとも『やっつける気持ち』だったのか」が厳しく調べられるようになったんだ。
– 「正当防衛」の安売りがなくなった 「先にやられたから」と言えば何でも許されるわけではない、という常識が定まったんだね。これにより、お互いにエスカレートしていく暴力を防ぐブレーキのような役割を果たすことになったんだ。
– 「心の中」も犯罪の一部になった やったこと(客観)だけでなく、何を考えていたか(主観)が、犯罪が成立するかどうかの大事な一部として、今の日本の刑法理論の基礎になったんだよ。
まとめ
– 正当防衛には、自分を守ろうとする「防衛の意思」が絶対に必要!
– 相手を倒してやろうという「ケンカの気持ち」でやり返したら、それはもう正当防衛じゃない!
– 日本の法律は、「暴力の連鎖」を許さないために、心の中の目的までしっかりチェックしているんだね!
「たとえ相手が悪くても、自分まで暴力を楽しんではいけない」。この昭和11年の知恵が、今の日本の平和なルールを支えているんだよ。