行政・法律の疑問 読了 5分

家賃が遅れたら「勝手に契約を終わらせて、荷物も捨てるよ」という約束はズルいから無効!っていう判例【保証会社の不当条項】

★ 判例データ

事件名:消費者契約法12条に基づく差止等請求事件
裁判所:最高裁判所
判決日:令和4年12月12日

関係法令:
・民法
・消費者契約法
・自治体法

論点:
・(記事本文参照)

結論:
・記事本文参照

家賃が遅れたら「勝手に契約を終わらせて、荷物も捨てるよ」という約束はズルいから無効!っていう判例【保証会社の不当条項】

読者のみなさん、こんにちは! 今日は2022年(令和4年)12月12日に最高裁判所が出した、「お家を借りる時の『保証会社』との約束」に関する、とても大切で新しい裁判を紹介するよ。

「家賃を払わないのが悪いんだから、何をされても文句は言えないの?」と思うかもしれないけれど、実は法律が「それはやりすぎだよ!」とブレーキをかけてくれたんだ。どんな戦いだったのか、見てみよう!

【ストーリー】「家賃が遅れたら即退場!」 vs 「いきなり追い出すのはひどい!」

入居者のAさん

「うう、今月は仕事がなくて家賃が払えない……。なんとか待ってもらえないかな。」
家賃保証会社のB社

「Aさん、契約書のハンコを押した時に約束しましたよね? 『家賃が3ヶ月遅れたら、私たちがAさんに代わって勝手に大家さんとの契約を終わらせる(解除する)』。そして、『お部屋に残っている荷物も全部あきらめて、お部屋を返したことにする』というルールです!」
入居者のAさん

「そんな! たしかに家賃を遅れたのは申し訳ないけれど、何の相談もなくいきなり鍵を替えられたり、荷物を捨てられたりしたら、私は明日から路上で寝るしかありません。せめて『いつまでに払わないとダメだよ』という最後のお手紙(催告)をください!」
家賃保証会社のB社

「いいえ、契約は契約です! Aさんが家賃を払わないリスクを私たちが背負っているんだから、これくらいの強力なルールがないと商売になりません。裁判官さん、この『追い出しルール』は有効ですよね?」

【解説】裁判所でのバトル:登場!「消費者保護の盾」と「思いやりのルール」

「二人とも、落ち着いて。今回のバトルのポイントは、保証会社が決めたルールが、法律(消費者契約法)の認める限界を超えて、借りている人をいじめすぎていないか、ということなんだ」。

1. 「消費者契約法10条」という最強の盾:
この法律は、プロの会社(事業者)と、普通の人(消費者)が契約する時、「消費者の利益を一方的に害するような、ズルい約束」を無効にする力をもっているんだ。

2. 「信義則(しんぎそく)」という魔法の言葉:
裁判所は「信義則」という「相手を思いやって誠実に行動しよう」という基本のルールを使って判断したよ。
* 無催告解除(むさいこくかいじょ): 「家賃が遅れたからって、注意もせずにいきなり契約を終わらせるのは、Aさんの住む場所を奪う重大なことで、信義則に反してズルい!」
* 明渡し擬制(あけわたしぎせい): 「Aさんがまだ住んでいるかもしれないのに、『もう返したことにする』と言って荷物を捨てるのは、裁判所を通さない『自力救済(じりききゅうさい)』の禁止に触れるような、恐ろしいルールだ!」

3. 結論:やりすぎはダメ!:
裁判所は、これらのルールがAさんを一方的に不利にさせていると判断して、「この約束は無効です!」と宣告したんだ。

【判決】消費者の生活を脅かす「強制追い出しルール」は認められない!

最高裁判所(令和4年12月12日)は、次のような答えを出しました。

1. いきなりの契約解除は無効!
家賃の支払いが遅れた際に、事前の通知(催告)もなしに保証会社が勝手に賃貸借契約を解除できるという条項は、消費者契約法10条に違反し、無効です。
2. 勝手な荷物処分も無効!
入居者がお家を空けたとみなして、勝手に荷物を運び出したり処分したりできるという条項も、同じく無効です。

【判決の核心】

補足
「連帯保証人である保証会社が、賃料等の不払等の事情が存するときに、無催告で賃貸借契約を解除することができる旨を定める条項及び賃貸住宅の明渡しがあったものとみなされることが規定されている条項が、消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項に該当し無効と判断されています(参照:最判令4・12・12民集76巻7号1696頁 ※テキスト726頁より)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の「借りる人の安心」を大きく守る革命的な出来事になったよ!

* 「追い出し屋」ができなくなった!
これまで一部の保証会社が行っていた、強引に鍵を替えたり荷物を捨てたりする「追い出し」が、はっきりと「法律違反」だと決まったんだ。
* 保証会社の契約書が優しくなった!
全国の保証会社は、この判決を受けて契約書を書き換えたよ。今では「まずはちゃんとお手紙で注意して、それでもダメなら裁判所の手続きを踏む」という、真っ当なルールが守られるようになったんだ。
* 「住む権利」が再確認された
どんなに家賃が遅れていても、人間としての生活の基盤である「住まい」を、プロの会社が勝手なルールで奪うことはできないという、日本の「居住権」の強さが改めて示されたんだね。

最後に

「弱みを握って無理な約束をさせても、それは法律が許さない」。この2022年の判決のおかげで、私たちは保証会社を利用する際にも、一方的にいじめられる心配をせずに、安心して生活できるようになっているんだよ!

この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
索引を見る
新着の「ムダ知識」をメールで
週1回、選りすぐりの疑問だけ届きます。
登録する