行政・法律の疑問 読了 5分

「エッチな目的」がなくても罪になる! 被害者の尊厳を守る新ルール【性的意図不要判決】

★ 判例データ

事件名:強制わいせつ罪の性的意図不要判決
裁判所:最高裁判所大法廷
判決日:平成29年11月29日

関係法令:
・刑法176条(強制わいせつ罪)

論点:
・強制わいせつ罪の成立に性的意図は必要か
・判例変更の要否
・被害者の尊厳の保護

結論:
・強制わいせつ罪の成立に性的意図は不要(判例変更)

こんにちは! 今日は、2017年(平成29年)に最高裁判所がそれまでのルールをガラッと変えた、「強制わいせつ罪」についての歴史的な裁判を紹介するよ。
「わざとやったけれど、楽しむためじゃなかったからセーフ」という、犯人の苦しい言い訳が通用しなくなった、とっても大切な判決なんだ。

【ストーリー】「嫌がらせでやっただけ! エッチな気持ちはなかった!」 vs 「何をしたかが問題だ!」

被告人のAさん

裁判所さん、私はたしかに相手を裸にしたり、性的なイタズラのようなことをしたりしました。でも、それは相手を困らせて復讐(ふくしゅう)するためであって、自分が楽しんだり、性欲を満たしたりするためじゃなかったんです。
国の担当者(検察官)

何を言っているんですか! 相手が受けた心の傷や、体の尊厳(そんげん)が汚された事実は変わりません。これは立派な「強制わいせつ罪」です。
Aさん

いいえ! 昔の裁判所の決まり(昭和45年の判例)では、「強制わいせつ罪が成立するには、犯人に性的欲求を満たす目的(性的意図)が必要だ」って決まっていたはずです。私はただの「嫌がらせ」だったんだから、この罪にはならないはずだ!
被害者の方

私の尊厳が踏みにじられたのに、犯人の「心の中の目的」次第で罪が軽くなるなんて、納得がいきません!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「心の中」より「目の前の事実」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、わいせつな罪を決めるのに、犯人の『エッチな目的』が絶対に必要かどうか、ということなんだ」

裁判所は、昭和時代から続いていた古いルールを考え直すために、「最大判(大法廷判決)」という一番重い会議を開いて、次のような結論を出したよ。

1. 「性的意図(目的)」というクッションを外す:
以前の判例では、「性的意図」がないとわいせつ罪にはならないという、犯人を守るクッションのようなものがあったんだ。でも裁判所はこう言ったんだ。「わいせつな行為は、それ自体が被害者の性的自由や尊厳を深く傷つけるものだ。犯人が心の中で何を考えていたかなんて、関係ない!」ってね。

2. 客観的に判断する!:
「その行為がわいせつかどうかは、周りの人が見てどう思うか、社会的に見てどうか、という客観的な事実で判断すべきだ」と決めたんだ。これで、「復讐のためだった」という言い訳は通用しなくなったんだよ。

【判決】性的意図は不要! 客観的な行為で罪が決まる!

最高裁判所大法廷(平成29年11月29日)は、次のような答えを出しました。

1. 性的意図は必要ない!
強制わいせつ罪の成立において、犯人の性欲を満たそうとするなどの「性的意図」は必要ありません。
2. 被害者の尊厳を重視!
行為そのものが客観的にみてわいせつであれば、犯人の動機が何であれ、罪が成立すると判断されました。

【判決の言葉】

> 最高裁判所の判決(平成29年11月29日)より
> 「……(強制わいせつ罪の成立に)犯人の性的意図……が常に必要であると解することはできない。……(中略)……性的意図の有無にかかわらず……客観的にみて性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する行為……であれば、本罪が成立する。」
> ※出典 および関連法理解説に基づき構成。

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の性犯罪に対する考え方を根本から変えたよ。

* 被害者の保護が広がった!
「嫌がらせ」「復讐」「いじめ」などの名目で行われていた卑劣な行為も、客観的にわいせつであれば厳しく罰せられるようになったんだ。被害者の傷ついた心に寄り添う司法へと大きく前進したよ。
* 「性的同意」への関心が高まった!
この判決は、2023年(令和5年)の「不同意性交等罪」の新設など、法律がより「相手の意思や尊厳」を大切にする形にアップデートされる流れを作ったんだ。
* 言い逃れが不可能に!
裁判で「そういうつもり(性的目的)はなかった」という逃げ道がふさがれたことで、警察や検察の捜査がより適切に行われるようになったんだよ。

まとめ

* 強制わいせつ罪に、犯人の「エッチな気持ち(性的意図)」はもういらない!
* 「何をしたか(客観的な行為)」によって、正しく罪が裁かれるようになった。
* この判決のおかげで、今の日本は「被害者の尊厳」をより大切にする社会になっているんだね!

(※注:ご質問にある「民集71巻10号2364頁」の引用元は、出典によると「被爆者健康管理手当の相続」に関する別の重要な判決(平成29年12月18日)を指していますが、日付と罪名から、ここでは日本を大きく変えた「性的意図不要」の判例変更のストーリーを紹介しました。)

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