行政・法律の疑問 読了 4分

「死んだ後の『銀行預金』は勝手に分けられない!? 遺産分けの新しいルール【預貯金と遺産分割】」

★ 判例データ

事件名:遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成28年12月19日

関係法令:
・民法
・大法
・自治体法

論点:
・(記事本文参照)

結論:
・記事本文参照

「死んだ後の『銀行預金』は勝手に分けられない!? 遺産分けの新しいルール【預貯金と遺産分割】」

読者のみなさん、こんにちは! 今日は2016年(平成28年)12月19日に最高裁判所(大法廷)が出した、家族が亡くなった時の「銀行預金」の扱いをガラリと変えた、とっても重要な決断を紹介するよ。

亡くなった人の銀行口座にあるお金は、放っておいても相続人の間で自動的に分かれるのか、それとも話し合いが必要なのか。これまでの日本の「当たり前」をひっくり返した事件を見てみよう!

【ストーリー】「僕の分を今すぐ返して!」 vs 「話し合いが終わるまで待って!」

弟のAさん

「父さんが亡くなった。銀行には1,000万円の預金があるけれど、法律(法定相続分)では兄さんと僕で半分ずつ分けることになっているよね。だから、僕の分の500万円を今すぐ下ろさせてください!」
銀行の窓口

「いえ、最高裁の新しいルールで、亡くなった方の預金は『遺産分割(話し合い)』の対象になりました。相続人全員で実印を押した書類(遺産分割協議書)を持ってきてもらうまでは、お一人に勝手にお渡しすることはできません。」
兄のBさん

「そうだよ。僕は父さんが生きている間に、家を建てるお金をたくさん援助してもらった(特別受益)。それを考えたら、今回の預金は弟のAに多めにあげるのが公平かもしれない。でも、その『公平な分け方』は、家庭裁判所や話し合いで決めるべきことだよね?」
弟のAさん

「えっ、そんな! 昔の最高裁の判例では『預金は当然に分かれる』って言ってたじゃないか! 葬式代も必要だし、すぐに僕の分だけでも下ろせないと困るよ! 裁判官さん、何とかしてください!」

【解説】裁判所でのバトル:登場!「当然分割」と「ワンチームの箱(遺産分割)」

今回のバトルのポイントは、「銀行預金は、亡くなった瞬間に自動的にバラバラになるのか、それとも一つの箱に入れて話し合うべきなのか」ということなんだ。

1. 昔のルール「当然分割(とうぜんぶんかつ)」: 以前の最高裁は、「預金は現金と同じようなものだから、亡くなった瞬間に法律の割合どおりに自動的に分かれる」と考えていたよ。だから、話し合いをしなくても自分の分だけ下ろせるはずだったんだ。
2. 新しい魔法の考え方「遺産分割の対象」: でも、最高裁は考えを改めたんだ。「もし、一人の相続人が生前にたくさんお小遣いをもらっていたとしたら、残った預金をただ機械的に分けるだけでは、トータルで不公平になってしまうよね。土地や建物と同じように、預金も一度『相続人全員の共有の箱』に入れて、全部まとめて話し合いで分けるのが一番公平だ!」と判断したんだ。
3. 結論:勝手に下ろすのはストップ!: この決断によって、銀行預金も「話し合いが終わるまでは、誰のものでもない(全員のもの)」という扱いになったんだよ。

【判決】預金も「話し合い」で分けるもの! 勝手には引き出せません!

最高裁判所(平成28年12月19日)は、これまでの判例を変更して次のような答えを出しました。

1. 預金は遺産分割の対象になる! 亡くなった人の預貯金(普通預金、通常貯金、定期預金など)は、相続が起きた瞬間に当然に分かれるのではなく、遺産分割(話し合いや審判)の対象になります。
2. 独断での引き出しは不可! 相続人の一人が、自分の法定相続分の範囲内であっても、他の相続人の同意なしに単独で払い戻しを求めることはできなくなりました。

【判決の核心】

補足
「相続された預貯金債権も遺産分割の対象に含まれる(参照:最大決平28・12・19民集70巻8号2121頁 ※テキスト760頁より)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の相続の実務と法律を大きく動かしたよ!

– 「より公平な遺産分け」ができるようになった! 生前にもらったお祝い金(特別受益)や、介護を頑張った分(寄与分)などを、預金も含めてトータルで調整できるようになったため、納得感のある解決がしやすくなったんだ。
– でも、「お金が下ろせない」という困った事態も発生…… 「話し合いが終わるまで一円も下ろせない」となると、葬式代や生活費に困る人が続出したんだ。
– ついに民法が改正された!(2019年7月施行) この判決で困った人を助けるために、新しい法律(民法909条の2)が作られたよ! 今では、話し合いが終わっていなくても、「預金の3分の1 × 自分の相続分」までは、上限(150万円)付きで単独で下ろせる特例が認められるようになっているんだ。

最後に

「正義(公平)のためにルールを厳しくしたら、別の不便が生まれたけれど、それをまた法律(改正)で補う」。この2016年の決断は、今の日本がより公平で、かつ現実的な相続を行えるようになるための、とても大きなステップになったんだね!

補足
条文補足:民法第九百九条(遺産の分割の効力)
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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