行政・法律の疑問 読了 5分

受刑者も国民の1人!選挙権を一律に奪うのは「憲法違反」だよっていう判例【受刑者選挙権訴訟】

★ 判例データ

事件名:選挙権剥奪違法確認等請求控訴事件(受刑者選挙権訴訟)
裁判所:大阪高等裁判所
判決日:平成25年9月27日

関係法令:
・公職選挙法11条1項2号
・憲法15条(選挙権)
・憲法14条(平等原則)

論点:
・受刑者の選挙権を一律に制限する規定の合憲性
・やむをえない理由による選挙権制限の要否
・過剰な権利制限の禁止

結論:
・受刑者の選挙権を一律に奪う公職選挙法規定は憲法違反

こんにちは! みんなは「選挙(せんきょ)」に行けるのは、どんな人たちだと思うかな? 以前お話しした「成年被後見人」の人たちと同じように、実は刑務所(けいむしょ)に入っている受刑者の人たちも、日本の法律(公職選挙法)では「選挙で投票してはいけない」と決められていたんだ。 今日は、そんな受刑者の「1票」を守るために戦った人たちと、裁判所が出した驚きの答えを紹介するよ。

【ストーリー】「罪はつぐなう。でも、1人の国民として投票したい」 vs 「刑罰を受けている間はガマンしてください」

受刑者のAさん

私は今、刑務所で罪をつぐなっています。でも、日本の国民であることに変わりはありません。国の将来を決める選挙には、私だって参加したい! なぜ投票させてくれないんですか?
国の担当者

Aさん、公職選挙法11条1項2号には「懲役(ちょうえき)や禁錮(きんこ)の刑を受けている人は、選挙権をもたない」とはっきり書かれています。罪を犯して罰を受けている間は、国民としての権利を制限(せいげん)されるのは仕方がないことなんです。
Aさん

刑務所に入るという「罰」は受けていますが、政治に参加する権利まで奪(うば)われるのはおかしいです! どんな人でも、1人の人間として尊重(そんぞう)されるのが、憲法(けんぽう)のルールじゃないんですか?

【解説】裁判所でのバトル:登場!「民主主義のパスポート」と「一律(いちりつ)禁止の壁」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、民主主義にとって最も大切な『選挙権』というパスポートを、国が『受刑者だから』という理由だけで一律に奪っていいのか、ということなんだ」

裁判所は、この問題を解決するために、以前の「在外日本人」や「成年被後見人」の裁判でも使われた「とっても厳しい物差し」を使ったよ。

1. 「選挙権」は民主主義の命!: 裁判所はこう考えたんだ。「選挙権は、国民が政治に参加するための最も基本的な権利だ。これを奪うには、どうしても奪わなきゃいけない『やむをえない理由』が必要なんだよ」。

2. 「とりあえず全員ダメ」はやりすぎ!: 国は「刑罰の一環(いっかん)だ」と言ったけれど、裁判所は「刑務所にいるからといって、みんなが政治を理解できないわけじゃない。個別に事情を考えず、一律に全員から1票を奪うのは、必要以上に厳しすぎる(過剰な制限だ)」と判断したんだ。

【判決】受刑者の選挙権を認めないルールは「憲法違反」!

大阪高等裁判所(平成25年9月27日)は、次のような答えを出しました。

1. 公職選挙法の規定は憲法違反! 公職選挙法11条1項2号が受刑者の選挙権を一律に制限していることには、「やむを得ない事由」があるとは言えず、憲法15条1項などに違反すると判断されました。
2. 差別は許されない! 刑務所にいるというだけで一律に権利を奪うのは、不当な制限であるとはっきり示されました。

【判決の言葉】

> 大阪高等裁判所の判決(平成25年9月27日)より 「公職選挙法11条1項2号が受刑者の選挙権を一律に制限していることについてやむを得ない事由があるということはできず、同号は、憲法15条1項及び3項(等)に違反する。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

実は、この判決の「その後」は、他の「憲法違反」の裁判とは少し違った不思議な状況になっているんだ。

– 判決は確定したけれど…… この判決は、国が上告(上の裁判所に訴えること)をしなかったため、そのまま確定したよ。
– 法律はまだ変わっていない! 以前お話しした「成年被後見人」のケースでは、裁判のあと、すぐに国会が動いて法律を書き換えたよね。でも、この受刑者のケースについては、出典の資料によると、「現在のところ受刑者の選挙権制限を見直す動きはみられていない」んだ。
– 今でも議論が続いている! 「罪を犯した人にどこまで権利を認めるべきか」という問題は、日本社会の中でもとても難しいテーマなんだ。裁判所が「憲法違反だ」と言っても、実際に法律を変えるための話し合いは、まだ足踏(あしぶ)みをしている状態なんだね。

まとめ

– 選挙権は、国民がもっている最も大切な権利。制限するには「やむをえない理由」が必要!
– 裁判所は、受刑者の選挙権を奪う法律を「憲法違反」だと断言した!
– でも、今のところ法律を直す動きはなく、「権利と罰のバランス」についての宿題がまだ残っている状態なんだね。

「罪を犯した人にも1票はあるのか?」という問題は、私たちの社会が「人をどう許し、どう受け入れるか」を問うている、とても深いテーマなんだよ。

補足
条文補足:日本国憲法第十五条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
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