行政・法律の疑問 読了 4分

卒業式で歌わないと「お叱り」を受けるのは憲法違反?っていう判例【「日の丸・君が代」訴訟(戒告処分)】

★ 判例データ

事件名:戒告処分取消等、裁決取消等請求事件(「日の丸・君が代」訴訟上告審判決)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成23年6月14日

関係法令:
・日本国憲法19条(思想・良心の自由)
・地方公務員法(懲戒処分)

論点:
・起立斉唱命令と思想・良心の自由(憲法19条)
・命令違反に対する戒告処分の正当性
・「式典のしきたり」と「心の自由」の区別

結論:
・起立斉唱命令は憲法19条に違反せず、命令違反に対する戒告処分も有効

こんにちは! 今日は、これまでの「君が代」をめぐる裁判のまとめともいえる、2011年(平成23年)6月14日に最高裁判所が出した答えを紹介するね。 「卒業式で立って歌いなさい」という命令に従わなかった先生が、「戒告(かいこく)」という「お叱りのバツ」を受けたことについて、裁判所がどう考えたのかを見てみよう。

【ストーリー】「お叱りを受けるのは納得できません!」 vs 「ルールを守るのも仕事です」

先生のAさん

私は自分の信念から、卒業式で「君が代」を立って歌うことができません。それなのに、命令に従わなかったからといって「戒告(お叱りの処分)」を受けるなんて、私の「心の自由」を無視したひどい仕打ちです! 裁判所さん、この処分を取り消してください!
東京都(教育委員会)

先生、学校の式典は公務員としての仕事の場です。みんなで決めたルールに従って式をスムーズに進めるのは、当たり前のことですよね? 「戒告」は一番軽い処分ですし、公務員としての自覚を促すための正当なものです。
先生のAさん

たとえ軽い処分でも、自分の信じていることに反することを無理やりさせられた結果としてバツを受けるのは、憲法19条が守っている「思想・良心の自由」を傷つけることになります!

【解説】裁判所でのバトル:「魔法の仕分け(慣習としての行動)」

今回のバトルのポイントも、憲法19条が守る「思想・良心の自由」と、仕事としての「職務命令」のバランスだよ。

裁判所は、これまでの同じシリーズの裁判と同じように、「魔法の仕分け」という考え方を使ったんだ。

1. 心の中の「聖域」:誰にも邪魔されず、自分の考えを自由に持っていい場所。
2. 外に見える「行動(しきたり)」:式典を形づくるための、マナーやルールのための動き。

裁判所はこう考えたよ。「卒業式で立って歌うことは、日本では昔から続く『式典のしきたり(慣習)』としての性質が強いものだよね。この命令は、先生に特定の考え方を無理やり持たせるものではないし、心の奥底にある信念を否定するものでもないんだ」って。

つまり、公務員としてのマナーを守るための命令だから、それに従わなかったことで「戒告(お叱り)」を受けることは、憲法違反にはならないと判断したんだね。

【判決】「立って歌う命令」と「お叱りのバツ」は、憲法19条に違反しない!

最高裁判所(平成23年6月14日)は、次のような答えを出しました。

1. 「君が代」の起立斉唱命令は「合憲」! 卒業式等で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱することを命じる職務命令は、憲法19条が保障する思想・良心の自由を侵すものではないと判断されました。
2. 「戒告処分」も有効! 命令自体が憲法に違反しないため、それに従わなかった先生に対して「戒告(お叱り)」という処分を下すことも、基本的には認められるとされました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(平成23年6月14日)より
「(校長が教職員に発した)卒業式等の式典における国旗に向かって起立して国歌を斉唱すること等を命ずる旨の職務命令は、……教職員に特定の思想を持つことを強制したり、特定の思想を持たないことを禁止したりするものではなく、……憲法19条に違反するものではない。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この一連の判決によって、日本の学校でのルールがハッキリと整理されたよ。

– 「職務命令」の力が強まった! 学校の先生が式典で「立って歌う」というルールに従うことは、法律的に「正しい仕事の一部」として定着しました。
– 「バツの重さ」を慎重に考えるようになった! 「戒告(お叱り)」はOKとされたけれど、裁判所は後の判決(平成24年1月16日)で、「歌わなかっただけで、給料を減らしたりクビにしたりするのは、やりすぎかもしれない」という厳しい基準も示しました。これによって、学校現場では「命令」は出しつつも、重すぎる罰を与えないように気をつけるようになっています。
– 「自由」と「公務員の責任」の議論が深まった! 個人の自由は大切だけれど、公務員としてみんなのために働くときには一定のルールを守る必要がある。この難しいバランスについて、日本中の先生や役所の人が改めて考えるきっかけになったんだよ。

まとめ

まとめ

– 最高裁は、式典で「立って歌う命令」は、憲法19条(心の自由)に違反しないと言った
– それは、起立斉唱が「式典のしきたり(慣習)」としての行動だと考えたから
– この判決により、「戒告(お叱り)」程度の処分は認められるけれど、それ以上の重いバツには慎重な判断が必要だという今のバランスが決まったんだね!

みんなが卒業式で目にする「当たり前の光景」の裏側には、先生たちの権利と責任をめぐる、こんなに真剣なバトルの歴史があったんだね。

補足
条文補足:日本国憲法第十九条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
索引を見る
新着の「ムダ知識」をメールで
週1回、選りすぐりの疑問だけ届きます。
登録する