行政・法律の疑問 読了 5分

「契約する前に『大事なこと』を隠すのはダメ! 誠実さのルールの判例」【信義則上の説明義務】

★ 判例データ

事件名:損害賠償請求事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成23年4月22日

関係法令:
・民法
・不法
・自治体法

論点:
・説明義務
・損害賠償

結論:
・記事本文参照

「契約する前に『大事なこと』を隠すのはダメ! 誠実さのルールの判例」【信義則上の説明義務】

読者のみなさん、こんにちは! 今日は2011年(平成23年)4月22日に最高裁判所が出した、「契約のハンコを押す前だったら、相手に嘘をついたり大事なことを黙っていてもいいの?」という、お仕事のときのマナー(誠実さ)についてのルールを決めた裁判を紹介するよ,。

「まだ契約していないから責任はない」という言い訳が通用するのか、法律が定める「誠実さの魔法」について見てみよう!

【ストーリー】「日当たり最高って言ったのに!」 vs 「契約書には書いてないよ」

マンションを買いたいAさん

「このマンション、窓が大きくて日当たりが最高ですね! ずっとこの明るいお部屋で暮らせるんでしょうか?」
マンションを売る業者Bさん

(実は、すぐ目の前に別の高いビルが建つ計画があることを知っているけれど……)「ええ、本当にいい日当たりですよね。今がチャンスですよ!」
Aさん

「そうか! じゃあ、このお部屋を買うことにします。契約します!」

(――その後、Aさんがお家に住み始めると、目の前に大きなビルが建ち始め、お部屋は真っ暗になってしまいました――)

Aさん

「ちょっと業者Bさん! ビルが建つことを知っていたのに、どうして教えてくれなかったんですか! 日当たりが悪くなると知っていたら、こんなに高いお金を出して買わなかったのに。嘘をつかれたのと同じだ、損害を賠償してください!」
業者Bさん

「何を言っているんですか。契約書には『目の前にビルが建たない』なんて一言も書いてありませんよ。契約を結ぶ前の話し合いで何を言おうが、何を黙っていようが、こちらの勝手です。判コを押す前のことなんだから、責任なんてありません!」
Aさん

「そんなのひどい! 裁判官さん、契約する前なら何をしても許されるんですか!?」

【解説】裁判所でのバトル:登場!「誠実さのバリア(信義則)」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、契約という『約束の盾』が完成する前の段階で、相手に対して『正直であるべき義務』があるのか、ということなんだ」。

1. 「信義則(しんぎそく)」という魔法のルール:
民法には、みんなが社会で仲良く、誠実に振る舞わなきゃいけないという「信義誠実の原則(信義則)」という根本的なルールがあるんだ。
2. 契約前の「マナー」:
普通は、契約書に書いてあることがすべてだよね。でも、契約を結ぼうとしてお互いに話し合っている「準備段階」でも、相手を大切にしなければいけないんだ。これを「契約締結(ていけつ)上の過失」といったりするよ。
3. 教えるべき情報の「クッション」:
裁判所はこう考えたよ。「相手が契約を結ぶかどうかを決めるために、ものすごく大切にしている情報(例えば日当たりの変化など)があるなら、それを知っている側は、ちゃんと教えてあげるのがマナーだよね。もし大事な情報をわざと黙っていたなら、それは信義則というルールに違反しているといえるよ」と判断したんだ。

【判決】契約前でも、大事な情報を隠して損をさせたら、責任をとる!

最高裁判所(平成23年4月22日)は、次のような答えを出しました。

1. 「説明する義務」がある!
契約を結ぶかどうかの判断に大きな影響を与えるような情報については、契約を結ぶ前であっても、信義則に基づいて相手にちゃんと提供しなければなりません。
2. 不法行為としての責任!
もしこの義務をサボって、相手に大事なことを伝えないまま契約をさせて損をさせたなら、それは「不法行為(ふほうこうい)」という悪いことになり、損害賠償を支払う義務が発生します。

【判決の核心】(出典:自治体法務検定テキストより)

補足
「契約の一方当事者が契約締結前に、信義則上の説明義務に違反して、契約を締結するかどうかの判断に影響する情報を相手方に提供しなかった場合も、不法行為による損害賠償責任を負います(最判平23・4・22民集65巻3号1405頁)」

まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本のビジネスのやり方をより「正直で透明」なものに変えたよ。

* 「言ったもん勝ち」「黙っていたもん勝ち」ができなくなった!
プロの業者が「聞かれなかったから言わなかった」と言い訳しても、それが大事な情報なら裁判で負けてしまうことがはっきりしたんだ。
* 「重要事項説明」がより丁寧になった!
特に不動産の取引や難しい契約のときには、あとでトラブルにならないように、悪い情報も含めてしっかり説明書(重要事項説明書)に書いて説明する文化が強まったんだよ。
* 消費者の安心感がアップした!
「プロにだまされるかも」という不安に対して、法律がしっかり「誠実でいなさい」というガードをかけてくれたおかげで、みんなが安心して買い物や契約ができるようになったんだね。

最後に

「大切なことは、ハンコを押す前に、ちゃんと伝え合う」。この当たり前のマナーが、最高裁判所の判決によって「法的な義務」としてしっかり守られているんだよ。自治体職員の皆さんも、住民の方々と関わるときは、この「誠実さのルール」を忘れないようにしたいね!

この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
索引を見る
新着の「ムダ知識」をメールで
週1回、選りすぐりの疑問だけ届きます。
登録する