事件名:選挙無効請求事件(参議院議員定数訴訟)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成21年7月15日
関係法令:
・公職選挙法(参議院議員定数配分規定)
・憲法14条(法の下の平等)
論点:
・参議院の1票の格差4.86倍と合憲判断
・前回選挙から格差が縮小したことへの評価
・国会の合理的裁量の範囲内か
結論:
・参議院の格差4.86倍は国会の合理的裁量の範囲内で合憲
こんにちは! 今日も、みんながもっている「1票の重さ」をめぐるバトルの続きだよ。 前回までは「憲法違反(違憲)」という厳しい審判が続いていたけれど、今回は2009年(平成21年)に出された、ちょっと意外な「合格(合憲)」の判定についてのお話です。 「格差があるのにどうしてOKなの?」というギモンから、日本の選挙が変わっていく様子を見てみよう。
【ストーリー】「4.8倍も差があるのにいいの?」 vs 「少しずつ直している最中です!」
裁判所さん、また聞いてください! 2007年(平成19年)に行われた参議院選挙の格差を調べたら、私の住む神奈川県と鳥取県の間で、1票の価値に4.86倍もの差がありました。前回の選挙(5.13倍)よりはマシになっていますが、それでも5倍近いです! 憲法14条の「平等」に違反しているんじゃないですか?
Aさん、私たちはサボっているわけではありません。前回の選挙が5倍を超えていたのに対し、今回は4倍台まで縮めました。参議院には「地域の代表」としての役割もあるので、都道府県をバラバラにせずに格差をなくすのはすごく時間がかかるんです。
でも、1票の価値が4.8倍も違うなんて、民主主義としてやっぱりおかしいです! こんな不公平な選挙は「無効(むこう)」にすべきです!
国会も一生懸命「やりくり(裁量)」している最中です。少しずつ改善しているんだから、今回は「合格」にしてください!
【解説】裁判所でのバトル:登場!「努力賞の物差し(合理的裁量)」
「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、格差が大きくても『改善の努力が見られるなら、国会のやりくりを認めてもいいのか』ということなんだ」
裁判所は、この問題を次のような「努力賞の物差し」を使って考えたよ。
1. 「やりくり(裁量)」の幅を認める: 裁判所は、「選挙のルールをどう決めるかは、基本的には国会に任されている自由(裁量)なんだ。特に参議院は地域の代表という性格もあるから、ある程度の人口差は仕方がない面もある」と考えたんだ。
2. 「改善しているか」をチェック: 今回の4.86倍という数字について、裁判所はこう判断したよ。「たしかに格差は大きいけれど、前回の5.13倍から確実に縮まっている。国会が格差をなくそうと努力している途中の段階だといえるから、これをすぐに『憲法違反』とまで言うことはできない」ってね。
結局、裁判所は「国会のやりくりは、まだデタラメ(著しく不合理)とまでは言えない」として、「合憲(OK)」という答えを出したんだ。
【判決】4.86倍の格差は、憲法の範囲内で「合憲(OK)」!
最高裁判所(平成21年7月15日)は、次のような答えを出しました。
1. 「合憲」である! 2007年に行われた参議院選挙の定数配分は、格差が前回の5.13倍から4.86倍に縮小していることなどを考慮し、国会の合理的な裁量の範囲内であって、憲法の平等原則に違反しないと判断されました。
2. 選挙は有効! 憲法違反ではないため、選挙の無効も認められませんでした。
【判決の言葉】
> 最高裁判所の判決(平成21年7月15日)の背景(要約) 「(参議院の定数配分規定は)……一般的に合理性を有するものとはとうてい考えられない程度に達しているとはいえず、……国会の合理的裁量の限界を超えているものということはできない。」 ※出典 の記述に基づき、当時の裁判所の判断基準を整理しています。
【追記】判決の後、日本はどう変わったの?
(※以下の内容はソース の記述および一般的な背景知識に基づき構成しています。)
この「合憲」判決は、国会にとって「首の皮一枚つながった」状態だったんだ。
– 「次はもう許されない」という空気が強まった! 「改善しているからOK」と言われたものの、裁判所の中には「やっぱり4倍以上はダメだ」という厳しい意見(反対意見)もたくさん出たんだ。これが、国会への強力なプレッシャーになったよ。
– 「違憲状態」へのカウントダウン! 事実、この次の2010年(平成22年)の選挙では、ついに「違憲状態(ダメな状態)」というレッドカード一歩手前の判決が出ることになったんだ。もう「努力しています」という言い訳が通用しなくなったんだね。
– 歴史的な「合区(ごうく)」の実施へ! こうした厳しい判決が続いた結果、ついに2015年に法律が変わり、鳥取と島根、徳島と高知をそれぞれ1つの選挙区にまとめる「合区」という、日本の選挙史上初めての大きな改革が行われることになったんだ。
まとめ
– この裁判では、格差が縮まっていたため「合憲(OK)」という判定が出た。
– でも、「1票の重さの平等」を求める声はどんどん強くなっていった。
– この判決が最後通牒となり、その後の「合区」という大改革につながっていったんだね!
「合格」は出たけれど、それは「今のままじゃ次はダメだよ」という宿題付きの合格だったんだ。私たちの1票をより平等にするために、裁判所と国会がずっと格闘してきた歴史の1ページだったんだね。
条文補足:日本国憲法第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。華族その他の貴族の制度は、これを認めない。栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。