行政・法律の疑問 読了 5分

「裁判で取り返したお金も、弁護士さんの『お給料』の計算に入れていいよ!」っていう判例【住民訴訟の弁護士報酬請求事件】

★ 判例データ

事件名:弁護士報酬請求事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成21年4月23日

関係法令:
・自治体法
・行政法
・地方自治法

論点:
・住民訴訟
・客観訴訟

結論:
・記事本文参照

「裁判で取り返したお金も、弁護士さんの『お給料』の計算に入れていいよ!」っていう判例【住民訴訟の弁護士報酬請求事件】

読者のみなさん、こんにちは! 今日は2009年(平成21年)に最高裁判所が出した、「役所の無駄遣いを裁判で止めたとき、その弁護士代をどうやって決めるか?」という、住民の権利とやる気を支える大切なルールを紹介するよ。

みんなのために勇気を出して裁判を起こし、街に大切なお金を取り戻した住民さんたち。でも、そのために雇った弁護士さんへの支払いを、お役所が「安く値切ろう」としたことから始まったバトルなんだ。

【ストーリー】「街にお金を戻したんだから!」 vs 「公衆のための裁判でしょ?」

住民のAさんたち

私たちは、街のリーダーが税金をルール違反な使い方をしているのを見つけ、裁判(住民訴訟)を起こして勝訴しました! おかげで、街には何億円ものお金が返ってくることになりましたよ。
お役所の担当者

それは素晴らしいですね。街の財政が助かりました。
住民のAさんたち

さて、裁判に勝ったので、法律(地方自治法242条の2第12項)に基づいて、私たちが弁護士さんに支払う報酬(お礼)を街から出してください。これだけの大きな成果を上げたんだから、それに見合う額をお願いしますね。
お役所の担当者

ちょっと待ってください。住民訴訟というのは、自分の利益のためじゃなく、みんな(公益)のためにやる「番犬」のような裁判です。普通のビジネスの裁判とは違います。
お役所の担当者

だから、弁護士さんの報酬も、「これくらい時間がかかったからこれくらい」という実費ベースで決めるべきです。裁判の結果、街にどれくらいお金が戻ったかなんていう「成功報酬」のような考え方は、ふさわしくありません。安く済ませましょう!。
住民のAさんたち

そんな! 難しい裁判を勝ち抜いて大金を取り戻したのに、お役所がそんなケチなことを言うなんて。これじゃあ、次から誰も怖くて裁判なんて起こせなくなっちゃいますよ! 裁判官さん、正しい報酬の決め方を教えてください!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の物差し(総合考慮)」と「成果の価値」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、法律に書いてある『相当と認められる額(ちょうどいい金額)』を、どんな物差しで測るか、ということなんだ」。

1. 「番犬(客観訴訟)」の役割: 住民訴訟は、自分のポケットにお金を入れるための裁判ではなく、役所を正しくするための裁判(客観訴訟)だね。だから、お役所側は「ボランティア精神で安くすべきだ」と主張したんだ。

2. 「成功の果実」を無視していいの?: でも、最高裁判所はこう考えたよ。「住民が頑張ったおかげで、街に多額のお金が戻ってきた事実は無視できないよね。弁護士さんの苦労や時間のほかにも、その『裁判で得られた経済的なメリット』も、物差しの一つに入れるべきだ」。

3. 「やる気」を支えるルール: もし報酬が安すぎたら、住民は弁護士さんを雇えなくなってしまう。裁判所は「住民が正義のために立ち上がる仕組みを壊さないように、しっかりとした基準を作ろう」と判断したんだね。

【判決】弁護士代を決めるときは、街が取り戻したお金の額も考慮しなさい!

最高裁判所(平成21年4月23日)は、次のような答えを出しました。

1. 物差しをミックスする(総合考慮)! 「相当と認められる額」は、単に時間がかかったかどうかだけでなく、事案の難しさ、弁護士の労力、そして判決の結果として自治体が回収できた金額などを総合的に考えて決めなさい。
2. 「経済的利益」は重要なポイント! 住民訴訟がみんなのため(客観訴訟)であっても、その結果得られた財産上の利益を、報酬を決める際の考慮から外してはいけないと判断されました。

【判決の言葉】

補足「(弁護士報酬の具体的な額は、)当該訴訟における事案の難易、弁護士が要した労力の程度及び時間、認容された額、判決の結果普通地方公共団体が回収した額、住民訴訟の性格その他諸般の事情を総合的に勘案して定めるものとする。」

判決の後、日本はどう変わったの?

この判決のおかげで、日本の「住民によるチェック」がもっと力強いものになったよ。

– 優秀な弁護士さんが住民を助けやすくなった! 大きくて難しい裁判(例えば、何十億円もの税金の使い道を争う裁判)でも、勝てばそれに見合った報酬がもらえる可能性が高まったんだ。これで、住民は「プロの力」を借りやすくなったよ。
– 「住民訴訟」のやる気がアップした! 住民側にとって、「裁判に勝っても弁護士代で赤字になるかも」という不安が減ったんだ。悪いことをしているリーダーに対して、「正義の声を上げる」ためのハードルが一つ下がったんだね。
– 自治体のガバナンス(見張り)が強まった! 「住民が本気で訴えてくるかもしれない」と自治体がこれまで以上に感じるようになったことで、税金の使い方をより透明にする今の日本のクリーンな行政につながっているんだよ。

まとめ

– 住民訴訟で勝ったときの弁護士代は、「どれくらい頑張ったか」と「どれくらいお金を取り戻したか」の両方を見て決める!
– 住民訴訟はみんなのため(客観訴訟)だけど、成功した成果(お金の回収)は正当に評価されるべき。
– この判決のおかげで、今は住民が専門家と一緒に税金の無駄遣いを厳しく監視できる環境が守られているんだね!

「みんなのお金を守るための努力を、ちゃんと認めてあげる」。そんな優しくて公平なルールが確定した、とても前向きな判例だったんだよ。

補足
条文補足:地方自治法第二百四十二条の二(住民訴訟)第12項
普通地方公共団体の住民は、前条第一項の規定による請求をした場合において、同条第五項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第九項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第五項の規定による監査若しくは勧告を同条第六項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第九項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第一項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもつて次に掲げる請求をすることができる。当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第二百四十三条の二の九第三項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があつた日から三十日以内監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合当該措置に係る監査委員の通知があつた日から三十日以内監査委員が請求をした日から六十日を経過しても監査又は勧告を行わない場合当該六十日を経過した日から三十日以内監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合当該勧告に示された期間を経過した日から三十日以内前項の期間は、不変期間とする。第一項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもつて同一の請求をすることができない。第一項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。第一項第一号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによつて人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。第一項第四号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。前項の訴訟告知があつたときは、第一項第四号の規定による訴訟が終了した日から六月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。民法第百五十三条第二項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。第一項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第九十一号)に規定する仮処分をすることができない。第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第四十三条の規定の適用があるものとする。第一項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
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