行政・法律の疑問 読了 4分

「太りすぎ」で賠償金が減っちゃうの?自分の体と仕事の責任【東日本電信電話事件】

★ 判例データ

事件名:東日本電信電話事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成20年3月27日

関係法令:
・民法709条(不法行為)
・民法722条(過失相殺)

論点:
・被災者の極端な肥満などの身体的特徴を損害賠償額算定において考慮できるか
・体質的要因を過失相殺の対象にできるか

結論:
・通常人とかけ離れた極端な身体的特徴は賠償額算定において考慮できる

こんにちは! 今日は、お仕事中に病気で亡くなってしまったとき、その責任が「会社」にあるのか、それとも「本人の不摂生(ふせっせい)」にあるのか? という、とってもシビアで大切なお話だよ。 「太っていること」が、裁判でお金(損害賠償)を計算するときにどう影響するのか、最高裁判所が出した答えを見てみよう。

【ストーリー】「働きすぎで死んだんだ!」 vs 「本人の体質にも問題がある」

亡くなった社員の家族

主人は毎日夜遅くまで一生懸命働いていました。そのせいで過労(かろう)で倒れ、亡くなってしまったのです。これは明らかに会社の責任です! 会社は私たちに、きちんと損害賠償(そんがいばいしょう)を支払ってください!
東日本電信電話(NTT東日本)の担当者

確かに、ご主人の仕事が大変だったことは認めます。でも、ご主人は「極端(きょくたん)な肥満(ひまん)」で、高血圧などの持病もありましたよね。健康管理は社会人としての基本です。自分の体を大切にしていれば、ここまでひどい結果にはならなかったはずです。会社がすべての責任を負うのは納得(なっとく)がいきません。賠償金の額を、本人の体質の分だけ「引き算(過失相殺:かしつそうさい)」するべきです!
家族

体格や体質なんて人それぞれじゃないですか! それを理由に「本人のせいだ」なんて言うのは、あまりにもひどすぎます!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の消しゴム(過失相殺)」

「今回のバトルのポイントは、極端な肥満などの『体質的な要因(よういん)』を、賠償金を減らすための理由(過失相殺)として使っていいのか、ということなんだ」

裁判所は、この難しい問題を解くために、次のような「魔法の線引き(バランス)」を考えたんだ。

1. 「過失相殺(かしつそうさい)」という消しゴム: 普通、裁判では、被害者(ひがいしゃ)にも少し悪いところ(過失)があったとき、「魔法の消しゴム(過失相殺)」を使って、賠償金を少し減らすことができるんだ。
2. 「体質」は「不注意」と同じなの?: これまでは、本人の「性格」や「病気になりやすい体質」については、あまり引き算の理由にしないという考え方が強かったんだ。

でも、今回の裁判で最高裁は、次のような「新しいルール」を示したよ。 「もし、その人の肥満(ひまん)などの体質が、普通の人とは比べものにならないくらい極端(きょくたん)で、それが原因で大きなケガや病気になるかもしれないと予想できる場合は、話が別だよ」ってね。

裁判所はこう考えたんだ。「それくらい極端な体質をもっているなら、その人は普段(ふだん)の生活の中で、普通の人よりも『もっともっと慎重(しんちょう)に自分の健康に気をつける義務』があるはずだよね。それを怠(おこた)っていたのなら、賠償金を減らす理由として考えてもいいんだよ」と判断したんだ。

【判決】極端な肥満などは、賠償金を減らす理由になりうる!

最高裁判所(平成20年3月27日)は、次のような答えを出しました。

1. 体質の考慮(こうりょ)を認めた! 極端な肥満など、通常の人とかけ離(はな)れた身体的特徴(しんたいてきとくちょう)が損害を大きくした場合には、それを賠償額の決定において考慮する余地があると判断されました。
2. 「慎重な行動」が求められる! そのような特徴をもつ人は、日常生活において普通の人よりも慎重に自分の健康を守る行動をとるべきである、という考え方が示されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(平成20年3月27日)より
「極端な肥満など通常人の平均値から著しくかけ離れた身体的特徴を有する者が、……日常生活において通常人に比べて慎重な行動をとることが求められる場合は、(賠償額の決定において)考慮する余地がある。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、会社の「安全配慮義務」と、個人の「健康管理」の責任の境界線をより明確にしたよ。

– 「健康経営(けんこうけいえい)」への意識が高まった! 会社側は、「本人の体質だから関係ない」と放っておくのではなく、社員の健康状態をしっかり把握(はあく)して、無理をさせないように管理する責任(安全配慮義務)をより強く意識するようになったんだ。
– 個人の健康管理も「仕事の一部」という見方が強まった! 「自分の体は自分で守る」ということが、単なるマナーではなく、法的にも損害賠償に影響する「責任」であるという認識が広まったんだ。
– 「働き方改革」の議論を加速させた! 過労死(かろうし)を防ぐためには、会社が残業を減らすだけでなく、一人ひとりの健康リスクに合わせた働き方を用意する必要がある、という考え方が定着していったんだ。

まとめ

まとめ

– 過失相殺(かしつそうさい)は、被害者の不注意で賠償金を減らすルール。
– 極端な肥満などの体質も、場合によってはこの「引き算」の理由になる。
– 会社に責任を求めるなら、自分でも健康を守るための努力をすることが大切なんだね!

「何を食べるか、どう休むか」は個人の自由だけど、それが仕事の結果に繋がるときは、法律の世界でも自分の責任として問われることがあるんだ。自分の体を大切にすることが、結局は自分や家族を守ることになるんだね。

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