事件名:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反被告事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成20年11月10日
関係法令:
・刑法
・罪刑法
・憲法
・迷惑防止条例
・自治体法
論点:
・(記事本文参照)
結論:
・記事本文参照
「卑わいな言動」って結局なんなの? あやふやな言葉とルールの限界【北海道迷惑防止条例事件】
読者のみなさん、こんにちは! 今日は2008年(平成20年)11月10日に最高裁判所が出した、「条例にある『卑わいな言動』という言葉は、あやふやすぎて憲法違反じゃないの?」という、ルールの「言葉の正確さ」をめぐる裁判を紹介するよ。
「悪いことをしたら罰を受ける」のは当たり前だけど、その「悪いこと」の書き方が人によってどうにでも取れるようなものだったら、怖くて外を歩けないよね。裁判所がどうやって「あやふやな言葉」に白黒つけたのか、見てみよう!
【ストーリー】「その言葉、意味が広すぎます!」 vs 「普通の人ならわかります!」
「私は北海道の迷惑防止条例違反(卑わいな言動)で捕まりましたが、納得がいきません。条例にある『卑わいな言動』って、具体的に何のことですか? 人によって『いやらしい』と感じる基準はバラバラです。こんなあやふやな言葉で人を罰するのは、何が犯罪になるかあらかじめハッキリさせておくべきだという『罪刑法定主義(明確性の原則)』に違反しているはずだ!」
「そんなことはありません。条例には『正当な理由がないのに、人を著しく羞恥(しゅうち)させ、又は不安を覚えさせるような』という条件もセットで書いてあります。これを読めば、普通の大人なら『あ、これはやっちゃいけないことだな』と判断できるはずです。公共の場所でのマナーを守るために、この言葉は必要なんです!」
「裁判官さん! 言葉がハッキリしないと、警察のさじ加減で誰でも捕まえられてしまいます。そんなの自由な社会じゃありません!」
【解説】裁判所でのバトル:登場!「明確性の物差し」
今回のバトルのポイントは、条例の言葉が「普通の人が見て、自分の行いが当てはまるかどうか判断できる基準」になっているかどうか、ということなんだ。
1. 「明確性の原則(めいかくせいのげんそく)」: 刑罰を決めるルールは、国民が前もって「これをしたらダメなんだな」と予測できるように、ハッキリ書いておかなければならないよ。
2. 言葉の読み解き「日常用語としての合理性」: 裁判所はこう考えたよ。「『卑わいな言動』という言葉は、社会通念上(世の中の常識として)、性的道義観念に反する下品でみだらな言語や動作のことだと理解できるよね」。
3. セットで考える: さらに、「公共の場所で」「正当な理由なく」「著しく恥ずかしい思いをさせたり不安にさせたりする」という前後の言葉と合わせれば、禁止されている範囲は十分ハッキリしている、と判断したんだ。
【判決】「卑わいな言動」は、あやふやではない!
最高裁判所(平成20年11月10日)は、次のような答えを出しました。
1. 条例は憲法違反ではない(合憲)! 「卑わいな言動」という言葉は、日常用語として合理的に解釈することが可能であり、通常の判断能力をもつ一般人であれば、どのような行為が禁止されているか判断できる。したがって、憲法31条(明確性の原則)には違反しません。
2. 有罪を認める! Aさんの行為は、この条例が禁止している「卑わいな言動」にあたると判断されました。
【判決の核心】
「『卑わいな言動』は、……社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな言語又は動作であって、『公共の場所又は公共の乗物にいる者に対し、正当な理由がないのに、著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるような』という文言とあいまって、日常用語として合理的に解釈することができるから、不明確ではない(参照:最決平20・11・10刑集62巻10号2853頁 ※テキスト747頁より)」
まとめ:判決の後、日本はどう変わったの?
この判決は、全国の自治体の「迷惑防止条例」をより進化させるきっかけになったよ!
– 条例の言葉を「もっと具体的に」する努力が始まった! 裁判所は「今のままでもギリギリOK」と言ってくれたけれど、自治体側は「もっと分かりやすくしよう!」と考えたんだ。今では多くの自治体で、「つきまとい」や「卑わいな言動」について、具体的な例(例えば、服を脱ぐ、いやらしい物を見せるなど)を追加する改正が行われているよ。
– 警察の勝手な判断を防ぐ基準になった! 「著しく恥ずかしい思いをさせる」といった高いハードルが改めて確認されたことで、単なるちょっとしたマナー違反でむやみに逮捕されるようなことがないよう、運用のブレーキにもなったんだ。
– 「言葉の壁」への挑戦 この判決は、その後の「ストーカー規制法」や「SNSでの誹謗中傷」など、新しい時代のあやふやな問題に対して、法律がどう向き合うべきかを考える大きなヒントになっているんだね。
最後に
「正義の味方の言葉であっても、誰にでも分かる言葉で語らなければならない」。この2008年の決断は、私たちの自由を守ることと、街の平和を守ることの、むずかしいバランスを教えてくれているんだよ!
条文補足:日本国憲法第三十一条
何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。