事件名:障害基礎年金不支給決定取消請求事件(学生無年金障害者訴訟)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成19年9月28日
関係法令:
・国民年金法
・憲法25条(生存権)
・憲法14条(平等原則)
論点:
・生存権
・立法裁量
・平等原則
・制度の狭間
結論:
・任意加入期間に障害を負った学生への年金不支給は憲法に違反しない
こんにちは!みんなは「年金(ねんきん)」って知っているかな?おじいちゃんやおばあちゃんがもらうイメージがあるかもしれないけれど、実は若いうちに重い病気やケガで障害(しょうがい)を負ったときに、生活を支えてくれる「障害年金」という大切な仕組みもあるんだ。 でも、昔のルールでは、大学生などは年金に入るかどうかが自由(任意加入)だった時期があったんだ。その「入っていない期間」に障害を負ってしまったら……? 「制度のすきま」で苦しむ人を国は救わなくていいのか、最高裁判所が出した答えを見てみよう。
【ストーリー】「学生だったから入っていなかっただけなのに!」 vs 「いつから救済を始めるかは国が決めることです」
私は大学生のときに重い病気にかかり、障害を負いました。当時のルール(国民年金法)では、学生は年金に入らなくてもよかったので、私は入っていませんでした。でも、いざ障害を負ったら「年金に入っていなかったから、お金は一円もあげられません」と言われたんです。これは「健康で文化的な最低限度(さいていげんど)の生活を営む権利(憲法25条)」を壊しているし、他の障害者との不公平な差別(憲法14条)じゃないですか!
Aさん、大変な状況なのは分かります。でも、年金制度はみんなで保険料を出し合って支え合う仕組みです。国は少しずつ制度を良くして、1991年からは学生も必ず年金に入るようにルールを変えました。けれど、それより前に障害を負った人までさかのぼって全員を救うのは、予算のやりくりが追いつきません。
そんなの、生まれた時期や学生だった時期がたまたま古かっただけで見捨てられるなんて、納得がいきません! 裁判所さん、これが「人間らしい生活」を守る国のやり方として正しいのか、判断してください!
【解説】裁判所でのバトル:登場!「お助けルールのやりくり(立法裁量)」
「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、憲法25条が約束する『人間らしい生活』を守るために、国がどのような順番で、どの範囲の人まで助けるかを決めるとき、裁判所がどこまで口を出せるのか、ということなんだ」
裁判所は、この問題を解くために、これまでの福祉の裁判(堀木訴訟や旭川市介護保険条例事件など)でも使われてきた「やりくりの物差し(立法裁量)」を使って考えたよ。
1. 「生存権(せいぞんけん)」のバトン: 裁判所はこう考えたんだ。「憲法25条は、国に対して『みんなを助けなさい』という目標を与えているけれど、具体的にどんな仕組みをいつ作るかは、国のサイフ事情(予算)や社会全体のバランスを見て、国会が専門的に判断すべきことなんだよ」。
2. 「不公平(差別)」かどうかのチェック: Aさんは「差別だ」と言ったけれど、裁判所はこう判断したんだ。「国が少しずつ年金の対象を広げてきたプロセスの中で、以前の学生を対象外としていたことには、制度を安定させるという理由がある。だから、これは憲法が禁止する『合理的理由のない差別』とはいえないんだ」ってね。
結局、裁判所は「国がこの人たちを年金制度に入れなかったことは、明らかにデタラメ(著しく不合理)とは言えないから、憲法違反ではないよ」という答えを出したんだ。
【判決】学生時代の障害者に年金を払わないルールは、憲法に違反しない!
最高裁判所(平成19年9月28日)は、次のような答えを出しました。
1. 「生存権」に違反しない! 国民年金法が、かつて強制加入ではなかった学生時代に障害を負った人たちに年金を支給しない仕組みになっていたことは、憲法25条に違反するものではないと判断されました。
2. 不当な差別ではない! この区別は、合理的理由のない差別とはいえず、憲法14条(平等原則)にも違反しないとされました。
【判決の言葉】
> 最高裁判所の判決(平成19年9月28日)より(要約) 「国民年金法が未加入の学生障害者に年金支給を定めていないことの合憲性が争われた……判決は、……問題となっている区別は合理的理由のない差別とはいえないとして合憲としました。」
【追記】判決の後、日本はどう変わったの?
(※以下の内容は一般的な法知識に基づいています。ソースから読み取れる内容を超えているため、必要に応じて独自に検証してください。)
この裁判そのものはAさんの敗訴(憲法違反ではないという結論)に終わりましたが、社会的な影響はとても大きかったよ。
– 「新しい救済(きゅうさい)ルール」が生まれた! 実は裁判が最高裁まで進んでいる間に、国会では「裁判でどうなろうと、この人たちは放っておけない!」という議論が起こったんだ。その結果、2004年に「特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律」という新しい法律が作られたよ。
– 「給付金(きゅうふきん)」がもらえるようになった! この新しい法律のおかげで、年金としてはもらえなくても、同じくらいの金額の「特別障害給付金」というお金を、制度のすきまにいた人たちに支給する仕組みが整ったんだ。
– 社会保障(しゃかいほしょう)の穴を埋める大切さが確認された! この事件を通じて、法律の条文上は「合憲」であっても、現実に困っている人がいるなら政治が動いて解決すべきだ、という流れが強まったんだね。
まとめ
– 憲法25条は国に努力目標を与えているけれど、具体的な救済の順番は国会の判断(裁量)に任されている。
– 学生時代に年金に入っていなかった人に払わないルールは、「合理的理由のない差別」ではないとされた。
– この判決により、「国の制度づくりを裁判所がどこまでチェックできるか」というルールが改めてはっきりしたんだね!
「ルールだから仕方ない」で終わらせず、みんなで新しい法律を作って助け合った。この裁判は、日本の社会がより優しくなるための、大きなきっかけの一つになったんだよ。
条文補足:日本国憲法第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
条文補足:日本国憲法第十四条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。華族その他の貴族の制度は、これを認めない。栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。