行政・法律の疑問 読了 5分

民間施設のミスでも、県が責任を負わなきゃいけないよっていう判例【児童養護施設事件】

★ 判例データ

事件名:損害賠償等請求事件(在外邦人選挙権訴訟・国家賠償)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成19年1月25日

関係法令:
・公職選挙法(在外邦人選挙権)
・国家賠償法1条(立法不作為)

論点:
・法令(公選法)の違憲と立法不作為の国家賠償責任
・違憲状態の放置と国会の賠償責任
・立法不作為が国家賠償の対象となる要件

結論:
・在外邦人の選挙権制限を放置した立法不作為は例外的に国家賠償法上の違法となる

読者のみなさん、こんにちは!今日は2007年(平成19年)に出された、とっても大切な裁判のお話をするよ。
「民間の施設で起きたトラブルなのに、どうしてお役所(県)が謝らなきゃいけないの?」という不思議なギモンに、裁判所が「それは、もともとお役所がやるべき大切なお仕事だからだよ!」とはっきり答えた事件なんだ。

【ストーリー】「民間のホームだけど……」 vs 「責任はお役所にあります!」

被害に遭った子どもの家族Aさん

うちの子が預けられていた児童養護施設で、職員さんや他の子からひどいことをされて怪我をしてしまいました。子どもを守るはずの場所でこんなことが起きるなんて!県はこの施設に子どもを預けた責任があるはずです。損害賠償を払ってください!
県の担当者

Aさん、それは本当にお気の毒です。でも、その施設は「社会福祉法人」という民間の団体が経営しているものです。そこで働いている人も、民間の職員さんです。
県の担当者

私たち県庁の職員が直接何かをしたわけではありません。国家賠償法(お上が責任を取るルール)は「公務員」が失敗したときに使うものですが、民間の職員さんは公務員ではないので、県が責任を負う理由はありません!
Aさんの弁護士

いいえ、違います!児童福祉法という法律によれば、親が育てられない子どもを施設で育てるのは、本来は「県(都道府県)」が責任をもってやるべき大切なお仕事のはずです。
弁護士

たとえ民間の施設に「お願い(委託)」していても、そのお仕事自体は「お上の公的なお仕事」です。だから、そこで起きたミスは県が責任を取るべきなんです!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「お仕事の帽子」と「本当の責任者」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、民間人が働いているときに『お役所の仕事の帽子』をかぶっていると言えるかどうか、ということなんだ」。

1. 「公務員」の幅を広げる魔法:
普通、「公務員」といえば役所で働く人を思い浮かべるよね。でも、国家賠償法というルールの中では、「お役所から公的なお仕事を任された人」も、その仕事をしている間は「公務員」として扱われるんだ。

2. 誰のためのお仕事?:
裁判所は「児童養護施設での養育」というお仕事をじっくり観察したよ。そして、「これは子どもたちの幸せを守るための、都道府県が本来行うべき公的な事務だ」と判断したんだ。

3. 「丸投げ」はできない!:
「お役所が民間に仕事を任せた(委託した)からといって、責任まで全部民間におしつけることはできないよ。民間の職員が『県の代わりに』仕事をしている以上、その失敗は『県の失敗』と同じ。だから県がお金を払って解決しなさい」ということになったんだ。

つまり、「仕事の看板が民間でも、中身が『お上の大切なお仕事』なら、お上が最後まで責任を持ちなさい」という、被害者にとても心強いルールが確認されたんだね。

【判決】民間の職員によるミスでも、県が国家賠償責任を負いなさい!

最高裁判所(平成19年1月25日)は、次のような答えを出しました。

1. 民間の職員も「公務員」!
社会福祉法人が運営する児童養護施設における養育・監護は、本来都道府県が行うべき行政事務です。したがって、その業務に従事する職員は、国家賠償法1条1項にいう「公務員」にあたります。
2. 県が賠償責任を負う!
施設職員が職務中に過失によって入所児童に損害を与えた場合、当該職員を雇用している社会福祉法人ではなく、都道府県が賠償の責任を負うと判断されました,。

【判決の言葉】

> 最高裁判所の判決(平成19年1月25日)より
> 「児童福祉法の規定・趣旨によれば、……(民間の)児童養護施設における児童の養育監護は、……本来都道府県が行うべき事務であるというべきである。……したがって、……施設職員を……県の公権力の行使に当たる公務員と解するのが相当である。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、今の日本の福祉や「行政の責任」のあり方を大きく進化させたよ。

* 「責任の所在」がはっきりして、子どもたちが守られやすくなった!
「民間がやったことだから役所は知らない」という言い逃れができなくなった。おかげで、施設で何かあったとき、被害者は「県」という大きくて安定した組織にしっかり助けを求められるようになったんだ。
* お役所の「見守り」がより厳しくなった!
「後で自分たちが責任を問われるかもしれない」と県が意識するようになったので、民間の施設に対して「ちゃんと子どもたちを大切にしていますか?」というチェックや指導が、これまで以上に丁寧に行われるようになったんだよ。
* 「公権力」の考え方が新しくなった!
「公権力(お上の力)」とは、単に役所の建物の中で行われることだけではない。「法律によって国民に約束された大切なお仕事」であれば、どこで行われていてもお上の責任が伴う、という現代的な考え方が定着する大きなきっかけになったんだ。

まとめ

* 児童養護施設での生活を守るのは、「都道府県」が本来やるべきお仕事!
* 民間の施設の職員でも、その仕事をしている間は「公務員」と同じ扱いになる!
* この判決のおかげで、今の日本は「お役所の仕事を代わりにやっている場所」でのトラブルについて、お役所がしっかり責任を持つようになっているんだね!

「民間に任せても、責任までは任せられない」。子どもたちの安全を、お役所が最後まで背負うことを約束させた、とっても温かくて力強い判例だったんだよ。

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