行政・法律の疑問 読了 4分

嫌いな作者の本だからって、勝手に捨てちゃダメ!?図書館の「公平(こうへい)」を守るルールの判例【船橋市西図書館事件】

★ 判例データ

事件名:損害賠償請求事件(船橋市西図書館事件)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成17年7月14日

関係法令:
・国家賠償法1条1項
・図書館法

論点:
・公立図書館の司書が個人的な好みで著作物を廃棄したことは国家賠償法上違法か
・著作者の公立図書館における利益

結論:
・著作者には不当な廃棄を受けない法律上保護された利益がある。独断的廃棄は違法

こんにちは! みんなは学校や町の図書館(としょかん)で本を借りたことはあるかな? 図書館にはたくさんの本があって、だれでも自由に読むことができるよね。 でも、もし図書館の職員(しょくいん)さんが、「この作者の考え方は嫌(きら)いだから、この本は捨てちゃおう!」と勝手に本を処分(しょぶん)してしまったら……。 「知る自由」を守るための大切なルールを決めた、とっても珍(めずら)しい裁判を紹介するね。

【ストーリー】「私の本を勝手に捨てないで!」 vs 「どの本を残すかは私の自由です」

作者のAさん

私は一生懸命(いっしょうけんめい)に本を書いて、たくさんの人に読んでほしいと思っています。船橋市の図書館にも私の本が置いてあったはずなのに、なぜか急に「廃棄(はいき:捨てること)」されてしまったと聞きました。まだ新しくてきれいな本だったのに、なぜですか?
図書館の司書(ししょ)Bさん

私はあなたの書いている内容(ないよう)がどうしても許(ゆる)せません。あなたの考え方は間違(まちが)っているし、市民(しみん)に読ませるべきではないと判断(はんだん)したんです。どの本を棚(たな)に残し、どの本を捨てるかは、専門家(せんもんか)である私たち図書館員の「自由(裁量)」のはずですよ。
Aさん

自分の好(この)みで本を選別(せんべつ)して捨てるなんて、表現(ひょうげん)の自由を傷つけるひどい行為(こうい)です! 図書館はみんなに公平に情報(じょうほう)を届(とど)ける場所なはずです。私の本を読んでもらう権利(けんり)を奪(うば)ったことについて、謝(あやま)って賠償金(ばいしょうきん)を払ってください!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「思想(しそう)の公的な広場」

「今回のバトルのポイントは、みんなが使う『公立図書館』という場所で、職員さんが自分の個人的な好みで本を捨てていいのか、ということなんだ」

裁判所は、図書館という場所の特別な役割(やくわり)について、次のように考えたんだ。

1. 図書館は「知恵(ちえ)の宝箱(たからばこ)」: 公立図書館は、市民がいろんな意見や考え方に触(ふ)れて、自分自身を成長させるための「公的な場」なんだ。だから、そこにある本は特定の誰かのものではなく、みんなの財産(ざいさん)だといえるね。
2. 職員さんは「公平な門番(もんばん)」: 図書館の職員さんには、どの本を置くか決める力(権限)があるけれど、それは「自分の好き嫌い」で使っていい魔法(まほう)ではないんだ。「個人的な好みにとらわれず、公平に本を扱う義務」があるんだよ。

裁判所はこう判断したんだ。「作者のAさんには、図書館という公的な場所で、自分の本を公平に扱ってもらうという『法律(ほうりつ)で守られた利益(りえき)』があるんだよ。職員のBさんが、自分の嫌いな作者だからといって勝手に本を捨てたのは、その義務(ぎむ)を破(やぶ)ったことになるから、船橋市はAさんにお金を払わなければならない(国家賠償:こっかばいしょう)」という答えを出したんだね。

【判決】個人的な好みで本を捨てるのは、公平な義務に違反する!

最高裁判所(平成17年7月14日)は、次のような答えを出しました。

1. 著作者(ちょさくしゃ)の利益を認めた! 著作者には、公立図書館において、その著作物が「不当な取り扱い」を受けないという、法律上保護(ほご)される利益があると認められました。
2. 独断(どくだん)での廃棄は違法(いほう)! 図書館員が、独断的な評価や個人的な好みによって蔵書(ぞうしょ)を廃棄することは、職務(しょくむ)上の義務に違反し、国家賠償法(こっかばいしょうほう)の上で違法になると判断されました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(平成17年7月14日)より
「公立図書館は、住民に対して思想、意見その他の種々の情報を含む図書館資料を提供してその教養を高めること等を目的とする公的な場である……(中略)……公立図書館の図書館職員は、……独断的な評価や個人的な好みにとらわれることなく、公正に図書館資料を取り扱うべき職務上の義務を負う。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、全国の図書館のあり方をピシッと正すきっかけになったよ。

– 「本を捨てるルール」が厳(きび)しくなった! 「古くなったから捨てる」というときでも、職員一人の判断ではなく、会議を開いたり、はっきりした基準(きじゅん)に従って捨てるように、全国の図書館でルール(除籍(じょせき)基準)が整えられたんだ。
– 図書館の「中立性(ちゅうりつせい)」が守られるようになった! どんなに偏(かたよ)った意見や、みんなが反対するような内容の本であっても、それが犯罪(はんざい)を助長(じょちょう)するようなものでない限り、「図書館はあえていろんな意見を置く場所だ」という意識が強まったんだ。
– 「読む権利」の重要性がはっきりした! 私たちが本を読むことは、単なる趣味(しゅみ)ではなく、憲法(けんぽう)が守る「知る自由」につながる大切なことなんだ、という考え方が定着したんだよ。

まとめ

まとめ

– 公立図書館は、みんなが自由に知識(ちしき)を得られる「公的な場」。
– 職員さんは、自分の好みに左右されず、本を公平に扱う義務がある。
– 作者には、自分の本を不当に捨てられない権利が認められたんだ。
– この判決のおかげで、今の図書館は「いろんな考え方」に触れられる場所として守られているんだね!

みんなが図書館で安心して本を選べるのは、こうした「情報の公平さ」を守るための厳しいルールがあるからなんだね。

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