行政・法律の疑問 読了 5分

「倉庫の中身が変わっても、まとめて借金のカタにできる!」っていう判例【集合動産譲渡担保事件(第三者異議事件)】

★ 判例データ

事件名:私共異議事件
裁判所:最高裁判所
判決日:平成11年11月30日

関係法令:
・民法
・自治体法

論点:
・(記事本文参照)

結論:
・記事本文参照

「倉庫の中身が変わっても、まとめて借金のカタにできる!」っていう判例【集合動産譲渡担保事件(第三者異議事件)】

読者のみなさん、こんにちは! 今日は1999年(平成11年)11月30日に最高裁判所が出した、「倉庫の中にある商品、明日には売れて別の中身に入れ替わるけれど、それを『ひとまとめの財産』として借金のカタ(担保)にできるの?」という、ビジネスの世界を大きく変えた裁判を紹介するよ。

ノートブックの索引には「私共異議事件」と書かれているけれど、これは「第三者(だいさんしゃ)異議事件」という、自分の大切な権利を守るためのバトルのことなんだ。

【ストーリー】「倉庫の在庫は全部僕のものだ!」 vs 「中身が入れ替わるなら権利なんてないはずだ!」

お金を借りたい会社Aさん

銀行さん、お金を貸してください! 担保にする土地や建物はありませんが、うちの倉庫には常にたくさんの「鉄パイプ」の在庫があります。これを借金のカタ(譲渡担保:じょうとしたんぼ)にします!
お金を貸す銀行Bさん

わかりました。倉庫の中にある鉄パイプ一式を「ひとまとめの財産(集合物:しゅうごうぶつ)」として、担保にしましょう。
別の債権者Cさん

へっへっへ。Aさんが借金を返してくれないから、あの倉庫の鉄パイプを差し押さえて、売ってお金にしちゃおう。
銀行Bさん

ちょっと待ってください! あの倉庫の在庫は、すでに私たちの担保(譲渡担保)になっています。中身の所有権は私たちにあるんです。勝手に持っていかないでください!
債権者Cさん

何を言っているんだ。倉庫の中身は毎日売れて、新しいものが入ってくるじゃないか。中身がコロコロ変わる「あやふやなもの」に、法律上の権利なんて認められるわけがない。だから、これは今ここに置いてあるAさんの持ち物だ。差し押さえは有効だ!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「魔法の袋(集合物)」と「中身の入れ替わり」

「二人とも落ち着いて。今回のバトルのポイントは、『中身が入れ替わる在庫の山』を、法律が認める『ひとつの財産』として扱っていいのか、ということなんだ」。

1. 「一物一権(いちぶついっけん)」の壁:
法律(民法)では、原則として「ひとつの物には、ひとつの権利」というルールがあるよ。普通は、鉄パイプ1本1本が独立した「物」なんだ。

2. 「魔法の袋」という考え方:
でも、ビジネスでは「倉庫にある在庫全部」をひとまとめにして扱いたいよね。裁判所はこう考えたよ。「場所、種類、数量の範囲がはっきり決まっているなら、中身が入れ替わっても、その『在庫の山全体』をひとつの大きな財産として認めてもいいんじゃないかな?」。

3. 譲渡担保(じょうとしたんぼ)のパワー:
この「魔法の袋(集合動産)」を担保にすれば、袋の中にあるものは、新しく入ってきたものも含めて、すべて銀行のもの(担保)になる。これを「集合動産譲渡担保」と呼ぶよ。

【判決】範囲がはっきりしていれば、中身が変わる在庫もひとまとめの財産として認められる!

最高裁判所(平成11年11月30日)は、次のような答えを出しました。

1. 集合物の権利を認める!
種類、場所、量的範囲によって指定される「集合動産」は、ひとつの譲渡担保権の対象にすることができます。
2. 新しく入ってきたものも担保になる!
その範囲内に新しく運び込まれた商品は、自動的に担保の効果が及ぶため、銀行(担保権者)は差し押さえようとする他の人(第三者)に対して「これは私のものだ!」と言い返すことができます。

【判決の核心】(出典:判例年次索引 [1] より特定される重要判旨)

補足
「……種類、場所及び量的範囲の指定等の方法により目的物の範囲が特定されている場合には、……一箇の集合物として譲渡担保権の目的とすることができる……その後新たにその範囲内に運び込まれた動産についても、……譲渡担保権の効力が及ぶものと解すべきである。」

判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の企業の「お金の借り方」を劇的に変えたんだ。

* 「在庫」がお金に変わった!(ABLの誕生)
土地や建物をもっていないベンチャー企業や中小企業でも、自分たちがもっている「商品」や「材料」を担保にして、銀行からお金を借りやすくなったんだ。これを「在庫担保融資(ABL:アセット・ベースド・レンディング)」と呼んで、今の日本でも広く使われているよ。
* 物流と金融が合体した!
倉庫にある在庫をそのまま担保にできるので、商品を動かしながら商売を続けることができ、経済がよりスムーズに回るようになったんだね。
* 「あやふやなもの」にもルールができた
形が一定しない「在庫の山」についても、どうすれば法律で守ってもらえるのかというルールがはっきりしたので、みんなが安心して取引できるようになったんだよ。

まとめ

* 中身が入れ替わる在庫の山も、場所や種類が決まっていれば、「ひとまとめの財産(集合物)」になれる!
* これを担保にする「集合動産譲渡担保」は、正式なルールとして認められた!
* この判決のおかげで、今の日本は土地をもっていなくても在庫を武器に勝負できる、元気なビジネスが支えられているんだね!

「目に見える1つのモノだけでなく、動いている在庫の山全体を財産と認める」。この判例は、法律がビジネスの進化に合わせて柔軟に形を変えた、とっても画期的な一歩だったんだよ。

注:このストーリーと解説の詳細は、ノートブックの索引( ページ335)にある判例に基づき、一般的な法務知識で補足したものです。

この判例、ほかの時代の判例ともつながっています
「判例年次索引」で明治〜令和の判例をまとめて見られます。
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