行政・法律の疑問 読了 5分

飛行機の音がうるさい!と裁判所に言えるのは、近所の人の権利?【新潟空港訴訟】

★ 判例データ

事件名:新潟・ソウル間定期航空運送事業免許処分取消請求事件(新潟空港訴訟)
裁判所:最高裁判所
判決日:平成元年2月17日

関係法令:
・行政事件訴訟法9条(原告適格)
・航空法
・航空機騒音防止法

論点:
・空港周辺住民に航空会社の定期便免許取消を求める原告適格があるか
・関連法規を考慮した原告適格の判断

結論:
・騒音被害を受ける周辺住民に原告適格を認める

こんにちは! みんなは大きな飛行機が飛ぶ音を聞いたことがあるかな? 空港の近くに住んでいる人たちにとって、その音は時に生活を壊してしまうほど大きな悩みになることがあるんだ。 今日は、国が航空会社に「新しいルートで飛んでいいよ」という許可(免許)を出したことに対して、近所の住民が「うるさすぎるから取り消して!」と裁判所に訴えることができるのか? というお話だよ。 裁判に参加するための「チケット」をめぐる、とても大切なルールが決まった事件を見てみよう。

【ストーリー】「うるさくて眠れない!」 vs 「あなたたちに訴える権利はありません」

空港の近くに住むAさんたち

国が韓国の航空会社に、新潟とソウルを結ぶ新しい定期便の許可を出しました。でも、飛行機が飛ぶたびにものすごい騒音(そうおん)がして、テレビの音も聞こえないし、夜も眠れません! 私たちの静かな生活を守るために、国はその許可を取り消してください!
国の担当者(運輸大臣)

Aさんたち、落ち着いてください。この「免許」は国と航空会社の間のお約束です。近所に住んでいる皆さんは、このお約束の直接の相手ではありませんよね。法律(航空法)は、空の安全や便利さを守るためのものであって、個人の「静かな生活」を一人ひとり守るためのものではありません。だから、Aさんたちにはこの許可を裁判で争うための「チケット(原告適格:げんこくてきかく)」はないはずです!
Aさんたち

そんなのひどい! 実際に被害(ひがい)を受けているのは私たちなんです。裁判所に訴えることすらできないなんて、納得がいきません!

【解説】裁判所でのバトル:登場!「裁判所への入場チケット(原告適格)」

「今回のバトルのポイントは、国が航空会社に出した許可に対して、その周りに住んでいる住民が『裁判をさせてください!』と言えるだけのチケット(法律上の利益)をもっているのか、ということなんだ」

裁判所は、この「チケット」をだれに配るべきか決めるために、次のような「魔法の探し物(関連法規のチェック)」をしたんだ。

1. 「航空法」だけを見ない!: 国の担当者は「航空法には住民を守るとは書いていない」と言ったけれど、裁判所は「それだけじゃ不十分だよ」と考えたんだ。
2. 「仲間の法律(関連法規)」も一緒に見る: 裁判所は、飛行機の騒音を防ぐための別の法律(航空機騒音防止法)に注目したんだ。この法律には「住民の騒音被害を防ぐために、大臣は飛び方を指定できる」と書いてあったんだね。

裁判所はこう考えたんだ。「これら2つの法律をセットで読めば、国が飛行機の許可を出すときには、『近所の住民が騒音でひどい目に遭わないように守ること』も、法律の大切な目的(個別的利益の保護)に含まれているはずだ」ってね。

その結果、あまりにも大きな騒音で生活が苦しくなっている住民には、裁判所で戦うための「見えないチケット(原告適格)」が認められることになったんだよ。

【判決】騒音被害を受ける住民には、裁判に訴える権利がある!

最高裁判所(平成元年2月17日)は、次のような答えを出しました。

1. 「原告適格(げんこくてきかく)」を認めた! 航空法だけでなく、騒音防止法などの関連する法律も合わせて考えれば、空港周辺の住民の利益も守るべきものとされている、と判断されました。
2. 社会通念上、著(いちじる)しい障害があるならOK! 飛行機の騒音によって、普通に考えて我慢(がまん)できないほどの大きな被害を受けている住民は、免許の取り消しを求める裁判を起こすことができるようになりました。

【判決の言葉】

補足
最高裁判所の判決(平成元年2月17日)より
「航空法……の規定の趣旨(しゅし)には、……航空機の騒音による障害により、その生命、身体の安全を害され、又は日常生活に著(いちじる)しい支障(ししょう)を来すことのないよう、……周辺住民の利益を個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含むものと解するのが相当である。」

【追記】判決の後、日本はどう変わったの?

この判決は、日本の「行政裁判(ぎょうせいさいばん)」の歴史を塗り替える大きな一歩になったよ。

– 「チケット」がもらいやすくなった! それまでは、国と会社のお約束に他人が口を出すのはとても難しかったけれど、この裁判の後、「直接の相手じゃなくても、ひどい被害を受けるならチケットをあげよう」という考え方が広がったんだ。
– 「もんじゅ訴訟(そしょう)」などへの道を開いた! 「関連する法律を一緒に見る」というこの時のやり方は、その後の原子力発電所の裁判(もんじゅ訴訟)などでも使われ、多くの市民が裁判で意見を言えるきっかけになったんだよ。
– 住民の声を無視(むし)できなくなった! 国や自治体が大きな計画(空港や道路、施設(しせつ)づくり)を立てるときに、「法律に書いていないから住民の被害は関係ない」とは言えなくなった。あらかじめ住民の健康や生活を守ることをしっかり考える今のルールにつながっているんだね。
– 法律が改正された! この判決の考え方は、2004年の「行政事件訴訟法(ぎょうせいじけんそしょうほう)」という法律の大改正にも取り入れられ、今では「チケット(原告適格)」の判断基準が法律にしっかりと書き込まれているんだ。

まとめ

まとめ

– 国が出した「許可」に対して、大きな被害を受ける住民なら裁判に訴えることができる。
– その「チケット」があるかどうかは、複数の法律をセットで見て判断される。
– この判決のおかげで、「市民の静かな生活」が国のお約束よりも大切にされる場合があることがはっきりしたんだね!

「うるさくても我慢しろ」ではなく、「困っているなら裁判所で解決しよう」。今の日本の「開かれた裁判」の仕組みを作った、とても勇気ある判断だったんだよ。

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